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Mac Proはもう終わり?Appleが見捨てた「最強マシン」の行方

先日開催されたWWDCの基調講演。Mac mini、MacBook Air、iMac、MacBook Pro、そしてMac Studioと、現行のMacラインナップが次々と紹介される中、あるマシンだけがその姿を見せませんでした。

そう、「Mac Pro」です。

これは、AppleがMac Proの終焉を暗に示しているのでしょうか?それとも、まだアップデートされていないM2 Ultraモデルへの注目を避けるための、意図的な演出だったのでしょうか?

今回は、AppleがMac Proを優先しない理由と、その未来について考えていきたいと思います。

かつて、すべてのプロフェッショナルの憧れだった

Mac Proの歴史は、AppleがPowerPCからIntelへとアーキテクチャを移行した時代に遡ります。初代Intel Mac Proは、その拡張性の高さから、デザイン、映像、音楽、写真など、あらゆるクリエイティブ業界のプロフェッショナルたちに愛用されてきました。

レコーディングスタジオではPCIスロットにサウンドカードを増設し、映像スタジオではキャプチャーカードや高性能なGPUを搭載する。当時のMac Proは、プロの現場に欠かせない、まさに「最強のワークステーション」だったのです。

拡張性の喪失と、迷走の始まり

しかし、2013年に登場した、通称「ゴミ箱」モデルでその方向性は大きく変わります。内部拡張性を捨て、外部のThunderbolt接続に未来を託したのです。この革新的なデザインは、あまりにも時代を先取りしすぎていたのかもしれません。多くのユーザーが求めていたのは、従来通りの拡張性でした。

2019年には、原点回帰とも言えるパワフルなモデルが登場しましたが、その価格は一般のクリエイターが気軽に手を伸ばせるものではなくなっていました。

Apple Siliconが与えた「最後の一撃」

そして決定打となったのが、Apple Siliconへの移行です。

2023年に登場したApple Silicon搭載のMac Proは、心臓部であるチップがMac Studioと全く同じ「M2 Ultra」。CPUもメモリも後から増設・交換はできません。Mac Proを選ぶ理由は、もはやPCIスロットの有無だけになってしまいました。しかも、GPUの増設は不可能です。

これにより、Mac Proのターゲット市場は極めてニッチなものへと追いやられてしまったのです。

Mac Proは「古き良き時代の恐竜」なのか?

今や、かつてMac Proを必要としていたクリエイターの多くは、Mac Studioや高性能なMacBook Proで十分に満足しています。Thunderbolt 5のような高速な接続規格の登場により、拡張は「内部」から「外部」へと完全にシフトしました。

AIや機械学習が新たなコンピューティングの形を示す中で、Mac Proという存在は、もしかしたらノスタルジーによって求められているだけの「古き良き時代の恐竜」なのかもしれません。

AppleがMac Proをラインナップから完全に消してしまうのか、それともM3 Ultraを遥かに凌駕するような「スーパーチップ」を隠し持っているのか。それはまだ誰にも分かりません。

しかし、一つ確かなのは、私たちが愛した「誰もが憧れる最強のMac Pro」の時代は、終わりを告げたということです。

あなたはこの現状をどう思いますか?

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