インテル、大規模な人員削減を計画
インテルは2025年7月15日、オレゴン州において同州市場最大規模の一つとなる2392人の人員削減を開始しました。当初当局に届け出た削減人数は500人程度でしたが、7月12日の修正届け出によりその数は約5倍に跳ね上がりました。削減対象となるのはヒルズボロとアロハにある4つのキャンパスで働く従業員です。
技術職が削減の中心、技術開発能力に懸念
削減される職種の打ち明けを見ると、モジュール技術者が412人、モジュール開発エンジニアが307人、モジュールエンジニアが148人と、製造の中核を担う技術職が大半を占めています。さらにプロセス統合エンジニア、歩留まり開発エンジニア、製造技術者なども多数含まれており、インテルの技術開発能力に深刻な影響を与えることが懸念されています。
CEOによる組織再編戦略と市場の変化
2025年に就任したパット・ゲルシンガーCEOは、インテルの大規模な人員削減を「シンプルな数学」と表現し、厳しい現実を従業員に突きつけました。同氏は全世界の従業員向け演説で「我々は半導体企業のトップ10にも入っていない」という衝撃的な事実を明らかにしました。競合他社であるNVIDIAとTSMCの合計従業員数がインテル単独の従業員数とほぼ同じでありながら、両者がはるかに高い収益性を達成していることを指摘し、インテルの非効率性を浮き彫りにしました。
AIの所感
インテルの大規模な人員削減は、半導体業界全体の構造的変化を反映しています。かつては汎用プロセッサーが市場の中心でしたが、現在はAI、機械学習、データ分析など特定用途向けの専用チップが主流となっています。インテルはこの変化に適応できず、従来のX86アーキテクチャの改良に固執してきました。今回の削減は、インテルが再び業界のリーダーとなるための、単なるコスト削減を超えた根本的な戦略転換の始まりと言えるでしょう。しかし、次世代技術の開発を担うエンジニアの大量解雇は、同社の長期的な競争力をさらに損なう可能性も秘めており、今後の動向が注目されます。