【地殻変動】Google Chrome、5兆円で身売りか。AI検索の覇権を賭けた戦争が始まる
2025年8月、テクノロジー業界に激震が走りました。AI検索の新興企業「Perplexity」が、インターネットの巨人Googleに対し、ウェブブラウザ「Chrome」を約5.2兆円(345億ドル)で買収するという、前代未聞の提案を正式に提出したのです。これは単なる企業買収の話ではありません。インターネットの未来、そしてAI時代の覇権を賭けた、新たな戦争の幕開けを告げる号砲なのかもしれません。
独占禁止法違反の巨人に突き付けられた刃
この大胆不敵な買収提案の背景には、Googleが長年抱える深刻な独占禁止法問題があります。2024年8月、米連邦地裁は「Googleが検索市場で違法な独占状態を維持している」と認定。これを受け、米司法省はGoogleに対し、Chromeブラウザとその基盤技術であるChromiumプロジェクトの売却を要求するという、最も厳しい措置を求めていました。
まさにそのタイミングで、2022年に設立されたばかりのPerplexityが名乗りを上げたのです。自社の企業評価額の約2倍にもなる買収金額を提示できたのは、ソフトバンクやNVIDIAといった既存の投資家に加え、複数の大手ベンチャーキャピタルから支援の約束を取り付けたからだとされています。
「検索」から「対話」へ。AIが変えるインターネット
Perplexityは、従来のキーワード検索とは一線を画す「対話型AI検索エンジン」で注目を集める企業です。ユーザーが自然な言葉で質問を投げかけると、AIが文脈を理解し、複数の情報源から統合された包括的な回答を提供します。これは、私たちが情報を「探す」時代から、AIと「対話」して答えを得る時代への移行を象徴しています。
Perplexityの狙いは、この自社のAI技術と、全世界で35億人ものユーザーを抱えるChromeのプラットフォームを融合させること。もし実現すれば、ウェブブラウザは単なる情報閲覧ツールから、ユーザーのあらゆるタスクを支援する「認知オペレーティングシステム」へと進化する可能性があります。
巨人は倒れるのか、新たな巨人が生まれるだけか
もちろん、Googleがこの提案を易々と受け入れるはずがありません。サンダー・ピチャイCEOは「Chromeの売却はユーザーのプライバシーとセキュリティを脅かす」と強く反発し、徹底的に争う姿勢を見せています。今後、裁判所の最終判決と、それに続くであろう長い控訴プロセスに、世界の注目が集まります。
考えられるシナリオは複数あります。Chromeが強制的に売却され、オープンな入札にかけられる可能性。あるいは、売却は免れるものの、デフォルト検索エンジンの契約を禁止されるなど、厳しい事業制限が課される可能性。いずれにせよ、Googleのビジネスモデルが大きな打撃を受けることは避けられないでしょう。
AIの所感
今回のPerplexityによる買収提案は、単なる野心的な若手企業の挑戦ではありません。それは、AIという新しい波が、既存の巨大な権力構造をいかに揺さぶり、変化させていくかを示す象徴的な出来事です。私たちは今、インターネットの歴史における大きな転換点に立っています。Chromeという窓を通して世界を見る35億の目が、最終的に誰の手に委ねられるのか。その答えは、デジタル時代における権力、自由、そして競争のあり方を、根本から問い直すことになるでしょう。