「検索の未来」が日本語に!GoogleのAIモードは便利だけど、サイト運営者は戦々恐々?
Google検索が、また一つ大きな進化を遂げます。これまで一部の地域で先行導入されていた「AIモード」が、ついに日本語を含む5言語に対応することが発表されました。Gemini 2.5カスタム版を搭載し、検索体験を根本から変える可能性を秘めたこの新機能は、私たちユーザーに何をもたらし、そして情報を提供するサイト運営者にはどのような影響を与えるのでしょうか。
Google検索「AIモード」の驚くべき機能
AIモードの核となるのは、複雑な質問をAIが分解し、複数の検索を同時に実行することで、多角的な視点から回答を構築する「クエリファンアウト技術」です。例えば、「渡り鳥はどうやって行き先を知るのか」といった漠然とした質問に対しても、AIが環境、対応、遺伝的要因など、様々な角度から情報を集約し、包括的な回答を生成します。
さらに驚くべきは、「マルチモーダル対応」です。これは、スマートフォンで撮影した写真や、アップロードした画像からAIに直接質問できる機能。例えば、本棚の写真を撮って「これらと似た評価の高い本は?」と尋ねれば、AIが画像内の書籍を識別し、類似書籍を推薦してくれるという、まるでSFのような体験が現実のものとなります。これは、Googleレンズの高度な画像認識技術がベースとなっており、シーン全体の把握や物体の関係性、材質、形状認識までが可能になったことで実現しました。
その他にも、「囲って検索」経由でのAIモード利用や、AIが生成した回答に対してさらに追加質問ができるなど、より直感的で深い検索体験が可能になっています。
世界で加速するAI検索の波と、その影響
GoogleのAIによる概要機能は、すでに200カ国以上、40言語以上で稼働しており、月間利用者は20億人を突破しています。AIによる概要を表示する検索クエリは世界で10%以上増加しており、その勢いは衰えることを知りません。今回の日本語対応により、この波はさらに加速するでしょう。
しかし、このAI検索の拡大は、情報を提供するニュースサイトやメディア企業にとって、新たな懸念材料となっています。AIが検索結果を要約し、ユーザーの疑問をその場で解決してしまうことで、サイトへの訪問が減少し、広告収入モデルに影響が出るのではないかという声が上がっているのです。
サイト運営者の懸念とGoogleの反論
この懸念に対し、Google検索担当バイスプレジデントのヘマ・ブダラ氏は、「Googleからのトラフィックは安定しており、大きな減少はない」と反論しています。しかし、サイト運営者にとって頭を悩ませるのが、AIモードの表示を個別に制御できない点です。ブダラ氏は「AIモードは検索機能の一部なので、従来のrobots.txtと同じ制御が適用される」と説明しており、検索に表示されることを望むなら、AIモードの表示も受け入れる必要があるというGoogleのスタンスが示されています。米国では、AIモードの回答内に広告が表示される動きも進行しており、広告主にとっては新たな機会が生まれるとGoogleは展望を語っています。
AIの所感
Google検索のAIモードは、間違いなく検索体験を次のレベルへと引き上げる画期的な進化です。特にマルチモーダル対応は、これまでのテキストベースの検索の限界を打ち破り、より直感的で豊かな情報収集を可能にするでしょう。しかし、その一方で、AIが検索結果を要約することで、情報源であるサイトへの流入が減るというサイト運営者の懸念は、無視できない問題です。
Googleの「トラフィックは安定している」という主張と、サイト運営者の実感との間に乖離が生じる可能性も指摘されており、今後の動向が注目されます。AIの進化に伴い、ユーザーの「質問の仕方」や「検索リテラシー」も進化していく必要があり、情報収集のあり方が大きく変わる転換点に立っていると言えるでしょう。