【速報】京大・広大が世界初の快挙!量子テレポーテーションの扉を開く「W状態」一括測定に成功!
2025年9月、科学界に衝撃が走りました。京都大学と広島大学の研究チームが、量子もつれの一種である「W状態」を一括で一度に識別する「もつれ測定」の実証に世界で初めて成功したのです。今年は量子力学誕生から100周年。国連総会が「国際量子科学技術年」として宣言した記念すべき年に、日本の研究チームが歴史に残る偉業を成し遂げました。アインシュタインが「不気味な遠隔作用」と呼び、最後まで懐疑的だった量子もつれ。その謎めいた現象は今や、次世代技術革命の核として期待されています。量子の世界では、離れた粒子同士が不思議な相関を持ち、一方の状態を測定するともう一方の状態が瞬時に決まります。この摩訶不思議な性質こそが、量子技術革命の原動力となっているのです。
量子もつれ「W状態」の特別な性質
量子もつれには、主にGHZ状態とW状態という2つの代表的な形があります。これらは3つ以上の粒子が複雑に絡み合った状態を表していますが、その性質は大きく異なります。GHZ状態は、全ての粒子が同時に0または1の状態にある重ね合わせです。例えば3つの粒子なら「000」と「111」が重なった状態です。しかし、この状態には致命的な弱点があります。1つの粒子を失うと、量子もつれが完全に壊れてしまうのです。まるで3本の足で立つ椅子のように、1本でも失えば崩壊してしまいます。一方、W状態は全く異なる構造を持ちます。3つの粒子のうちどれか1つだけが1で、残りが0という複数の可能性が重なり合っています。「001」「010」「100」という3つの状態が同時に存在する不思議な世界です。W状態の最大の特徴は、その驚くべき堅牢性です。3つの量子ビットのうち1つが失われても、残りの2つの量子ビットは依然としてもつれ状態を維持します。これは、ノイズや損失が避けられない現実世界での応用において極めて重要な性質です。GHZ状態の測定技術はすでに25年前の1998年から提示・実証されていましたが、W状態については理論的提案すら存在しませんでした。なぜこれほどまでに困難だったのか?それは、W状態の複雑な対称性と、測定に必要な量子干渉の制御が極めて難しかったからです。この技術的ギャップが、量子通信や量子コンピューティングの実用化における大きな障壁となっていたのです。
画期的な測定技術の確立
竹内繁樹教授率いる研究チームは、この四半世紀の難問に挑み、ついに解決への道を切り開きました。研究チームの画期的なアイデアは、W状態の「循環シフト対称性」という数学的性質に着目したことでした。この対称性とは、量子ビットを循環的に入れ替えてもW状態の本質が変わらないという性質です。例えば「100」という状態を左にシフトすると「001」になり、もう一度シフトすると「010」になります。これらは全てW状態の構成要素です。この性質を利用するため、研究チームは「離散フーリエ変換(DFT)」という数学的手法を光学回路で実現しました。DFTは信号処理で広く使われる技術ですが、これを量子の世界に応用したのです。具体的には、光子の偏光状態を水平と垂直に分離し、それぞれに対してDFT回路を適用します。この回路は3つのビームスプリッターと位相シフターで構成され、光子の量子状態を巧妙に変換します。実験装置の心臓部は、特殊なハイブリッドビームスプリッターを用いた干渉系です。通常の光学干渉系はわずかな振動や温度変化で性能が劣化してしまいます。しかし研究チームは「サミック型」と呼ばれる特殊な配置を採用しました。2つの光路が同じ光学素子を通るため、外乱の影響が相殺され、能動的な制御なしに長時間安定して動作します。実験では4つの単一光子を生成し、そのうち3つを測定に使用しました。残り1つは実験のタイミングを知らせる役割を果たします。光子源には、レーザー光を特殊な結晶に通すことで光子を生成する「自発的パラメトリック下方変換」という技術を使用します。生成された光子は液晶で偏光状態を精密に制御され、干渉系に送られます。測定の結果、0.871±0.039という驚異的な測定識別忠実度を達成しました。この数値の意味は重大です。古典的な測定器の理論限界は2/3(約0.667)。今回の結果はこれを大きく上回り、装置が量子もつれ測定として機能していることを証明しています。この成功の鍵は、光子の量子干渉を極めて高い精度で制御したことにありました。
未来への扉:量子技術の応用
W状態の効率的な測定が可能になったことで、量子技術の応用範囲が飛躍的に広がります。まず注目されるのが、量子テレポーテーションへの応用です。テレポーテーションは量子状態を離れた場所に転送する技術です。物質そのものを送るのではなく、その量子的な情報を転送します。W状態を使えば3者間での量子テレポーテーションが可能になり、より複雑な量子ネットワークの構築に繋がります。量子暗号通信においてもW状態は画期的な進展をもたらします。従来の暗号は計算の困難さに依存していますが、量子暗号は物理法則そのものが安全性を保証します。盗聴しようとすると量子状態が変化し、必ず検知されるのです。W状態の堅牢性により、ノイズの多い環境でも安定した暗号通信が可能になります。特に3者以上が参加する「量子秘密分散」という技術では、W状態が重要な役割を果たします。量子コンピューターの分野でも今回の成果は大きな意味を持ちます。量子コンピューターは重ね合わせと量子もつれを利用して、従来のコンピューターでは不可能な並列計算を実現します。Googleは最新の量子プロセッサー「Willow」で、スーパーコンピューターが10の25乗年(100垓年)かかる計算を5分未満で実行したと報告しています。IBMは2029年までに200個の論理量子ビットを持つシステムの開発を目指しています。W状態の測定技術は、こうした量子コンピューターの誤り訂正やビット間の相関を検証する上で不可欠です。さらに、量子センシングという新分野も注目を集めています。量子もつれを利用すれば、従来の測定限界を超える高精度な測定が可能になります。重力波検出、MRI画像診断、GPSの精度向上など、幅広い応用が期待されています。W状態は複数のセンサーを量子的に結合し、測定精度を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。
研究チームと資金支援
今回の成果は2025年9月12日に米国の国際学術誌「サイエンス・アドバンシズ」に掲載されました。論文の筆頭著者であるパク・コブ博士は京都大学の博士課程で研究を行いました。共同研究者の広島大学ホフマン教授は、量子光学の理論面で重要な貢献をしています。研究は科学技術振興機構のERATOプロジェクトや文部科学省のQ-LEAP、日本学術振興会の科研費など、複数の研究資金の支援を受けて実現しました。
量子の夢
京都の静かな研究室。秋の日が差し込む午後、一筋の光が歴史を変えました。それは25年前から続く科学者たちの見果てぬ夢でした。量子もつれのW状態。3つの光子が織りなす、壊れることのない絆。誰もがその存在を知りながら、誰も捉えることができなかった幻の舞。パク・コブという若き研究者が、その日ついに光の言葉を聞き取ったのです。「粒子は孤独ではない」。アインシュタインが生涯をかけて否定しようとした真実がそこにありました。宇宙のどこかで1つの粒子が踊れば、別の場所の粒子も同じリズムで踊り始める。距離も時間も超えて、まるで1つの魂を共有するかのように。W状態の美しさは、その強さにあります。3つの粒子のうち1つが消えても、残る2つの絆は途切れない。それは人間の関係にも似ています。大切な人を失っても、その人が結んだ縁は消えない。記憶と愛情は時空を超えて人をつなぎ続ける。竹内繁樹教授のチームが開発した装置は、単なる測定器ではありません。それは量子の世界と人間の世界をつなぐ架け橋。フーリエ変換という数学の言葉を使い、粒子たちの秘密の会話を翻訳する通訳者です。100年前、若きハイゼンベルクは不確定性の霧の中で新しい物理学を生み出しました。60年前、日本の朝永振一郎は量子電磁力学でノーベル賞を受賞しました。そして今日、新たな世代が量子の扉をさらに大きく押し開いています。量子コンピューター、量子暗号、量子テレポーテーション。かつてSFの世界にしか存在しなかった技術が、一つずつ現実になっています。しかし、本当に大切なのは技術そのものではありません。量子もつれが教えるのは、この宇宙に真の孤独は存在しないということ。全ては見えない糸で繋がり、影響し合い、共鳴している。京都から世界へ、そして未来へ。小さな光の粒子が紡ぐ物語は、人類の新しい章の始まりを告げています。私たちは今、量子の海に漕ぎ出す船の上にいます。行き先は誰にも分からない。でも、それこそが冒険の醍醐味です。光は問いかける。「あなたは誰と繋がっていますか?」
AIの所感
京都大学と広島大学の研究チームによる量子もつれ「W状態」の一括測定成功は、量子力学誕生100周年という記念すべき年に、日本の科学技術が世界をリードする画期的な成果を示したと言えるでしょう。特に、W状態の堅牢性を活かしたこの技術は、量子テレポーテーション、量子暗号通信、量子コンピューター、量子センシングといった次世代技術の実用化を大きく加速させる可能性を秘めています。アインシュタインが「不気味な遠隔作用」と呼んだ量子もつれが、今や私たちの生活を根底から変える可能性を秘めた技術として現実味を帯びてきていることに、科学の進歩の速さと奥深さを感じます。この研究は、単なる技術的なブレイクスルーに留まらず、宇宙の根源的な繋がりや、人間の探求心、そして未来への希望を象徴する物語として、多くの人々に感動とインスピレーションを与えることでしょう。今後の量子技術の発展に、ますます期待が高まります。