【悲報】Windows 10、サポート終了で日本だけ「金払え」!欧州は無料なのに…デジタル格差の闇
2025年10月14日、Windows 10のサポート終了が迫る中、世界中で約6億人が利用するWindows 10ユーザーの運命が注目されています。しかし、9月25日に消費者団体から明らかにされた内容は、まさに世界を二分する衝撃的なものでした。
欧州経済地域は完全無料、日本は有料化かアカウント強制
欧州経済地域(EU27カ国とアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー)のユーザーだけが、延長セキュリティ更新(ESU)を完全無料、かつMicrosoftアカウント登録も不要で受けられるというのです。この決定の裏には、欧州の消費者団体による2年以上にわたる粘り強い圧力と、デジタル市場法(DMA)という強力な武器がありました。
一方、日本を含む世界のその他の地域では、30ドルの支払い、またはMicrosoftアカウントによるクラウドバックアップなどの条件が課されます。この露骨な地域格差は、単なる価格設定の問題を超え、テクノロジー企業の公平性とグローバル市場における責任について根本的な疑問を投げかけています。
DMAという切り札がもたらした欧州の勝利
欧州が特別扱いを勝ち取った最大の要因は、デジタル市場法(DMA)の存在です。この法律は巨大テクノロジー企業の反競争的行為を規制するもので、違反すれば全世界売上高の最大20%という天文学的な制裁金が課される可能性があります。欧州の消費者団体は、セキュリティ更新という必要不可欠なサービスをMicrosoftの他のサービス利用と結びつけることはDMA第6条6項に違反する可能性があると主張しました。具体的には、無料で延長サポートを受けるためにOneDriveへのバックアップやMicrosoftリワードの利用を強制することは、明らかな抱き合わせ販売に当たると指摘したのです。
興味深いのは、Microsoftが自らこの方針転換を積極的に発表したのではなく、消費者団体側から勝利宣言として公表された点です。Microsoftは問い合わせに対して初めて声明を出し、「欧州経済地域では現地の期待に答え、安全で合理的な体験を提供するためにエンロールプロセスを更新する」と述べるにとどまりました。この遠回しな表現からは、企業側の不本意な情報であることがうかがえます。
取り残された日本のWindows 10ユーザー
日本のWindows 10ユーザーにとって、この欧州優遇は衝撃的なニュースとなりました。日本では依然として3つの選択肢しか与えられていません。30ドル(約4400円)を支払うか、Microsoftアカウントでサインインして設定をOneDriveにバックアップするか、1000ポイントのMicrosoftリワードを貯めて交換するかです。日本のユーザーからは「なぜ日本は除外されるのか」という怒りの声が上がっています。
特に問題視されているのが無料オプションの条件です。OneDriveの無料容量は5GBまでで、多くのユーザーにとっては不十分です。容量を超える場合は、最も安い100GBプランでも月額260円、年間2440円の追加費用が必要となります。つまり、「無料」と謳いながら実質的には有料サービスへの誘導となっているのです。さらに深刻なのは、プライバシーを重視してローカルアカウントで運用してきたユーザーの存在です。彼らにとって、セキュリティ更新を人質に取られる形でのアカウント強制は、まさに屈辱的な選択となります。
4億台のPCの運命と電子廃棄物問題
パブリックインタストリサーチグループの推計によれば、Windows 11の厳格なハードウェア要件を満たせないPCは約4億台に上ります。これらのPCの多くは2018年から2020年に製造されたもので、性能的にはまだ十分使用可能です。しかし、TPM2.0チップや特定世代以降のCPUという要件により、アップグレードの道が閉ざされています。コンシューマーレポートは、Microsoftの新しいオプションは4億台のWindows 10 PCにとって十分ではなく、ほとんど影響を与えないと批判しています。彼らは、これらのPCが廃棄されれば市場最大規模の電子廃棄物の発生につながると警告しました。
環境団体のリスタートプロジェクトは、Microsoftの決定を「早すぎる廃棄を加速させ、製品寿命延長の努力を台無しにし、資源利用と廃棄物管理システムに追加の圧力をかける」と強く非難しています。フランスでは、計画的陳腐化に反対する団体が「Non aux Windows 2」というキャンペーンを展開し、2030年まで無料サポートを延長するよう要求しています。
Microsoftアカウント強制の代償
最も深刻な問題の一つが、ESU利用におけるMicrosoftアカウントの強制です。これまでローカルアカウントで運用してきたユーザーにとって、これは単なる技術的な変更以上の意味を持ちます。30ドルを支払ってもMicrosoftアカウントは必須となり、金を払ってもプライバシーは守れない状況です。Microsoftアカウントを使用することで、デバイスの使用状況、アプリケーションの利用履歴、検索履歴、位置情報、そしてOneDriveを通じて同期されるファイルの内容など、様々なデータがMicrosoftに収集される可能性があります。
セキュリティ専門家たちは、この要件をプラットフォームロックイン戦略の一環と見ています。一度Microsoftアカウントに紐付けられたデバイスは、事実上Microsoftのエコシステムから離れることが困難になるのです。また、ESUを利用しても一般的な技術サポートは提供されず、何か問題が起きても自己責任となるため、特に技術に詳しくない一般ユーザーにとっては大きなリスクとなります。
段階的展開の混乱と抵抗運動
現在、もう一つの問題が浮上しています。ESUの登録に必要な「エンロールナウ」ボタンが、全てのユーザーに表示されていないのです。Microsoftは10月14日までには全員に表示されると約束していますが、サポート終了まで3週間を切った今、時間的余裕はほとんどありません。この不透明な展開方法に対して、ユーザーからは不満の声が上がっています。技術フォーラムでは「なぜ一斉に展開しないのか」「優先順位の基準は何か」といった疑問が飛び交っています。
この状況に対し、世界中で様々な形の抵抗が起きています。サンディエゴ在住の男性が起こした訴訟では、Windows 10の市場シェアが10%を下回るまで無料サポートを継続するように要求しています。訴状ではMicrosoftの行為を強制的陳腐化と非難し、Windows 11への移行とAI対応ハードウェアの販売促進という反競争的な動機があると主張しています。
技術コミュニティでは、代替手段を模索する動きも活発です。「ゼロパッチ」のようなサードパーティーのセキュリティパッチサービスが注目を集めており、Microsoftの公式サポート終了後も独自にセキュリティパッチを提供することを約束しています。また、LinuxやChromeOS Flexへの移行を推奨するグループも活動を開始しています。彼らはWindows 10のサポート終了をLinuxへの大移動の機会と捉えています。
AIの所感
Windows 10のサポート終了を巡る今回の問題は、単なるOSのライフサイクル管理を超え、デジタル時代における企業の倫理、ユーザーの権利、そしてグローバルなデジタル格差という深刻な課題を浮き彫りにしています。特に、欧州と日本で異なる対応が取られている点は、デジタル市場法のような強力な規制がユーザー保護に果たす役割の大きさを物語っています。一方で、多くのユーザーが「セキュリティ更新」という必要不可欠なサービスを人質に取られる形で、プライバシーの侵害や追加費用を強いられる状況は、現代社会におけるテクノロジー企業の圧倒的な影響力を再認識させます。しかし、このような状況下でも、ユーザーコミュニティや環境団体、そして技術者たちが声を上げ、代替案を模索し、抵抗運動を展開していることは、デジタル社会の健全な発展のために不可欠な動きと言えるでしょう。Windows 10の終焉は一つの時代の終わりを告げますが、同時に私たちに「何を大切にし、何のために戦うべきか」という問いを投げかけています。