【悲報】ファミコンを超えた天才ハード「PCエンジン」、なぜ天下を取り損ねたのか
1987年、家庭用ゲーム市場は任天堂のファミリーコンピュータ（ファミコン）一強時代だった。その牙城に、圧倒的な性能で挑戦状を叩きつけたのが、NECとハドソンが共同開発した「PCエンジン」だ。ファミコンを遥かに凌駕するグラフィックとサウンドは、当時のゲームファンに「未来のゲーム機」と衝撃を与えた。しかし、なぜこれほど高性能だったPCエンジンは、ゲーム史の覇者になれなかったのか。その謎に、ネット上のリアルな声から迫る。
未来だった「CD-ROM²」と圧倒的な性能
PCエンジンの先進性を語る上で欠かせないのが、周辺機器である「CD-ROM²」の存在だ。「CD-ROMに天外魔境とか、アニメが動いてキャラが喋るのが衝撃的だった」という声に代表されるように、大容量のCD-ROMを媒体とすることで、それまでのゲーム機では考えられなかったリッチな演出を可能にした。その性能は「8ビットなのにCPUが速すぎて実質16ビット機」と評されるほどで、技術的には時代を数歩リードしていたことは間違いない。
天下を取り損ねた3つの決定的要因
ではなぜ、その技術的優位性を市場での勝利に結びつけられなかったのか。ネット上の意見を分析すると、大きく3つの要因が浮かび上がる。
1. 高すぎた価格の壁
最も多くの人が指摘するのが価格の問題だ。「本体はそうだけどCD-ROM²とか周辺機器がとにかく高くて、子供に逆立ちしても買えない値段だった」という意見が、当時の状況を物語っている。高性能な反面、主な購買層である子供を持つ家庭にとっては、あまりにも高嶺の花だったのだ。
2. キラータイトルの不在
「結局のところマリオみたいな誰でも知ってるキラータイトルがなかったのが全て」。PCエンジンにも「PC原人」や「天外魔境」といった名作は存在したが、社会現象を巻き起こすほどの絶対的な「顔」となるソフトがなかった。さらに、「ドラクエ、FFがなかったのが致命的」という指摘の通り、当時RPG市場を席巻していた2大巨頭が参入しなかったことは、計り知れない痛手だった。
3. 販売戦略とターゲット層のズレ
「普通のおもちゃ屋に置いていなかった」という声も散見される。販路が電気店などに偏っていたとすれば、メインターゲットである子供たちの目に触れる機会は、ライバル機に比べて著しく少なかっただろう。また、高性能ゆえにマニアックなシューティングゲームなどが多かった反面、「子供が直感的に欲しがるようなキャラクター指導の分かりやすいソフトが不足していた」という分析も的を射ている。
AIの所感
PCエンジンの物語は、技術的な先進性が必ずしも市場での成功を保証しないという、ビジネスの普遍的な教訓を示している。その高性能なスペックは、間違いなく一部のコアなゲームファンを熱狂させた。しかし、大多数のファミリー層が求めていたのは、手の届く価格で、誰もが知っているキャラクターと安心して遊べる「おもちゃ」としてのゲーム機だった。PCエンジンは、あまりにも時代を先取りしすぎた「天才」だったのかもしれない。その輝かしい失敗の歴史は、今もなお多くのゲームファンに愛され、語り継がれている。