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【衝撃】中国、世界初の「トリウム溶融塩炉」成功!夢の次世代エネルギーが誕生か?

【衝撃】中国、世界初の「トリウム溶融塩炉」成功!夢の次世代エネルギーが誕生か?

2025年11月1日、中国西部のゴビ砂漠でエネルギーの歴史を変える発表が行われました。中国科学院上海応用物理研究所が建設した出力2MWの液体燃料型トリウム溶融塩実験炉が、トリウムから核分裂性ウラン233への転換に世界で初めて成功したのです。この実験炉は現在世界で唯一稼働しているトリウム燃料を消化した溶融塩炉となっており、今回の成功は理論上可能とされていた技術を初めて実証したという点で画期的な意味を持ちます。

次世代原子炉「溶融塩炉」の革新性

この技術の核心となる溶融塩炉は、従来の原子炉とは根本的に異なる仕組みを持つ第4世代の先進的原子炉です。現在主流の加圧水型原子炉が固体燃料を使用するのに対し、溶融塩炉は核燃料を700℃近い高温で液体状になったフッ化物に直接溶かし込みます。この燃料入りの液体塩が炉心と熱交換器の間を循環することで、核分裂で発生した熱を取り出し発電に利用するのです。

液体燃料というコンセプトがもたらす利点は多岐にわたります。まず、常圧に近い状態で運転できるため、従来の原子炉のような巨大で頑丈な圧力容器が不要となり、配管破損による冷却材喪失事故や水素爆発といったリスクを劇的に低減できます。さらに、冷却材が溶融塩そのものであるため、海や川の近くに立地する必要がなく、水資源の乏しいゴビ砂漠に建設されたのはこの利点を象徴しています。700℃以上の高温で運転できるため、熱から電気への変換効率も従来の原子炉の30%台から40%以上に向上します。

豊富な資源、廃棄物削減、核不拡散性:夢の核燃料「トリウム」

トリウムという元素自体も注目に値します。トリウムはそれ自体が核分裂するわけではない親物質ですが、原子炉内で中性子を吸収すると核分裂性ウラン233へと変化します。このプロセスが今回中国が成功させたトリウム-ウラン転換です。トリウムは地殻中にウランの3倍から4倍も豊富に存在するとされ、特に中国は世界第2位とされる豊富なトリウム埋蔵量を誇ります。

トリウム燃料サイクルでは、プルトニウムやマイナーアクチニドといった半減期が数万年にも及ぶ高レベル放射性廃棄物の生成量が、従来のウラン燃料サイクルに比べて桁違いに少なくなります。これにより最終処分上の問題を大幅に軽減できると期待されています。さらに、トリウムから生成されるウラン233には常に不純物としてウラン232が混入し、このウラン232は崩壊過程で非常に強力なガンマ線を放出するため、核兵器への転用を目的とした取り扱いや隠蔽が極めて困難になります。豊富な資源、廃棄物の削減、核拡散への抵抗性から、トリウムはしばしば「夢の核燃料」と称されるのです。

中国の国家戦略と今後の展望

溶融塩炉の概念自体は新しいものではなく、1950年代から60年代にかけて米国で研究開発されましたが、技術的課題から1970年代に打ち切られました。その技術のバトンを受け継ぎ、半世紀の時を経て花開かせたのが中国でした。2011年に始まったトリウム溶融塩プログラムには100を超える研究機関、大学、企業が参加し、腐食に耐える特殊材料の開発から核燃料の生成技術、各種センサーやポンプに至るまで、主要な設備をほぼ全て国内で開発し、独立したサプライチェーンを構築しました。このオールチャイナ体制による集中的な投資と人材投入こそが、米国が超えられなかった壁を突破する原動力となったのです。

今回の成功はあくまで出力2MWの実験炉における技術実証に過ぎず、商用利用への道のりはまだ長く多くの課題が残されています。上海応用物理研究所は次のステップとして、2035年までに200MW級の実証プロジェクトを完成させ、実用化のデモンストレーションを行うことを目標に掲げています。この規模拡大の過程では、材料の長期的な耐久性、より効率的なオンライン化学処理システムの確立、そして経済性の追求といったさらなる技術的ハードルが待ち受けているでしょう。

AIの所感

中国が世界で初めてトリウム溶融塩炉によるトリウム-ウラン転換に成功したことは、次世代エネルギー開発における画期的な一歩であり、世界のエネルギー情勢に大きな影響を与える可能性を秘めています。豊富な資源量、高レベル放射性廃棄物の大幅な削減、そして核兵器転用が困難であるというトリウム燃料サイクルの特性は、エネルギー問題と環境問題、さらには核不拡散問題に対する希望の光となり得ます。

しかし、商用化への道のりは決して平坦ではありません。材料の長期的な耐久性や、強力なガンマ線を放出するウラン232の存在による保守管理の複雑さなど、技術的・経済的な課題は山積しています。中国がこれらの課題を克服し、溶融塩炉の商用化に成功すれば、エネルギー資源を持たない国々にとっては新たな選択肢となり、世界のエネルギー地政学を根底から覆す可能性を秘めています。原子力コンテナ船や原子力空母など、軍事分野への応用も視野に入れているとの指摘もあり、その影響は測り知れません。

この「砂漠の炎」が示すのは、技術それ自体に善悪はなく、それを扱う者の意思のみがその本質を定めるという普遍的な問いです。人類が原子という名の力をどう使うのか、その選択は測り知れぬほど重い。トリウム溶融塩炉の成功は、私たちに技術の進歩とそれに伴う代償、そして未来への責任を改めて問いかけていると言えるでしょう。

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