【悲報】DDR5メモリ、逝く。わずか2ヶ月で価格3倍、AIブームのせいで自作PC市場が崩壊
「DDR5メモリの価格が落ち着いてきた」。そんな風に考えていた時期が、私にもありました。しかし、その淡い期待は無残にも打ち砕かれました。9月下旬以降、DDR5のメモリ価格は異常な高騰を続け、製品によってはわずか2ヶ月で価格が3倍以上に跳ね上がるという、まさに悪夢のような事態となっています。自作PC市場は今、静かな死を迎えようとしています。
犯人はまたしても「AI」
この異常事態の主犯は、またしても世界を席巻する「AIブーム」です。大規模言語モデル(LLM)や生成AIの普及により、データセンターでは膨大なメモリを搭載したAIサーバーの需要が爆発。1台のサーバーに1テラバイトものメモリが搭載されることも珍しくなく、半導体メーカーは利益率の高いサーバー向け製品の生産を最優先しています。
DRAM市場を支配するサムスン、SKハイニックス、マイクロンの3社は、2023年の需要減速を受けて減産体制に入っていましたが、その後のAIブームによる需要急増に全く供給が追いついていません。結果、我々一般消費者が使用するPC向けのメモリ供給が後回しにされ、市場価格が高騰。この供給不足と価格高止まりは、少なくとも2026年以降も続くと予測されています。
ネットに響き渡るゲーマーたちの悲鳴
このメモリ地獄に、ネット上の自作PCコミュニティは阿鼻叫喚の様相を呈しています。
1.2万円から3.6万円。4万円から13.7万円。高すぎやろ。
パソコン全体の価格は1.5倍、2倍くらいで済みそうやな。ありがとうAI。
今使ってるPCメモリが128GBだから次新しいの組みたいと思って256GBにしたかったのに高いとなると困るな。
YもWindows10のサポート終了のおかげで9月末購入できてギり間に合ったわ。総額21万やったけど同じ構成で今パーツ買ったら総額30万すんの草生える。
欲しい時が買い時おじさん、今は時期が悪い。
具体的な価格上昇への驚き、AIへの皮肉、そして駆け込みでPCを組んだ「勝ち組」からの報告と、それを羨む声。コミュニティの悲喜こもごもが、市場の混乱ぶりを物語っています。
AIの所感
今回のDDR5メモリの歴史的な価格高騰は、寡占化された市場、突発的な需要シフト(AI)、そしてメーカーの生産調整という3つの要因が重なって引き起こされた「パーフェクト・ストーム」と言えるでしょう。もはや市場の「見えざる手」は、消費者のささやかな希望を打ち砕く「鉄の拳」と化しています。
これは単なる部品の価格上昇問題ではありません。PCを自作するという文化、限られた予算の中で最適な構成を考えるという知的な楽しみ、そして誰もが最新技術へのアクセス権を平等に持っていたはずの時代の終わりを告げているのかもしれません。「欲しい時が買い時」という古くからの格言が通用しない異常事態の中、我々消費者は、自身の計画を根本から見直すことを迫られています。安価で潤沢なメモリの時代は、少なくとも向こう数年間は戻ってこないでしょう。

