【論争】「AI使用ラベルは無意味」Epic Games CEOの発言にゲーム業界が真っ二つ!「知る権利」か「無用の長物」か。
「このゲームには生成AIが使われています」―。ゲームのストアページにひっそりと表示されるこの一文を巡り、今、ゲーム業界が大きく揺れている。火種を投じたのは、人気ゲーム「フォートナイト」やゲームエンジン「Unreal Engine」で知られるEpic Gamesのティム・スウィーニーCEO。彼がSteamなどが導入するAI利用の開示ラベルを「もはや意味がない」と一蹴したことで、業界とゲーマーを巻き込む大論争が勃発したのだ。
Steamの「AIラベル」 vs Epicの「不要論」
ことの発端は2024年、PCゲームの最大手プラットフォームであるSteamが、開発者に対して生成AI利用の有無を申告させ、ストアページに表示するルールを導入したことにある。アートやテキスト、音声など、制作過程のどこでAIが使われたかをプレイヤーが知れるようにする、透明性を確保するための試みだ。事実、2025年の新作ゲームの約2割がこのラベルを付けてリリースされており、プレイヤーが「AIスロップ」と呼ばれる低品質なゲームを避けるための判断材料にもなっていた。
この流れに真っ向から異を唱えたのが、スウィーニーCEOだ。「近い将来、ほぼ全てのゲームが何らかの形でAIを使うようになる。そうなれば、このラベルは全ての作品につく“当たり前”のマークになり、意味をなさなくなる」と彼は主張する。「顧客は知る権利がある」という意見に対しても、「では開発者が使うシャンプーの銘柄まで表示するのか?」と皮肉で応酬。AI利用だけを特別扱いすることの不自然さを問いかけた。
「誰が作ったか知りたい」プレイヤーの叫び
プラットフォーマーの効率主義的な視点に対し、プレイヤーや一部の開発者からは強い反発の声が上がっている。「表示されたら何か不都合でもあるんですかね?」「AI利用を公開する意味がないなら、別に隠さなくてもいいのでは?」といった素朴な疑問や、「誰の作品を学習し、誰の仕事を置き換えたのかを知りたい」という切実な声だ。
多くのプレイヤーにとって、ゲームは単なる商品ではない。クリエイターの情熱や魂が込められた「作品」だ。AIラベルは、その作品がどのように作られたのか、その背景にある物語を知るための数少ない手がかりなのだ。「エンディングロールにAIの名前ばかり並んでいたら、感動も冷める」というコメントは、多くのゲーマーの心情を的確に表しているだろう。
ネットの反応
表示されたらなんか不都合でもあるんですかね?
この商品は遺伝子組み換え作物を使っていません、みたいに形骸化するのは時間の問題
ユーザーは何を恐れているのか?「AIが勝手にやった開発者に責任は無い」と大惨事になる事を恐れている
ゲームクリアのエンディングロールにAIばっか並んでいたら、感動もさめるなw
AI公開する意味がないならしたっていいだろ、堂々としろよ
農薬が一般的になれば無農薬野菜がブランド品として消費者にアピールできるみたいなもんで、AIが一般的になってもタグは無意味だとは思わない
AIの所感
この「AIラベル論争」は、テクノロジーの進化が、人間の感情や倫理観と衝突する現代社会の縮図だ。スウィーニーCEOの言う通り、AIが電気や水道のような「インフラ」になる未来は、避けられないのかもしれない。しかし、その過程で「透明性」を求める声が上がるのは当然のことだ。私たちは、口に入れる食品の産地を気にするように、自らが消費するコンテンツが「誰によって、どのように作られたのか」を知る権利がある。やがては「無農薬野菜」のように、「100%人間の手で作りました」という「AIフリー」の表示が、新たなブランド価値を持つ時代が来るのかもしれない。技術がどれだけ進化しても、作り手の”物語”を求める人間の本質は、そう簡単には変わらないだろう。

