Windows 11最新アップデートに「フラッシュバン」不具合発生!ダークモードユーザーを襲う白い閃光の正体とは
Windows 11の最新アップデート「KB5070311」を適用後、ダークモードを使用しているユーザーの間で、エクスプローラーを開く際に一瞬画面が白く閃光を放つ、通称「フラッシュバン」不具合が報告されています。目の負担を軽減するためにダークモードを選択しているユーザーにとっては、この突然の白い光が集中力を妨げ、疲労感を増大させるとして大きな問題となっています。
白い閃光の発生源と影響範囲
この白い閃光の源は、2025年12月1日に公開されたWindows 11向け更新プログラム「KB5070311」にあります。これはセキュリティ目的ではないプレビュー更新で、バージョン24H2と252の環境に配信されています。Microsoftのサポート情報にも、この更新を適用後、ダークモードのエクスプローラーを開く際に問題が発生する可能性があると明記されており、ファイルやフォルダーを読み込む前にWindowsウィンドウ全体が一瞬空白の白い画面として表示されると説明されています。
白い画面はエクスプローラーの起動時だけでなく、ホームやギャラリーへの移動、新しいタブの作成、詳細ペインの表示/非表示、さらにはファイルコピー中の詳細表示など、ファイル操作に関わる日常的な多くの動きで発生しうるとされています。しかも、ダークモード環境でのみ発生し、ライトモードでは再現しないことが検証から判明しています。Microsoft自身もこの現象を既知の問題として認めており、原因の特定と修正に取り組んでいますが、現時点で公式な回避策は提示されていません。
ダークモード改善の裏に潜む新たな問題
皮肉なことに、KB5070311自体はダークモードの改善を掲げた更新プログラムです。これまでWindows 11では、エクスプローラー本体がダークモードでも、ファイルのコピーや移動、削除といった操作で表示されるダイアログが突然まぶしい白で現れることが多く、ダークモードの意味を半減させていました。この更新では、その欠点を埋めるべく、削除確認やファイル使用中の警告、コピーと移動の進行状況といったダイアログが一斉にダークモードに対応したと報告されています。
全体としては操作の一貫性と視覚的な統一感を高めることを目的としたアップデートだったにもかかわらず、暗闇に優しくなったはずのダイアログの裏で、ウィンドウが描画される最初の一瞬だけ真っ白な背景が露出するという新たな問題が生じてしまいました。ファイル操作そのものに致命的な影響はないものの、視覚的な体験としては更新の魅力を大きく削いでしまっています。
長年続く「白いフラッシュ」の歴史とMicrosoftの姿勢
実は、このような「白いフラッシュ」問題は、Windowsのダークモードの歴史の中で繰り返されてきた課題です。2016年にWindows 10でダークモードが導入されて以来、9年近くにわたって改良が続けられてきましたが、システム全体が完全に暗い配色で統一されることはなく、古いコンポーネントやダイアログが明るいまま残り続けることが問題視されてきました。ブラウザの世界でも、ChromeやEdgeでダークテーマを使用していても、新しいウィンドウを開く瞬間に白い背景が一瞬表示されるという問題が長年の悩みとして語られてきました。
Microsoftは、2025年初頭にはChromeやEdge向けにこの白いフラッシュを抑える修正を提供し、ダークモード利用者から歓迎の声が上がった経緯があります。それだけに、同じ年の終わりにエクスプローラー側で新たな白い点滅が現れたことには、利用者から落胆の声も上がっています。
利用者の声と選択の重み
エクスプローラーとダークモードの相性の悪さは、今回の更新が初めて生んだ問題ではありません。Microsoftのコミュニティサイトには、以前の更新でエクスプローラーが白いままになり、目の不調を理由に黒い画面を必要としているユーザーからの訴えが残されています。こうした問題の報告からは、単なる見た目のおかしさだけでなく、集中力の低下や疲労感の増大といった感覚的な負担が滲み出ています。
KB5070311は、セキュリティ更新ではないため、必ずしも全員が即座に適用する必要はありません。Microsoftはこの更新をプレビュー扱いとして提供しており、設定画面で明示的にダウンロードとインストールを選んだ場合にのみ適用されます。新しい機能を先取りして試すか、視覚の安定を優先して一時的に距離を置くか、利用者は選択を迫られています。
AIの所感
Windows 11の最新アップデートで発生した「フラッシュバン」問題は、単なるバグ以上の意味を持つように思われます。ダークモードというユーザーの快適性を追求する機能の裏側で、長年解決されずに残されてきた描画の問題が露呈した形です。Microsoftがユーザー体験の向上を目指す中で、過去の技術的負債や複雑なシステムのしがらみが、時にユーザーにとって新たなストレスとなる現実を浮き彫りにしています。この問題は、企業が新機能の追加やデザイン変更を進める際に、安定した基本的なユーザー体験をどこまで重視するかという設計思想が問われていることを示唆しています。今後の修正パッチによってこの白い閃光は消えるかもしれませんが、ユーザーが一度抱いた「またアップデートで何か変わるのでは?」という不信感は、簡単に拭い去れるものではないでしょう。

