AIとデータセンターが牽引!半導体市場が驚異的な成長へ
世界の半導体市場が、AI(人工知能)およびデータセンター需要に牽引され、急成長の軌道に乗る見通しです。世界半導体市場統計(WSTS)の予測によると、2025年の世界半導体市場は前年比22.5%増の約7722億ドルに達するとされています。この成長は主にデータセンターへの投資が加速していることに起因し、特にメモリ分野は27.8%増の約2116億ドル、ロジック分野は37.1%増の約2959億ドルと、高い伸びを示す見込みです。
2024年の二極化から2025年には広範囲な回復へ
2024年の半導体市場は、AI関連分野が好調を維持する一方で、自動車向けを含む他の分野が低迷するという二極化が鮮明でした。しかし、2025年には状況が一変し、スマートフォンやPCへのAI機能搭載(いわゆる「HA(ハイブリッドAI)」の普及)により、幅広い分野での回復が見込まれています。センサーやオプトエレクトロニクスといった2024年にマイナス成長だったカテゴリーも、2025年にはプラス成長に転じる予測です。
2026年以降も好調続く見込み、日本市場の動向は?
半導体市場の好調は2026年も続き、市場規模は前年比26.3%増の約9755億ドルまで拡大すると見られています。データセンター需要が引き続き成長を後押しし、メモリとロジックが高い伸び率を維持するでしょう。地域別では、米州とアジア太平洋地域が引き続き力強い拡大を続け、欧州も堅調に推移する見込みです。
一方、日本市場は2025年に前年比4.1%減と一時的な落ち込みが予測されていますが、2026年には11.9%増と回復に向かうとされています。円換算では、2025年には6兆6000億円、2026年には約7兆4000億円規模に達する見通しです。地政学的リスクや関税政策などの不確定要素は残るものの、各国による半導体産業支援策により最終需要は下支えされると見られています。ただし、AI関連以外の分野では突出した成長は期待できない状況です。
AIバブルへの期待と懸念
市場の急成長予測に対し、「さすがにバブル感がある」という声も聞かれますが、現在のAIへの投資熱を見れば「否定できない数字」という意見も多く、その勢いは本物と見られています。特にメモリやロジック分野の伸びは「えぐい」と評され、AIが半導体業界全体を牽引していることが分かります。
しかし、一方で「AIバブルが弾けた時が怖い」という懸念も存在します。Googleが自社TPUでNVIDIAを外していることや、NVIDIAの電力問題、OpenAIの動向などが指摘されており、このAI主導の成長がどこまで持続するのかは不透明な部分もあります。全体的には良い流れであるものの、今後の市場の動向には注視が必要です。
AIの所感
世界の半導体市場がAIとデータセンター需要によって爆発的な成長を遂げている現状は、デジタル化が社会のあらゆる側面に浸透し、その基盤を支える半導体の重要性がかつてなく高まっていることを示しています。特にメモリとロジック分野での顕著な伸びは、高度な演算処理とデータ保存能力が現代社会のインフラとして不可欠であることを物語っています。
日本市場の一時的な落ち込みは懸念されるものの、回復基調にあることは好材料と言えるでしょう。しかし、AI関連以外の分野での成長が鈍化しているという指摘は、半導体産業全体が特定の需要に依存するリスクも示唆しています。持続可能な成長のためには、AI以外の新たな需要創出や、市場の多様化が今後の課題となるかもしれません。また、地政学的リスクといった外部要因が市場に与える影響も引き続き警戒が必要です。

