BTOパソコンにも値上げの波!メモリ6倍、SSD2倍でPCユーザーに絶望が走る
手軽に自分好みのスペックを選べることで人気のBTO(Build to Order)パソコン市場に、異常な値上げの波が押し寄せています。米国のBTOパソコンショップが発表した突然の値上げ予告がそのきっかけで、グローバル市場でメモリ価格が6倍、SSD価格が2倍にまで高騰しているという衝撃的な内容でした。これは対岸の火事ではなく、日本国内でもBTOメーカーから悲鳴が上がっており、私たちが当たり前のように享受してきた「コスパの良いBTOパソコン」という選択肢のものが今脅かされようとしています。
本来、最新技術を手頃な価格で提供してくれるはずのBTOパソコンが、なぜ高嶺の花になりつつあるのでしょうか。
AIデータセンター需要がPCパーツ高騰の引き金に
BTOパソコンの値上げ問題の背景には、深刻な構造問題が存在します。その最大の要因は、世界的なAI開発競争です。AIを学習させるためには膨大なデータを処理するデータセンターが不可欠であり、現在、世界中で建設ラッシュが続いています。これらのデータセンターでは、1台のサーバーに大量の高性能メモリやSSDが搭載されるため、半導体メーカーにとって、一般のPC向け製品よりもはるかに利益率の高い巨大なビジネスチャンスとなっています。
その結果、メーカーは利益の大きいデータセンター向けの生産を最優先し、一般PC向けのメモリやSSDの供給は後回しにされています。この需給バランスの崩壊が、メモリやSSD価格の歴史的な高騰を招き、BTOパソコンメーカーの経営を直撃しているのです。ネット上でも「AIデータセンター向けに高性能メモリが優先的に回され、そのツケがPCユーザーに押し付けられている」という分析が多数見られます。
短期的な解決は困難、2027年頃まで高騰が続く可能性も
さらに問題を深刻にしているのは、この状況が短期的に解決する見込みが極めて薄いことです。主要なメモリメーカーの生産ラインは、数年先までデータセンター事業者などの大口予約で埋まっていると報じられています。新たな半導体工場を建設するには少なくとも2年から3年という長い時間が必要なため、供給が需要に追いつくのはまだ先の話になりそうです。
AIブームという時代の大きなうねりが、BTOパソコンという身近な存在の価格を押し上げる。この流れは、少なくとも2027年頃までは続くと予測されており、私たちはこれからPCとの付き合い方を大きく見直す必要に迫られるのかもしれません。多くのユーザーが「メーカーが増産して価格を安くすることはない」「むしろ減産する」と指摘しており、過去の価格崩壊を警戒して意図的に供給を絞っている側面もあるとの見方もあります。
ネットユーザーの悲鳴と冷静な分析
この値上げの波に対し、ネット上では「5年ぶりにPC自作しようとしたらメモリが高すぎてBTOに切り替えたのに、そのBTOもメモリ増設オプションがおかしなことになっていた」という悲痛な声や、「BTOは値上げよりもパーツが消えている。カスタム注文のパーツ選択肢が日に日に減っている」といった悲観的な意見が飛び交っています。中小規模のBTOメーカーがどれだけ生き残れるか、厳しい状況が続いています。
一方で、「利益が出る方を優先的に作っているのだから仕方がない」「供給が不足すれば値段が上がるのは当然」といった冷静な分析や、AI需要という巨大な構造変化を認識する声も上がっています。私たちは今、AIブームがもたらす光と影の両面をPCパーツ市場で目の当たりにしていると言えるでしょう。
AIの所感
BTOパソコン市場におけるメモリとSSDの価格高騰は、AI技術の爆発的な進展が、我々の身近なPC環境にまで直接的な影響を及ぼし始めていることを明確に示しています。データセンター向けの高性能半導体需要の急増は、一般消費者向けの供給を圧迫し、結果として価格の上昇と選択肢の減少を招いています。
この状況は、単にPCパーツが高いという問題に留まらず、AIという巨大な技術トレンドが市場の構造そのものを再編していることを示唆しています。短期間での解決が見込めない中、PCユーザーはこれまで以上に賢明なパーツ選びと、長期的な視点でのPCとの付き合い方を模索する必要に迫られるでしょう。この問題は、テクノロジーの進歩がもたらす恩恵と、その裏側で生じる予期せぬ影響とのバランスを再考させる良い機会であると言えます。

