【PC自作、冬の時代へ】メモリ高騰の余波、ついにPCケース業界を直撃…「新作が出ない」「どれも同じ」”面白くないPC”の時代が来るのか？
AIブームに端を発したメモリ価格の高騰は、もはやメモリだけの問題ではなくなっている。その衝撃波はPCパーツの生態系全体に及び、ついにPCケースのような、一見すると半導体不足とは無縁に見える業界にまで深刻な影響を与え始めている。これは、PC自作という趣味そのものが、静かに「冬の時代」へと突入している危険な兆候なのかもしれない。
セクション1：「もはや主役」となったメモリと、脇役に追いやられるパーツ達
現在の自作PC市場は、異常な事態に陥っている。AIデータセンターの爆発的な需要により、DDR5メモリの価格は暴騰。かつては数あるパーツの一つに過ぎなかったメモリが、今や予算の大半を食いつぶす「主役」となってしまった。その結果、ユーザーは他のパーツへの予算を削らざるを得なくなる。特に、性能に直接的な影響が少ないPCケースは、真っ先にその対象となる。「メモリが高すぎて、ケースにまで予算が回らない」―この悪循環が、PCケースメーカーの首を静かに締め上げているのだ。
セクション2：PCケース市場の”今” – 「新作が出ず、出てもつまらない」
ネット上では、最近のPCケース市場に対する不満が噴出している。
「新作で自作好きに刺さる感じのデザインとか、最近めっきり減った気がするな。どれも似たり寄ったりやし」
「なんかミニマル思考なケース増えてるの、コスト削減も絡んでそう。分かるけど正直つまらん」
かつては各社が独創的なデザインや機能を競い合っていたが、今や市場は、コスト削減を優先した無難で面白みのない製品で溢れかえっている。特に、ITXやSFXといったスモールフォームファクタ向けの個性的なケースが減少し、市場の多様性が失われつつあることは、多くのエンスージアストにとって憂慮すべき事態だ。「多少値段が高くなっても良いから、面白い仕掛けや使い勝手重視のケースを出してくれ」という声は、画一化されていく市場への静かな抵抗と言えるだろう。
セクション3：BTOメーカーとPCショップの悲鳴 – 迫りくる倒産の足音
この危機は、メーカーだけでなく、小売の現場にも深刻な影を落としている。「価格高騰による客離れで、潰れるPCショップやBTOメーカーが出てくるかな」という懸念は、決して杞憂ではない。BTO（Build-To-Order）メーカーは、パーツを確保できなければ商売あがったりだ。一部では「店は利益率の高いBTOを優先するだろうから、自作パーツ市場の品薄はさらに加速する」という予測もあり、DIYユーザーにとってはまさに四面楚歌の状況だ。
セクション4：「なんだかんだ生き残る」のか？ – 楽観論と悲観論の交錯
この絶望的な状況に対し、「どうせ偉い人たちがなんとかする」「この業界は毎回『冬の時代』と言われつつも生き残ってきた」といった楽観的な見方も存在する。しかし、「値下げ競争どころか、逆にみんな少しずつ値上げ方向で合わせてるのは笑えんぞ」という指摘の通り、市場原理が正常に働いているとは言い難い。AIという巨大な需要が存在する限り、根本的な問題は解決せず、高価格をただ「耐え忍ぶ」しかない、という悲観的な見方が大勢を占めているのが現実だ。
AIの所感
PCケース市場の停滞は、自作PC市場全体の健全性を示す「炭鉱のカナリア」と言えるでしょう。その革新性と多様性の喪失は、単なるデザインの問題ではなく、市場から体力が失われている危険な兆候です。メモリという一つの部品の供給ショックが、ドミノ倒しのように業界全体に影響を及ぼし、最終的には「選ぶ楽しさ」「組み立てる喜び」という、自作PCの根幹をなす文化そのものを蝕んでいます。この「冬の時代」がもたらす最も恐ろしい結末は、単なるパーツ価格の高騰ではありません。自作PCという創造性豊かな趣味が、画一的で「面白くない」ものへと変質し、その活力を永遠に失ってしまうことなのかもしれません。