【阿鼻叫喚】PCパーツ市場「メモリ」争奪戦が激化!「AI需要」と「Windows10終了」でBTOメーカー悲鳴、まさかの「全製品受注停止」も
PCパーツ市場、特にメモリの分野で未曾有の事態が進行している。世界的なAIブームとWindows 10サポート終了がもたらした需要急増の裏で、BTO(受注生産)PCメーカーは販売停止、納期の大幅遅延、そして事実上の値上げを連日ユーザーに告知。ついには「全製品受注停止」という異例の判断を下すメーカーまで現れ、歓迎されるべき需要増が、なぜユーザーの不利益につながるのかという矛盾が浮き彫りになっている。
「嬉し悲鳴」の裏側:BTOメーカーを襲う「負の連鎖」
複数のBTO PCメーカーが連日、想定を大きく上回る受注に悲鳴を上げている。
大手BTOメーカーのマウスコンピューターは、想定を上回る受注増加によって工場の逼迫とパーツ不足が発生していると発表。一部製品の販売停止や納期の大幅な遅延が発生する見込みであるとし、1月以降には製品価格の変更(事実上の値上げ)を行うことを明らかにしている。
別のメーカーであるブルートテックPCも、世界的に一般PC向けメモリの供給が悪化していることを指摘。価格上昇前のメモリ在庫がなくなり次第、順次価格改定を行うと発表しており、これもまた値上げのカウントダウンを示唆する。さらに、現在採用しているメモリの中には入荷が未定、あるいはメーカーからの受注が停止している製品も多いことから、一部モデルやオーダーメイド製品については注文の停止、または納期の大幅な遅延の可能性を伝えている。
そして最も注目すべきは、サイコムの対応だ。同社は、想定を大きく上回る注文に対応するため、一時的に全製品の受注を停止するという極めて異例の判断を下した。サイコムによれば、これは製造上の理由ではなく、ユーザーへの見積もりや相談など、一件一件の問い合わせに対してこれまで通り丁寧に対応する体制を維持するための判断だという。つまり、急増した注文の処理能力以上に、一人一人のユーザーに対する対応品質を最優先するために、あえて注文そのものをストップするという決断を下したのだ。
これらのメーカーの動きが示すことは、まさに「値上げの懸念から発生した駆け込み需要」が市場を一気に熱狂の渦に巻き込んでいるという現実だ。価格が上がる前に少しでも安価にPCを手に入れたいというユーザーの合理的な行動の結果、メーカーの供給体制が限界を迎え、販売停止や納期延期といった「負の連鎖」が引き起こされている。
「完璧な嵐」の背景:AIブームとユーザー心理
この駆け込み需要の背景には、複数の世界的な要因が複雑に絡み合っている。
第一の要因は、やはり「AI分野での需要急増」だ。高性能なAIを動かすには膨大なデータを高速で処理するための大容量かつ高速なメモリが不可欠。このAI向けメモリ(HBM)の製造ラインが、一般PCに使われるDRAMの製造リソースを圧迫しているという構造的な問題がある。米半導体大手マイクロンがコンシューマ向け事業の一部撤退を発表するなど、業界再編も進んでいる。
第二の要因は、予見された値上げとそれに対するユーザーの防衛的行動、すなわち「駆け込み需要」だ。メモリの高騰は継続しており、PC全体の価格上昇は不可避と見られていた。この「値上げがいつ、どれくらいの幅で実施されるか」という不確実性が、ユーザーに「今しかない」という強い動機付けを与えた。マウスコンピューターが以前から「なるべく早めの購入を」と強く勧めていたのは、まさにこの事態を予見していたからに他ならない。
第三に、Windows 10のサポート終了に伴うPCの買い替え需要が時期的に重なり始めていることも、潜在的な需要層を掘り起こす形になっている。
そして、ユーザー心理もこの混乱を加速させている。過去のマイニングブームやグラフィックボードの品薄を経験したユーザーは、「情報が出た瞬間に動かないと負け」というトラウマ的な学習をしており、それが今回の駆け込み需要を加速させた最大の心理的要因であると分析できる。
ネットの反応
「オイルショックならぬ半導体ショックか。備蓄できないのが辛いな。」
「PCパーツ界隈AIの影響でカオス加速中か。今買っとくしかないな。情報感謝。」
「値上がりの噂が出た瞬間必要だからじゃなく今のうちに出動くのがPC市場の修正みたいなもんだ。」
「トイレットペーパーの時からまるで成長していないじゃないか。パニック買いは結局本当に必要な人の首を閉めるだけなんだよ。」
「マイニングブームの時に散々痛い目みた人多いだろうからね。情報が出た瞬間に動かないと負けって学習しちゃってるんだよ。」
「間違いなく。今は時期が悪いはずなのに今後もさらに深刻化することを考えるとむしろ今が買い時みたいになってるの。さすがの今は時期が悪いおじさんも一枚ですよ。」
「需要爆増でメーカーも悲鳴。サイコムが受注停止したのも分かる気がする。急な注文増で徹夜続きだろうし問い合わせ対応も地獄だろう。」
「昨日マウスコンピューターからPC届いてギリギリ間に合った。自作するよりも製造してもらった方が全然安かった。」
「マイクロンのコンシューマ向け撤退な。選択肢が減るのは価格競争にも影響する。」
「こんなの値上げ前だけで値上げした途端PC冬の時代が来る。でも次の冬がいつ終わるかは誰も教えてくれないから困る。」
「上げするならせめて先に十分な在庫確保してから発表してくれよってのは誰もが思うことだろうけどそれができないのが今の市場の限界なんだろう。」
「メーカーの告知が駆け込みに拍車をかけてるのも皮肉な話だ。でも言わないとメーカーが潰れるかもしれないし難しいところ。」
「もう自作PCの敷居が上がってBTO可能と一択になる流れだな。気軽にパーツを選べなくなるのは寂しい。」
「うちの会社も急いでPCを大量発注してた。間に合うか心配だわ。企業需要も半端ないんだろうな。」
AIの総括
今回のPCパーツ市場の混乱は、構造的な供給不足、予見された値上げ、過去の経験に裏打ちされたユーザー心理、そして時期的なPC買い替えサイクルが、まるで「完璧な嵐」のように重なり合い引き起こされたものだ。メーカーの悲鳴は、単なる需要過多への不満ではなく、供給体制の限界、そして市場の健全性を維持することが難しくなっているという深刻な警告と受け止めるべきだろう。
サイコムの「品質維持のための受注停止」という決断は、短期的な利益よりも長期的な顧客の信頼とブランドイメージを優先する、特筆すべき戦略であったと言える。しかし、多くのメーカーが値上げを余儀なくされ、ユーザーがパニック買いに走る現状は、市場全体の歪みを示している。
今後も、各メーカーの動向、特に値上げの幅や部品供給の回復時期について注意深く見守っていく必要がある。この混乱がいつ収束するのか、そしてPC市場がこの「嵐」を乗り越え、健全な状態を取り戻せるのか、その行方は不透明だ。

