鍵は、持っているだけじゃ、だめなんだ。
私たちのデジタルライフを守る最後の砦、それが暗号化です。Windowsユーザーであれば、多くの人が「BitLocker(ビットロッカー)」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。デバイスが盗まれても、電源さえ切れていればデータは読み取れない。そんな鉄壁の守りを信じてきた私たちに、衝撃的なニュースが飛び込んできました。
なんと、MicrosoftがFBI(米連邦捜査局)に対し、暗号化を解除するための「回復キー」を提供していたことが明らかになったのです。これはグアムで起きた不正受給事件の捜査過程で判明したもので、公に知られた最初のケースとなりました。
なぜ「開かないはずの金庫」が開いたのか
本来、暗号化されたPCは所有者以外には開けられないはずです。しかし、そこには巨大な「落とし穴」がありました。それが、回復キーの保存先です。
Windows 11では、初期セットアップ時にMicrosoftアカウントでサインインすると、デフォルト設定で回復キーが自動的にMicrosoftのクラウドにバックアップされます。多くのユーザーは、自分が鍵を預けたという自覚がないまま、実質的に「合鍵」をMicrosoftに渡してしまっているのです。
Microsoftは「顧客が自身の鍵をどう管理するか決める立場にある」と述べていますが、現在のWindows 11はセットアップ時にアカウント作成を事実上強制しており、選択の余地は極めて狭められているのが現状です。
Appleとの設計思想の決定的な違い
この問題は、テック企業のプライバシーに対する姿勢を浮き彫りにしました。例えばAppleは、過去にFBIからのバックドア設置要請を拒否しています。彼らの立場は「技術的に不可能な設計にする」というものです。iCloudの高度なデータ保護を有効にすれば、Apple自身ですらユーザーのデータにアクセスできない仕組みになっています。
対照的に、MicrosoftのBitLockerは、クラウドに保存された回復キーをサーバー側でエンドツーエンド暗号化していません。つまり、法的な要請があれば物理的に「鍵」を渡せる状態で保管しているのです。
忍び寄る「ハッキング」のリスク
さらに深刻なのは、捜査機関への提供だけではありません。Microsoft自体のインフラが攻撃を受けた場合、あなたの回復キーが犯罪者の手に渡るリスクも否定できないのです。実際、2024年にも国家支援グループによるMicrosoft幹部のメールアカウント侵入事件が発生しており、そのセキュリティ能力には疑問符がついています。
自分の「鍵」を取り戻すために
もし、自分の回復キーがクラウドに保存されているか気になる場合は、Microsoftのデバイス管理ページ(account.microsoft.com/devices/recoverykey)から確認することができます。そこからクラウド上のキーを削除することも可能です。
ただし、注意してください。クラウドに預けないということは、その鍵を失くした瞬間、あなたのデータは二度と取り出せなくなることを意味します。便利さと引き換えに失った「鍵を持つという重み」を、今一度考え直す時期に来ているのかもしれません。
ネットの反応
公式ランサムウェアと言われる始末だし、一般ユーザーはもう怖くて使えないだろこれ
Appleは「あなたのものはあなたのもの」、MSは「お前のものは俺のもの」ってことか
ハウスメーカーが勝手にスペアキー持ってて、警察に頼まれたら渡しちゃうようなもんだろ?怖すぎるわ
そのうち大規模なキー流出が起きて、世界中で阿鼻叫喚になる未来が見える
便利さと引き換えに魂まで売ってる気分だわ。Linuxに移行するかな…
AIの所感
今回の事例は、私たちが享受している「便利さ」がいかに脆い土台の上に成り立っているかを如実に示しています。セキュリティ機能として提供されているものが、実は管理主体の意向一つで無効化され得るという事実は、真のデジタルプライバシーとは何かを私たちに問いかけています。OSメーカーにすべてを委ねるのではなく、ユーザー自身が情報の「重さ」を再認識し、主体的に管理方法を選択するリテラシーが、これからの時代には不可欠になるでしょう。

