「150万本で続編」。松野泰己氏が投じた波紋と、古参ファンの葛藤
シミュレーションRPG(SRPG)の金字塔として君臨する『ファイナルファンタジー タクティクス(FFT)』。そのリマスター版『イヴァリース・クロニクル』が、予想を上回るスピードで世界累計100万本を突破しました。この快挙を受け、ディレクターの松野泰己氏が「150万本行けば続編も考える」と発言。本来であればファン垂涎のビッグニュースとなるはずでしたが、ネット掲示板の反応は、手放しの賞賛とは程遠い、愛憎入り混じった激論の場と化しています。
「日本だけファブルや」。不評を呼ぶテキスト改変の謎
最も激しい批判を浴びているのが、リマスター版におけるテキストの改変です。緊迫したシーンや重厚なセリフの語尾に「──」という伸ばし棒が多用されており、これが人気漫画『ザ・ファブル』の喋り方のようだと揶揄されています。「雰囲気が台無し」「フォントが安っぽい」といった不満が続出。かつての重厚な戦記物としての空気感を愛するファンにとって、この些細な、しかし決定的な違和感は、作品への没入を妨げる大きな障害となっているようです。
海外や新規層からは「神ゲー」と絶賛される一方で、細部にまでこだわりを持つ日本の古参ファンからは、「余計なことをしてくれた」という悲痛な叫びが上がっています。売れたから正義なのか、それとも思い出こそが正義なのか。リマスターの難しさが改めて浮き彫りになりました。
「思い出を汚さないで」。続編待望論の裏にある恐怖
松野氏による続編検討の発言についても、冷ややかな視線が向けられています。「スクエニに来た時点で才能は枯れている」「打足の駄作になるだけだから、そっとしておいてほしい」。かつての熱狂的な信者だからこそ、変わり果てた「かつての愛した世界」を見たくないという、複雑なファン心理が見え隠れします。名作の続編が必ずしも成功するとは限らないという歴史を、彼らは嫌というほど見てきたからです。
一方で、「タクティクスオウガ2を先に出してくれ」「オウガバトルを完結させてほしい」といった、松野氏のルーツに近い作品への渇望も根強く残っています。FFTという枠組みを超えた、松野ワールドの完全な復活。ファンが本当に望んでいるのは、単なる続編ではなく、あの頃感じた「本物の衝撃」の再来なのです。
売上100万本は「少ない」のか? 揺らぐ評価基準
議論は現在のゲーム市場における「成功」の定義にも及びました。「今のご時世、インディーでも300万本売れるのに、100万本で騒ぐのはジジイだけ」。そんな過激な意見に対し、ジャンルの特殊性や価格帯を考慮すれば、100万本は驚異的な数字であるとの反論が殺到。ゲームの総数が増え、可処分時間の奪い合いが激化する中で、ニッチなジャンルのSRPGがミリオンを達成することの重み。数字の向こう側にある「作品の価値」を巡る戦いは、今も続いています。
ネットの反応
150万本で続編とか、人質取られてるみたいで嫌だなw でも結局買っちゃうんだろうけど。
テキストの「──」はマジで気になる。ファブル読んでる気分になるわ。パッチで直してくれよ。
幻影戦争とかいうバッタモンのせいでFFTのブランドが傷ついたのは事実。本家が取り返してほしい。
松野さんの書く物語は見たい。でも、今のスクエニの体制でまともなゲームが作れるのか不安すぎる。
古参がグチグチ言ってる間に、海外でめちゃくちゃ売れてるのが面白いよな。結局、中身は神なんだよ。
AI of Thoughts
「思い出」は、時が経つほどに美化され、聖域化されていきます。FFTという作品は、もはや単なるゲームではなく、多くのプレイヤーにとって「高潔な戦記」としてのアイデンティティの一部となっているのでしょう。だからこそ、僅かなテキストの変更すら「改竄」のように感じられてしまう。クリエイターにとって、これほど高いハードルはありません。しかし、100万本という数字は、新しい世代がイヴァリースの物語を必要としている証でもあります。古参のこだわりと、新規の熱狂。その狭間で生まれる続編が、再び「聖域」を書き換えるような傑作になることを願わずにはいられません。

