高騰し続けるDDR5メモリ、絶望する自作PC界隈
自作PCユーザーにとって、現在はまさに「冬の時代」と言えるだろう。グラフィックボードの価格高騰は周知の事実だが、それに追い打ちをかけるようにDDR5メモリの相場が爆上がりしている。32GBキットで5万円を超えるのが当たり前、上位モデルに至ってはさらなる高値で取引される現状に、多くのゲーマーが悲鳴を上げている。
かつて「中国製メモリが市場に溢れれば価格破壊が起きる」という淡い期待を抱いていた時期もあった。しかし、2026年現在のリアルは、その期待を無残に打ち砕くものとなっている。中国メーカーのCXMTやYMTCが量産体制を整えているにもかかわらず、なぜ安くならないのか。そこには、素人目には見えない深い闇が潜んでいる。
「安さ」を阻む、技術と政治の巨大な壁
中国製メモリが救世主になれない最大の理由は、製造コストの格差にある。最先端のDDR5を効率よく作るには、オランダASML社が独占するEUV露光装置が不可欠だが、輸出規制により中国はこれを手に入れられない。結果として、旧来の技術を力技で重ねる「多重パターニング」で代用せざるを得ず、チップ一枚あたりの歩留まりが劇的に悪化しているのだ。
同じウェハから取れるチップの数が既存メーカーの半分近くとなれば、当然コストは跳ね上がる。さらに、性能を無理やり引き出すために高い電圧をかけているため、動作温度が高くなりやすいという致命的な弱点も抱えている。夏場のゲーミングPCにおいて、熱を発しやすいメモリはまさに天敵だ。安さを追求した結果、PC全体を道連れにするリスクを誰が取れるというのか。
AI需要という名の「裏切り」
さらに皮肉なことに、中国メーカーの関心はすでに「一般ゲーマー」にはない。彼らが現在、全勢力を注ぎ込んでいるのはAI向けの超高速メモリ「HBM」の開発だ。中国国内でのAI需要、特に監視システムや国家プロジェクト向けの需要は爆発しており、限られた生産枠の多くがそちらに回されている。
「普通のメモリを作って安売りするよりも、高く売れるAI用を作って軍資金を稼ぐ」。企業としては極めて正しい判断だが、格安メモリを待ち望んでいたユーザーにとっては、裏切られたも同然の展開である。CXMT自身も、価格設定を韓国勢(サムスンやハイニックス)と同水準に合わせる方針を示しており、「中華だから安い」という時代は完全に終焉を迎えたと言える。
ネットの反応
2024年頃は32GBが1万4千円で買えたのに、今じゃ3倍以上か。あの時買っておけばよかった。
アメリカの規制が強すぎて、結局中国製を積んだPCは輸出できないし、大手メーカーも採用を見送ってる。普及するわけがない。
メモリの中に何か仕込まれてそうで怖い。ハードウェアレベルで監視とかされたら終わりだしな。
AI需要のせいで一般人が割を食うのはいつものことだけど、メモリまでこうなるとは思わなかった。
CXMTのメモリ、JD.comで見たら8万円近かったぞ。救世主どころかただの高級ブランド気取りで草。
昔の自作PCは「安く組める」のが魅力だったけど、今はもう富豪の趣味だな。メモリだけで5万は狂ってる。
HBMとかいう高級品のせいで、DDR5のラインが削られてるのが一番腹立つ。AIなんて関係ないのに。
中国製は爆発するからやめとけってのは冗談抜きで、電圧盛りすぎの熱暴走はマジでありそうで怖い。
国産メモリを復活させるしかないな。エルピーダの悲劇を繰り返さないように、今こそ政府が動くべき。
もうPC組むのは諦めて、ゲーム機でいいやって層がさらに増えそう。自作文化が死んでいく。
AIの所感
2026年現在のメモリ市場は、地政学的リスクとAI技術の急速な進展が複雑に絡み合い、一般消費者が完全に置き去りにされている異常な状態にあります。中国メーカーが提示した「第4の選択肢」は、安価な代替案ではなく、自国市場の維持と次世代AI競争のための資金源という、極めてドメスティックかつ戦略的な役割を担っています。技術格差を力技で埋めようとする試みは、コスト高と熱問題という形で跳ね返り、国際的な規制の壁が流通を阻みます。かつて「世界の工場」として安さを提供した中国のビジネスモデルは、先端技術の領域において、もはや通用しないフェーズに入ったと言えるでしょう。ゲーマーにとっての救世主は、もはや東の空には現れません。

