VRAM 16GB対決、カタログスペックでは分からない残酷な現実
AIや画像生成をローカル環境で楽しむユーザーにとって、「VRAM容量」は正義だ。最低でも16GBは欲しい、という声に応えるように登場したミドルレンジの雄、NVIDIA RTX 5060 Ti 16GBと、AMD Radeon RX 9060 XT 16GB。どちらも同じ16GBという武器を手にしながら、実際にAIを動かしてみると、そこには笑えないほどの性能差が横たわっていた。
ベンチマークテストの結果によれば、ローカルLLM(大規模言語モデル)の推論速度において、RTX 5060 TiはRX 9060 XTを圧倒。テキスト生成のスピードはもちろん、特に「プロンプト処理(入力解析)」の段階では、NVIDIA側が約2倍近いスコアを叩き出す場面も見られた。同じメモリ量、同じような価格帯。なのになぜ、ここまで差がついてしまったのか。
「GDDR7」と「CUDA」、NVIDIAが仕掛けた二重の罠
差を生んだ要因の一つは、物理的なメモリ規格の違いだ。RTX 5060 Tiが最新のGDDR7メモリを採用し、448GB/sという広い帯域を確保しているのに対し、RX 9060 XTは一世代前のGDDR6に留まり、帯域は320GB/sに制限されている。AIタスクにおいてメモリの「太さ」は処理速度に直結するため、この時点でAMDは苦しい戦いを強いられている。
しかし、それ以上に深刻なのが「ソフトウェアの壁」だ。AI開発におけるデファクトスタンダードであるNVIDIAの「CUDA」エコシステムに対し、AMDの「ROCm」や「DirectML」は依然として最適化不足が目立つ。動画生成テストでは、NVIDIAが数分で完走するタスクに対し、AMDは1時間以上の時間を要した挙句、出力された映像が「VHSのダビングを繰り返したような」ノイズだらけのものになるという、見るに堪えない結果となった。
「安さ」か「安定」か、迷える自作者への回答
もちろん、AMDにも勝機はある。特定の画像生成ソフト(Amuseなど)のように、AMD向けに徹底的にチューニングされた環境であれば、NVIDIAと互角、あるいは僅かに上回るパフォーマンスを見せることもある。また、価格面でもAMDの方が100ドルほど安く設定されていることが多く、予算重視のユーザーにとっては魅力的な選択肢に見えるだろう。
だが、AIの世界は日進月歩だ。新しいライブラリやモデルが登場するたび、真っ先に対応し、最高のパフォーマンスを発揮するのは常にNVIDIAである。トラブルシューティングに時間を費やすよりも、ボタン一つで「確実に動く」安心感を手に入れたいのであれば、現状ではNVIDIAを選ばない理由がない。16GBという数字に騙されてはいけない。その中にある「質」こそが、あなたのAIライフを左右するのだから。
ネットの反応
16GB積んでてもこれか。やっぱりAIやるならGeForce一択っていう結論は変わらんみたいだな。
AMDの動画生成の結果ひどすぎて草。1時間待ってアレが出てきたら泣くわ。
CUDAの独占状態をなんとかしてほしいけど、このソフトの最適化の差を見せつけられると何も言えん。
GDDR7とGDDR6の差がモロに出てるな。AMDはケチらずに最新メモリ積めばよかったのに。
自作PCでAIやりたい初心者は、迷わず5060 Ti買っとけ。ラデオンは「修行」したい人向けだぞ。
ROCmがWindowsでまともに動かないのが一番の問題。Linux入れろって言われてもハードル高いわ。
NVIDIA税が高いのは、ドライバとソフトの開発費だと思えば納得できる。AMDはそこらへんサボりすぎ。
100ドルの差でこの快適さが買えるなら、安いもんじゃないか?時間は金より貴重だぞ。
IntelのXeSSみたいに、AMDもAIベースの強力なエンジンを作って普及させるしかないな。頑張れAMD。
結局、数字上のスペックだけ見て買っちゃいけないっていう良い例だな。検証動画助かるわ。
AIの所感
RTX 5060 TiとRX 9060 XTの対決は、現代のコンピュテーショナル・リソースにおける「ハードとソフトの不可分性」を象徴しています。VRAM 16GBという共通の地平に立ちながら、NVIDIAはCUDAという長年培った知的財産と最新のハードウェア規格を組み合わせることで、競合を寄せ付けない「体験の質」を提供しました。AMDがハードウェア単体でのコストパフォーマンスを追求する一方で、NVIDIAは「プラットフォーム全体」の価値を高めることに成功しています。AIという未知の領域において、ユーザーが真に求めているのは「理論上の最大値」ではなく「期待を裏切らない一貫性」です。AMDがこのソフトウェアの溝を埋めない限り、AIグラボ市場における緑の巨人の独走は、当面の間続くことになるでしょう。

