【悲報】DLSS 5が来てもAI動画は1秒も速くならない。480pで作って引き伸ばしても101秒しか浮かない残酷な真実
「480pで小さく作ってDLSSやFSRで引き伸ばせば、AI動画の生成は速くなるのでは」。一見もっともなこの発想が、実測でほぼ否定された。NVIDIAが日本時間9月4日13時に配信を開始した「DLSS 5」が、図らずもその答え合わせの決定打になっている。結論は驚くほどシンプルで、DLSSが速いのはゲームだからであり、AIが作った動画にはそもそも速くするための“台帳”が存在しない。最も速いのは480pでも1080pでもなく720pで、そこから外れると画質か時間のどちらかで必ず沈む。
この検証の発端は二つのコメントだった。「1080pで作るより480pで作って引き伸ばす方が速いのでは」「小さく荒く大量に作って当たりだけ仕上げたい」という視聴者の素朴な疑問に対し、投稿者が一次資料と実測だけで答えようとした矢先、DLSS 5の配信が同日に重なった。そしてNVIDIA自身の公式ブログに、疑問への答えがそのまま書かれていたという偶然が重なる。
DLSSはなぜゲームだけを一瞬で綺麗にできるのか。答えは“台帳”にある
DLSS 5とAMDのFSRが速い理由は、魔法の超解像ではない。両者ともゲームエンジンから「モーションベクトル」という台帳を受け取っている。モーションベクトルとは、前のコマのどこから今のコマが来たかを示す矢印の束だ。ゲームは3D空間で物体がどう動いたかをエンジン自身が知っているため、動いた先を正確に追える。だから引き伸ばすときも、手探りで推測する必要がなく、台帳通りに埋めれば一瞬で綺麗になる。
ところがAIが作った動画には、この台帳が最初から存在しない。Wan 2.2をはじめとする動画生成AIは、1枚の絵を何回も描き直して動画にする仕組みで、前のコマがどこから来たかという記録を持たない。結果、後から引き伸ばすときは、絵をもう一度描き起こす作業とほぼ同等のコストがかかる。DLSSの名前を借りても、中身がゲームではない以上、同じようには速くならないというのが構造的な答えだ。
実測で暴く480pの罠。浮くのはたった101秒、逆に遅くなる瞬間もある
RTX 5090とWan 2.2を使った実測では、480p(800×448)と720p(1280×704)の画素比は約2.51倍。生成時間は480pで約69秒、720pで約170秒(81フレーム・8ステップ)と、ほぼ画素比通りの約2.5倍で、二乗ではない。ここで「じゃあ480pで作って720pに引き伸ばせば得では」という発想になるが、実際に測ると直接720pで作った場合との差はわずか101秒しかない。
しかも小さくしすぎると、かえって遅くなる領域がある。超解像とフレーム補間を組み合わせた運用全体では、SeedVR2による1.5倍拡大だけで90分、VRAMは12GBでも足りず、画質は戻らないというデータも示された。480pで121フレーム(50,220トークン)と720pで241フレーム(245,760トークン)を比べると、注意機構の待ち時間は65.6msから1576.5msへ24倍に跳ね上がる(4.89の二乗が23.9)。二乗で重くなるのは解像度ではなく、長さ(フレーム数・トークン数)だったというのが、今回最も面白い発見だ。
下は画質で沈み、上は時間で沈む。境目は720p
結論として、最もバランスが良いのは720pだった。下回れば画質で沈み、上回れば時間で沈む。720pより小さいと、引き伸ばしても失われたディテールは戻らず、特に文字や顔の輪郭が破綻する。逆にフルHD以上に上げると、生成時間が折れるように増え、メモリも逼迫する。メインメモリが32GBから64GBになるだけで生成が約2.3倍速くなり、48GBでも1.8倍速くなるというデータも、メモリがボトルネックであることを示している。
さらにCFGスケールという生成の強さを決める値も、1.0のときだけ速く、1.1でも0.9でも一律2倍に鈍化するという癖がある。解像度、長さ、メモリ、CFGという四つの軸が絡み合い、720pという一点に収束する構図だ。投稿者は「今夜そのまま試せる3つ」として、720pで作る、メモリ64GBを用意する、CFGスケールを1.0にするという具体策を提示している。
DLSS 5に話を戻す。今日出たDLSS 5はRTX 50シリーズだけ
DLSS 5自体は9月4日13時からRTX 50シリーズ限定で配信が始まったばかりだ。NVIDIAの公式ブログ「NVIDIA DLSS 5, AI-Powered Breakthrough in Visual Fidelity for Games」やAMDのFSR SDKドキュメント、ちもろぐのWan 2.2検証、論文「Veda: Scalable Video Diffusion via Distilled Sparse Attention」といった一次資料に当たった上で、DLSS 5の対応タイトルや仕様はNVIDIA自身の発表であり第三者検証ではないことも明示されている。一次資料が1箇所だけ食い違った点も動画内でそのまま扱われており、道具の名前ではなく“何を入力に取るか”を見る癖の重要性が強調された。
ネットの反応
AI動画生成=マスゲーム?w DLSS 5は、ソフトのプログラムに組み込まれてる。
ゴミは分別して出しましょうと
AIの所感
今回の検証が突いているのは、「速くする技術」を名前で判断してしまう私たちの癖だ。DLSSと聞けば何でも速くなると思いがちだが、実際には台帳がある世界でしか速くならない。AI動画生成は、台帳のない世界で一から絵を描く作業であり、後から引き伸ばす手間は最初から大きく作る手間と大差ない。480pで作って得する101秒のために、90分の追加工程と戻らない画質を抱えるのは割に合わない。結局、最初から720pで作り、メモリを64GB積み、CFGを1.0に置くという地味な最適化が最も速い。派手な名前よりも、入力が何かを見る。その一点に尽きる。

