【悲報】RTX 5060 Ti、30日で3万円の値上げ…上がった金額の8割が「メモリ代」だけの現実
ミドルレンジの定番グラフィックスボードが、静かに値札を書き換えている。GeForce RTX 5060 Tiの16GB版は、30日前には9万9980円で買えたのに、10月中旬には12万9800円になっている。上がり幅は2万9820円、約30%だ。新型が登場したわけでも、中身が変わったわけでもない。同じ箱で、同じ基板のまま、価格の帯だけがひとつ上に移動した。10万円を切って16GBが買えるという看板が消えたこと自体が、市場の地図を塗り替えている。
値段の出どころと日付をそろえることが大事だ。今回の基準にしたのは、毎日のGPU実売価格を追う国内の価格チャートで、10月中旬時点で16GB版が12万9800円、30日前が9万9980円。この30日の最安は11万9800円まで下がったこともある。ただし同様の話は店によって違うことも押さえておきたい。別の集計では9月下旬が10万4800円、10月頭が11万9980円という数字もあり、上がり幅の見え方は約14%になる。店づけも集計方法も違えば数字も違うため、今回の検証は1つの表で通し、途中で都合のいい数字に乗り換えていない。さらに同様の値上がりは日本だけの話ではない。韓国では8月の時点で同じカードが約5割上がったと報じられており、約74000ウォンで買えたものが110000ウォン近くまで上行っている。円安でも国内事情でもなく、世界で同時に起きている。原因は部品側にあると見て間違いない。
グラボの価格を考えるには、弁当の比喩がいちばん分かりやすい。おかずに相当するのはGPUチップで、昔はここが価格の主役だった。容器がVRAM、つまりグラボに直付けされた高速メモリだ。容量を決める入れ物の役割で、後から足し引きできないのが特徴だ。弁当の値段がおかず代と容器代の足し算であるのと同じで、グラボも同じ構造で値付けされてきた。ところが今、おかずが同じまま、容器代だけが跳ね上がったという現状なのだ。容器は1粒で2GBの容量を収納し、16GB版なら8粒がGPUチップの周りを囲むように並んでいる。
別々の3つの数字が、同じ2万5000円台に集まった
まず、部品価格の数字がある。韓国メディアの報道によれば、RTX 50シリーズに載る2GBのGDDR7メモリが1粒20ドル前後まで上がった。1ドル158円で換算すると、16GB分(8粒)で約2万5280円になる。GPU全体の追い上げで驚が上がるのは、次こうして2番やみに鬱なのはNVIDIAの上乗せだ。NVIDIAはASUSやMSIのようなボードメーカーへ売る価格を上げたといわれ、その上乗せがVRAM 2GBあたり約19ドルと報じられている。ただしこの数字は公式発表ではなく、中国語圏フォーラムの情報筋の報道だ。断定はせず「報じられている」という表現に留める。それでも16GBなら8粒分で152ドル、2万4160円に相当し、部品価格の2万5280円とほぼ一致する。さらに、別の筋は卸の実勢だ。ZOTACが代理店へ売る価格が8月から11000元前後の値上げにすすめ、日本円で2万3000円から2万5300円として伝えられている。完全に別々の筋から出た3つの数字が、同じ帯に集まった。偶然でこうはならない。
3つの数字以上に、いちばん見せたい証拠がこれだ。RTX 5060 Tiには8GB版と16GB版があり、GPUチップは同じで基板の構造もほぼ同等だ。違いは元になるVRAMの粒の数だけ。もしおかずのGPUチップが値上がりの原因なら、2枚は同じだけ上がるはずだが、実際にはそうなっていない。8GB版は30日で9820円しか上がらなかったのに対し、16GB版だけが2万9820円跳ねたのだ。差の2万円のうち、上乗せ額の差(152ドル対76ドル)で説明できるのは約1万2000円。残った8000円分は基板の作りの違いや在庫や需要などに由来すると思われるが、はっきりした内訳は不明だ。とはいえ”メモリが多い側だけが跳ねた”という方向と桁は、明確に一致している。なお、RTX 5070 Tiの16GB版は30日で1%しか上がっておらず、容量だけでは答えが覆る。16GBなら必ず3万円上がるとは断言せず、上がるときはメモリの多い側から上がる、という範囲に留めるのが実践的な読み方だ。
安いグラボほど「容器代」に押し潰される仕組み
容器代には厄介な性質がある。低額、つまりどの価格のカードに載っていても同じ額だという点だ。300円の弁当にも1000円の弁当にも同じ箱代が上乗せされれば、前者のほうが痛い。16GB分の容器代2万5280円をRTX 5060 Tiの12万9800円で割ると19.5%に相当し、値段のほぼ2割がメモリ代だ。RTX 5070 Tiでは12.1%、RTX 5080(29万5799円)では8.5%まで下がっていく。まったく同じ容器が載っているのに、価格帯の変化で重さが2.3倍変わる。そして作る側の都合もここで見えてくる。限りある容器を、利益が残る高い弁当に振り分けたくなるのは企業として自然な判断だ。実際、ZOTACの親会社PC Partnerは8月14日の決算説明で「エントリーレベルのグラボはさらに深刻な供給不足に直面する見込み」だと明言し、下半期の生産量はさらに減るという見通しまで示した。いわゆる買いやすい帯の供給が、一段と絞られる方向で調整されている。
そして「待てば下がるのか」の答えは、見出せる最悪の形だ。ここで1つずつ下がる材料を探したが、1つも見つからなかった。むしろ上がる方向の材料が2つ出てきた。1つはTSMCだ。チップを実際に製造するこの台湾企業が、AMDとNVIDIA向けのGPUを年内に約10%値上げすると報じられている。AMDは9月17日に取引先へ正式に通知したとされ、第4四半期からAI向けチップもRadeonも約10%引上げとなる。ただし、ここで市況に乗っていない点が重要だ。会社どうしの取引価格は上がったが、店頭の値札に反映されるのは2027年初めごろと言われている。つまり今の12万9800円にはまだこの10%が乗っていない。待つほど、乗った価格を買うことになるかもしれない。2つ目の材料は、先述のPC PartnerもProduction量を絞るという見通しだ。値上げの通知と供給絞りの両方が同時に手元に届いた。とはいえ、いつまで、どの額で値上がりが止まるのかは、どの報道にも書かれていない。だから必要のない人は慌てて買う必要はない。確実に言えるのは”現在の下がる理由が見つからないという事実”までだ。
VRAM 1GBあたりの単価で、3つの買い方を比べる
では現在買うなら何がいいのか。ここでは価格帯のまるで違う3項目を比べる。1つ目はRTX 5060 Tiの16GB版を新品で買う場合。12万9800円÷16GBで1GBあたり8113円、帯域は448GB/s。これが現在の基準になる数字だ。2つ目は中古だ。RTX 3090という6年前のカードは24GB搭載で、AI用途で人気があった。以前なら10万円前後で手に入ったのに、現状eBayの中古が1399ドル、約22万円にまで上がっている。国内の追跡データでは5月1日に1000ドル、5カ月半で約4割の上昇だ。24GBを22万円で割ると1GBあたり9210円になる。つまり中古は新品より1GBあたりで負けている。かつての中古24GBがお得という話はもう成り立たず、はっきり訂正しておく必要がある。ただし中古には帯域936GB/sという強みが残る。容量と帯域であれば新品の約2倍に相当する。
3つ目は統合メモリだ。Ryzen AI Max+395を積んだミニPCが128GB搭載で39万3990円で売られている。メモリはCPUとGPUで共有する構造で、弁当で言えばおかず皿と容器が一体になった形だ。仕切りを動かせる分、AI用途に128GBまで振り分けられる。1GBあたりは3078円で、今日のリストの中で最安だ。ただし帯域は256GB/sで、グラボの448GB/sにかなり劣る。箱が8倍大きくても、取り出し口が狭いと中身の出し入れは遅い。大きいモデルは入るが、速度はグラボに及ばない。
価格と帯域を並べると、答えが用途ごとに分かれる。ゲーム主体で時々AIも触りたい人には、新品の16GBが素直な選択だ。1GBあたりで中古より安くなり、帯域も確保されている。大きいAIモデルを自分の機械で動かしたいなら、速度は多少我慢する代わりに128GBという容量の道が続く。遅いけど動くは、入らないよりは正解になりうる。そして中古の24GBは、帯域と容量をどうしても両方欲しい人の選択という位置に置いてある。1GBあたりで新品に負け、保証はなく、4割上がった後の値段だから、簡単に選ぶ理由はもうない。
ネットの反応
gmktec evo-x2 128gbが39万円??一体どこで買えるんですかねぇ。そもそも非CUDAだし演算能力も違うし、中古と新品で容量単価比べるのもおかしな話だし
AIバブル弾けて急激に安くなったりしないかな。後は為替レートがどう動くか
上がった3万円のうち8割がメモリ代、数字がきれいすぎてかえって怖いわ
8GB版と16GB版の上がり幅が約3倍差なら、GPUのせいじゃないハッキリわかるな
安いグラボほど先に消えるって、まさにいま現実になってるやん
待ったらTSMCの10%分乗ってから買う羽目になるように見える
中古3090が22万円って、去年の10倍やんけ
AIの所感
この結果が示しているのは、買い物の視点そのものを替える必要があることだ。まともなGPUの値段予想なら、まずGPUの世代や名前ではなく、容量と帯域、そして1GBあたりの単価の数字を見るのが合理的になりつつある。ゲーム用途では今のところ選択肢が狭まり、価格の下落も期待しにくい。メモリ目的なら現実的な値段で速さと保証の両方を確保できるカードを選ぶのが無難だ。それでも現状において、値下がり待ちはTSMCの値上げと供給絞り込みという2つの材料の前に、かつてないほど不利な段階に置かれている。どこで値上がりが止まるかは誰も予測できないため、現在下降を待つ理由というより、必要かどうかで判断するのが現実的と言えるだろう。

