【悲報】次のXboxは「1200〜1800ドル」報道 ソースは記事1本でも、値上げの根拠はMicrosoft自身が書いていた
「次のXboxは1200〜1800ドルになるかもしれない」——10月20日、米経済誌Fortuneが報じた見込みが、ゲーム業界に波紋を広げている。日本円にすれば20万円前後。もはやゲーム機ではなく、PCを買うような価格だ。ただし、この数字には大きな但し書きがつく。出どころはFortuneの記事1本であり、Microsoftは価格について何も発表していない。
一方で、値段が上がる方向そのものは、Microsoft自身が公式に説明している。この2つを混同すると、判断を誤る。今回は「どこまでが確かな話で、どこからが見込みなのか」を丁寧に分けて整理したい。
1200〜1800ドルの出どころは、CEOの人物記事だった
Fortuneの記事は、Xbox部門のCEOを長く追った人物記事で、有料記事でもある。その中に次世代Xboxの計画が含まれていた。ただし、CEO本人の発言として掲載されているのは「Project Helix(プロジェクト・ヘリックス)は自分たちだけでは作れない」という趣旨の一言だけで、価格についての発言はない。
つまり1200〜1800ドルという数字は、本人の言葉ではなく、記事側が「見込み」として書いたものだ。どの資料に基づくのか、誰から聞いたのかも明示されていない。この幅が「2つのモデル」の価格差なのか、単なる見積もりの幅なのかも判別できない。それでも数字だけが独り歩きし始めている。
公式に決まっているのは「名前」と「PCゲームが遊べる」ことだけ
一方、Microsoftが正式に発表している事実は限られている。3月5日、同社の幹部がXへの投稿で、次世代本体のコードネームが「Project Helix」であり、XboxとPCのゲームが遊べることを明らかにした。その後の開発者向け発表では、AMDと共同で作った専用チップを採用すること、開発者向けの試作機器を2027年から配布することも伝えられている。
しかし、いちばん知りたい発売日と価格は、どちらも公表されていない。Xboxのトップは別のインタビューで「メモリのコストは価格に響く」「発売時期は今は言えない」と述べている。つまり現時点で「確定した価格」は存在しない。確定していない以上、高いのか安いのか、方向すら報道だけでは判断できない。
それでも「上がる方向」は公式ブログに書いてある
方向が見えるのは、報道ではなくMicrosoft自身の説明からだ。6月25日の公式ブログ「Xbox Wire」には、本体のストレージとメモリの価格が「2.5倍を超えており、2027年秋までにさらに2倍になる見込み」と書かれている。別の記事では、ストレージ部品が2年前と比べて2027年末までに5倍を超えるとされている。
メーカー自身がここまで書いている以上、これは報道の数字よりずっと重い。価格は決まっていないが、部品コストが上がる方向は確定している。この2つを分けて考えるのが、今年のゲーム機事情を読む基本になる。
日本では2年でほぼ倍になった現実
日本市場の動きは、その象徴だ。Series Xの1TBディスクドライブ搭載モデルは、2024年夏に約6万円から約6万7000円へ。2025年5月1日には約8万8000円、そして2026年8月1日にはさらに3万円上がり、現在は約11万7980円となっている。2年で約5万8000円、ほぼ倍だ。
Series Sの1TBモデルも同様に、約5万円から約9万7000円へ。しかも2025年10月には米国だけで値上げが行われ、日本は据え置かれた時期もある。8月1日の日本での値上げについては、海外メディアが「日本の公式告知は確認できなかった」と報じており、店頭表示で初めて気づいた人も少なくない。知らないうちに3万円上がっていた、というのはさすがに乱暴である。
PS5も、Steam Machineも、同じ波に乗っている
これはXboxだけの話ではない。ソニーの公式発表では、日本では4月2日からPS5が約9万8000円、PS5 Proが約13万8000円。ただし日本専用のPS5デジタル・エディションは5万5000円のまま据え置かれている。日本で遊ぶ人にとっては、この選択肢の有無は大きい。
次世代機のPS6にも、似た噂がある。リーカーの投稿では、メモリとSSDの部品だけで680ドルを超えるという試算だ。ソニーは「新しい本体をいついくらで出すかは決めていない」としつつ、メモリ価格は2027年度も高いままという前提を示している。ValveのSteam Machineも米国で1000ドルを超えるとされ、選択肢はどれも似た価格帯に集まりつつある。
「待てば安くなる」は、今回は通用しない
昔ながらのゲーム機の常識は「新機種が出れば旧機種は安くなる」だった。しかし今回は、その逆が起きている。次世代機が発表される前から、現行機は何度も値上げされてきた。部品価格は2027年にかけてさらに上がる見込みで、待っても現行機が下がる流れは見えていない。
だから判断はシンプルだ。今遊びたいなら、今の値段で決める。次の世代を待つなら、Microsoftが価格と補助(ハードウェアの赤字販売)を正式に発表するまで判断を保留する。時期についても、AMDのCEOは2027年の発売を支えられる見通しに触れており、Fortuneが伝える2028年説と食い違っている。そもそも発売時期すら確定していないのだ。
ネットの反応
AIのせいで値上がり?? いやAIに巨額の投資してんのMicrosoftお前じゃねーかw
30万でも内容次第では買うよ。転売屋が逃げ出すくらいの価格の方が、逆に買いやすくてありがたい
「1200ドル」の一言じゃなくて、どこが確定でどこが見込みかを分けてくれないと読者は判断できない。こういう整理の仕方がほしい
なんかPS6の1000ドルの攻防が良心的に思えてきた。比較対象が壊れていく感覚
そもそもソフト側が頭打ちなんだから、現行据え置きでいい。今世代もパッとタイトルが出てないのに次世代の話をされても困る
AI用メモリって型落ちを再利用するとか、そういう計画はないのか。それがあれば市場の騒ぎもかなり戻ると思うんだが
1200ドルって聞いて、まず「日本の値段はいくらになるんだ」と思った。為替でさらに飛ぶのが怖い
「作りたい人が作る」で済んでいた時代は終わったな。部品の取り合いに一般ユーザーが巻き込まれてる
補助で1000ドルまで下がるかもしれない、って話がもう希望なのがつらい。昔は当たり前にそうだったのに
待って安くなるなら待つけど、上がり続けてるんだよな。今年中に買うのが一番安い気がしてきた
AIの所感
今回の騒動でいちばん厄介なのは、数字の出どころが1本の記事でありながら、その数字を否定できる材料がMicrosoft側にないことだ。公式は価格を決めていない。決めていないということは、1200ドルでも1800ドルでもないし、900ドルでもない。すべてが「ありうる」状態のまま、消費者の心理だけが先に高値に慣らされていく。
個人的に注目しているのは、価格そのものより「ハードの補助を続けられるのか」という経営判断だ。Xboxはこれまでも1台あたり100〜200ドル規模の赤字販売を続けてきたとされ、利益率は約3%とも報じられている。AIインフラに数千億ドルを投じる企業が、ゲーム機1台の赤字をどれだけ許容するのか。ここが変われば、1200ドルという数字は「見込み」ではなく「現実」になる。
そして、今回の値上げの主因がAI向けのメモリ需要であることは、はっきりしている。AIの恩恵を受ける側と、そのコストを部品価格として払う側。ゲーム機の値札は、その分断が最初に可視化される場所なのかもしれない。

