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【速報】Zen 6「24%速いは他人の割り算」…同じ4.1GHzで並べたら見えた数字

「最大24%高速」の正体は第三者の割り算——同じ4.1GHzで並べたら数字は変わった

「次世代RyzenことZen 6は、前世代より最大24%速い」。そんな見出しがPC界隈を駆け巡ったが、この数字、実はAMDの発表ではない。Geekbenchに載った1件の結果を、海外ニュースサイトの書き手が割り算して導いた数字だった。しかもその元になった測定結果は、いまやデータベースから消えている。見出しの大きさの裏で何が起きていたのか、計算の中身を一つずつ確かめていく。

24%はこうして生まれた——3回の割り算だけの数字

発端は、サーバー向けCPU「EPYC 9996」(Zen 6c採用、256コア)のGeekbench 7シングルコアスコア2847点だ。書き手はこの点数を、測定時に読み取られたクロック4.12GHzで割り、1GHzあたり約691点という数字を出した。比較対象は「EPYC 4545P」。16コアのサーバー向けで、中身は現行AM5のRyzenと同じZen 5系統の個体だ。その3064点を5.5GHzで割ると1GHzあたり約558点。この2つを比べると約1.24倍——「クロックあたり最大24%の性能向上」という見出しの正体は、割り算3回ぶんの計算だった。

しかもこの数字、クロックの取り方だけで揺れる。ドイツPCGHが読み取ったやや低いクロックで割ると23%台、AMD公式の最大ブースト5.4GHzで割ると21.8%。同じ2つの点数から21.8%〜24%まで出てしまい、見出しの「24%」はその中でも最も大きく出る取り方だった。しかも比較したのはサーバー機とサーバー機、しかもテスト中の実測クロックは記録されておらず、コアあたりキャッシュの構成も異なる。揃っていない条件が3つ残ったままの割り算なのだ。

同じ4.1GHzに揃えると——平均16.5%、テスト別で8.2%〜25.7%

別の機械をクロックで割る代わりに、本当に同じクロックへ揃えて並べた比較もある。X(旧Twitter)の利用者の1人が、自分のRyzen 7 9700Xを4.1GHzに固定してGeekbench 7を回したものだ。EPYC 9996の公式最大ブーストも4.1GHzであり、読み取り値の4.12GHzとほぼ同じ速さになる。9700Xのスコア2444点に対しEPYC 9996は2847点。割ると約1.165——同じ4.1GHzでの差は平均約16.5%となる。複数の媒体がこの「平均16.5%」を伸び率として報じている。

ただし15あるテストを1つずつ見ると、差の大きさはバラバラだ。最も小さいのはファイル圧縮の8.2%。アーカイブ作業などでは体感しにくい。逆に最も大きいのはブラウザで動く処理を測るHTML5テストの25.7%で、写真編集、写真から立体を生成する処理、動画再生なども差が大きい側に入った。つまり「24%」も「16.5%」も平均と最大の話であり、用途によって伸び幅は3倍以上違う。そして重要なのは、Geekbenchはゲーム性能を測っていないこと。ゲームがどれだけ速くなるかは、デスクトップ版Zen 6が出るまで誰にも分からない。

消えた測定結果と、AMDが「言っていない」こと

この議論にはさらに前提がある。EPYC 9996のスコアを見つけたリーカーHXL氏によると、該当結果はその後Geekbenchのデータベースから削除され、今は誰も確かめ直せない。元の一件が消えているのに、見出しの数字だけが独り歩きしている状態だ。比較に使われたZen 6cはサーバー用にコアを詰め込んだ派生モデルで、デスクトップRyzenが載せる通常のZen 6コアではない。そもそもAMDはZen 6のIPC向上率を公式に発表していない。CTOのマーク・ペイパーマスター氏が「IPCは上がる」と述べたのみで、PCGHが「AMDは10〜15%を目標にしている」と書いた記事の出所も見つかっていない。公式に確認できているのは、サーバー向けZen 6をTSMCの2nmプロセスで製造すること(2025年4月発表)だけだ。

AM5ユーザーの運命は——ソケットは同じ、約束は未完成

買い替え検討者にとって本丸はここだろう。AMDの開発者向け資料には、デスクトップ向けZen 6(コードネームOlympic Ridge)が現行と同じAM5ソケットで登場することが記載されている。さらにAMDはComputex 2026で、AM5のサポートを2027年から2029年へ2年延長すると発表済みだ。ソケットが同じであることとサポート延長は「資料に乗った事実」である。

だが「今あるマザーで動くか」は別の話だ。噂ではデスクトップ向けはCES 2027で発表、2027年1〜3月に最初の製品登場とされ、コア数は最大24コア、名称は「Ryzen 10000番台」とされるが、これらはいずれもAMDの発表ではない。BIOS対応ではASUSとASRockが主に800番台マザーでのZen 6対応を謳っており、HXL氏は600番台(B650/X670)も動くだろうと非公式に発言している。しかし600系での対応を公に約束したメーカーはまだない。対するIntelは次世代が2026年末以降とされる一方、デスクトップ向けは新ソケットLGA1954への移行が噂されており、マザーごと買い替えの見込みだ。AM5の「CPUだけ交換で済むかもしれない」は大きな強みだが、600系の約束がまだ無い今できるのは、自分のマザーが600系か800系かを確認して型番を控えておくことだけだ。

ネットの反応

24%ってAMDの発表じゃなくて海外記事の割り算だったのか。見出しのインフレ、怖すぎる

元になったGeekbenchの結果が消えてるってのが一番やばいな。検証できない数字が一人歩きしてる

同じクロックで16.5%なら十分すごい。ただ圧縮が8.2%ってのは自分の用途だと微妙

AM5が2029まで伸びるのは朗報。B650勢だけどCPU交換だけで済んでほしい

600系のBIOS対応をどこも約束してないのが引っかかる。結局マザーごと買い替えパターンも覚悟しとく

ゲーム性能の話が完全にゼロなのが効く。実機ベンチが出るまで数字は鵜呑みにしない

AIの所感

この一件が教えてくれるのは、性能ニュースの読み方そのものだ。「誰の計算か」「何と何を比べたか」「元の結果は今も検証できるか」。この3つを問うだけで、最大24%は「AMDの発表」から「消えた1件の結果を第三者がクロックで割った数字」へと姿を変える。一方で、同じ4.1GHzに揃えた16.5%という比較は方法として筋が良く、テスト別で8.2%〜25.7%の開きがあるという詳細まで見える貴重なデータでもある。数字を捨てるのではなく、重み付けをして使い分ける——それができる読者と、見出しだけで買い替えを急かされる読者の差は、今後Zen 6とIntel新製品の発売競争が激しくなるほど開いていくだろう。AM5ユーザーが今取るべき行動は、数字に一喜一憂することではなく、自分のマザーの型番を確認してBIOS対応の一次情報を待つことだ。

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