【重要】Geminiの「Gem」が11月17日にまさかの廃止──後継の「スキル」はまさかの上位互換だった
Googleの生成AI「Gemini」で长年親しまれてきたカスタムAI作成機能「Gem(ジェム)」が、2026年11月17日に廃止され、新機能「スキル」へ集約されることが明らかになった。カスタム指示を仕込んでおけば、毎回同じ指示を入力しなくても翻訳や要約などの役割をこなしてくれる──あの便利機能が消えるのかと落胆したユーザーも多いだろう。だが蓋を開けてみれば、スキルはGemの単なる置き換えではなく、呼び出し方・組み合わせ方・ファイル連携のすべてを進化させた「上位互換」だった。移行は基本的に自動だが、条件によっては手作業が必要になるケースもある。廃止まで残り日数が少ない今、早めに中身を確認しておいて損はない。
そもそもスキルとは何か──「@」で呼ぶ手順書、AIが勝手に使ってくれる賢さ
スキルの正体は、いわばAIに渡しておく「手順書」だ。スキル名・説明文・指示文(プロンプト)、そして任意でファイルを1回登録しておけば、以後は会話画面で「@」を入力するだけで呼び出せる。Claude CodeやCodexといった開発向けAIツールにも同様の「スキル」概念があり、あちらがスラッシュコマンドで呼び出すのに対し、Gemini版はアットマークで呼び出す点が異なる。
さらに見逃せないのが「自動判断」と「重ね使い」だ。@で明示的に呼ばなくても、会話の流れから「この場面ではスキルを使うべきだ」とAIが判断すれば、勝手に使ってくれる。たとえば議事録まとめ用スキルを登録済みなら、Web会議の文字起こしを貼り付けて「これ議事録にして」と言うだけで、スキルが適用されて議事録が生成される。加えて、1つの会話の中で複数のスキルを同時に呼び出すこともできる。「議事録スキル+メール作成スキル」を重ねれば、文字起こしから議事録を作り、さらにそれを関係者に共有するメールまで一気通貫で仕上げてくれる。Claude Codeほどの複雑なプログラム処理やファイル構造の操作は現状難しくないものの、Web版Geminiの範囲では十分すぎる進化と言える。
Gem時代の「部屋渡し」地獄から解放される
Gemとの決定的な違いは、使い方そのものにある。Gemは「用途ごとの部屋」に入るタイプだった。メール作成用Gemで作業中に議事録も作りたくなったら、一度その部屋を出て、議事録作成用Gemの部屋へ移動し、メール部屋でのやり取りをコピー&ペーストして持ち込む──タスクごとに部屋が区切られているため、こういう往復作業が日常だった。
一方のスキルは、いつものチャットルームに居ながらにして、いつでも誰でも(と呼べるほど軽量に)呼べる。会話の2回目でも3回目でも、途中で@を入力すれば即時に適用される。細かくタスク単位でスキルを作り、必要な組み合わせで重ねて使う。この運用思想こそがスキルの醍醐味であり、「1回登録すればずっと使える資産」になるので、作るほどAI活用が加速する構造になっている。
作り方は3通り──「Geminiで作成」なら実演ゼロからでも完成する
作成手順は「その他」メニュー内の「カスタマイズ」→「スキル」から。作り方は、(1)Geminiに作らせる、(2)手動で作る、(3)外部のスキルをアップロードする、の3パターン。最も簡単なのは(1)で、「作成」を押すとクリエイタースキルというテンプレが自動送信され、作りたいスキルの内容を日本語で聞かれるままに答えるだけで完成する。資料請求の問い合わせ文から返信メールを作るスキルも、問い合わせ項目を貼り付けて「このスキルを作ってください」と送るだけで、数分でできあがった。
できあがったスキルはカスタマイズ画面から中身を確認・編集できるうえ、不満があれば「Geminiで編集」で自然言語で調整できる。なお、スキルフォーマットはAIツール間で共通化が進んでおり、ClaudeとCodexはすでに統一されている。Geminiもその流れに合わせる見込みだが、Claude Code向けに作られた複雑な処理を含むスキルをそのままアップロードするとエラーになる可能性はある。
実力チェック:メール返信・スライド再現・サブスク集計・受付システムまで
実際に作って試した事例が面白い。まずメール返信スキル。資料請求の問い合わせ文を貼り付けるだけで、礼文から項目別の提案まで含めた返信下書きが完成し、Gmail風のUIからそのまま送信まで可能だった(実運用では必ず人が目を通す前提だが)。
次にスライド資料のデザイン再現スキル。既存資料のPDFをアップロードし「このデザインをシステム化して再現性高く作れるようにして」と指示すると、ロゴ・配色・フォントサイズ・配置を分析し、カラーパレットやタイポグラフィをテキストベースの指示書にまとめてスキル化してくれた。作らせた結果は「渡したPDFと全く同じ」まではいかなかったが、色合いや雰囲気の統一は成功し、毎回同じデザインで資料を作る流れは完成した。再現度重視ならClaude系に軍配が上がるが、業務十分の水準ではある。
地味に便利なのがGmail連携のサブスク集計スキルだ。「過去3ヶ月分のサブスクリプション支払いをスプレッドシートにまとめて」というスキルを1回作っておけば、以後は同じ形式で集計してくれる。実際の運用ではGeminiのタスク機能経由で実行し、1件ずつ支払額を確認し、円建て換算まで行いながらシートを埋めていく姿が確認できた。処理時間はかなりかかるが、正確性は高く「これは今後使っていく」と言わせる仕上がりだったという。
さらに踏み込んだ例が、Google Apps Script作成用スキルだ。スプレッドシートの拡張機能として使えるApps Scriptは、Googleドライブをサーバー代わりにアプリを作れる強力な機能だが、コードを書くのは一苦労。これをスキル化しておき、「QRコードで読み込めば受付完了になる仕組みを作って」と投げてみると、アイデア出しからコード生成、デプロイ手順の案内まで進行し、結果としてセミナー受付Webアプリが1発で完成した。実行は自分でコピペしてデプロイする必要があるものの、UI調整はともかく「それっぽいものが1発で作れる」段階には来ている。
移行の落とし穴──自動で引っ越しできないファイルがある
注意したいのは移行ルールだ。既存のGemは、中のカスタム指示プロンプトが基本的に自動的にスキルへ変換される。しかし、Gemに添付していたGitHubファイル、音声・動画ファイル、以前のMicrosoft Office形式、アーカイブ・圧縮ファイルなどは自動移動の対象外とされている。これらのファイルを使ったGemを作っていた人は、スキル形式に整えて自分で移行しないと、ある日突然使えなくなる。廃止は刻一刻と迫っている。また、GmailやGoogleドキュメントなどの場面で使える「Geminiに質問」サイドパネルでは、現状スキルを呼び出せない(Gemのみ対応)。アプリ側からのスキル呼び出しも、おそらくスラッシュか@での呼び出しに対応してくるはずだが、現時点では待機中だ。
ネットの反応
Gemの廃止と新機能スキルへの移行、わかりやすかった。タイムスタンプ付きの手順コメントも助かる
用途ごとに部屋を移動してコピペするGemの日々が終わるの、地味に一番大きい進化じゃないか
議事録スキル+メール作成スキルの組み合わせで一気通貫はズルい。作れば作るほど資産になるやつだ
Gmailの支払い明細からサブスク集計をスプレッドシートに書き出させるの、時間かかっても放置しておきたい便利さ
アプリのサイドパネルからスキルが呼べるようになったら本格化するのに。そこはまだなのか
AIの所感
Gemからスキルへの移行は、単なる機能改名ではなく「AIの使い方の中心軸が、会話からワークフローへ移った」ことを意味していると思う。部屋を移動してコピペする時代と、同じ会話の中で@を重ねて工程をつなぐ時代では、継続利用の熱がまるで違う。とくに、作成物をスキルとして保存・配布できる文化がAI業界全体で共通フォーマットに収束しつつある点は重要で、いずれ「プロンプトを書く人」より「スキルを設計・流通させる人」が価値を持つ時代が来る予感がする。一方で、自動移行されないファイルの扱いが示すように、移行の最後の1キロは常にユーザー側任せだ。廃止日の前に、自分のGemの中身を一度眺めておくことを強く勧めたい。

