【広告×広告】Windows 11、スタートメニューにCopilotを広告表示!ユーザーの不満続く生の声
2021年10月のリリースから間もなく4年を迎えようとするWindows 11。この最新OSは洗練されたデザインと新機能で注目を集めた一方で、タスクバーとスタートメニューという基本的な操作要素が今なおユーザーの大きな不満の種となっています。多くのユーザーがWindows 10へと戻ることを選択する中、Microsoftは2025年9月12日、新たなプレビュービルドを発表しました。今回のアップデートには改善と新機能が含まれていますが、その内容は果たしてユーザーの期待に応えるものなのでしょうか?残念ながら答えは複雑です。技術的な改善が含まれる一方で、新たに追加される広告的要素がユーザーとMicrosoftの間の溝をさらに深めようとしています。
タスクバーの改善と残る不満:ユーザーが求める自由度
Microsoftが発表した最新のWindows 11プレビュービルドでは、長年指摘されてきたタスクバーの問題に対する改善が含まれています。特に注目すべきは自動表示モードの信頼性向上です。これまで多くのユーザーがタスクバーが適切に隠れなかったり、必要な時に表示されなかったりする問題に悩まされてきました。今回のアップデートではこの動作がより滑らかになり、アニメーションも改善されたといいます。Microsoftによれば、アプリにアラートがある場合、つまりアプリアイコンにオレンジ色のハイライトが表示されている場合はタスクバーが自動的に表示されるよう動作が最適化されました。さらに、タスクバー上でアプリやデスクトップと正常に操作できないというバグも修正されました。これは一見小さな修正に見えますが、日常的な操作性に直結する重要な改善です。
しかし、ユーザーが本当に求めている機能の多くは依然として実装されていません。Windows 10まで可能だったタスクバーの上下左右への移動機能はWindows 11では完全に削除され、下部固定のみとなっています。マルチモニター環境で作業するユーザーや縦長のディスプレイを使用するユーザーからは、この制限に対する不満の声が絶えません。日本のユーザーフォーラムでも、タスクバーを左側に配置できないことが生産性の低下につながるという指摘が多数寄せられています。25年9月のアップデートでは、タスクバーに時刻を秒単位で表示する機能や通知センターに時刻を表示する新しいオプションも追加されていますが、これらは本質的な問題の解決にはなっていません。多くのユーザーが求めているのは、より根本的なカスタマイズの自由度なのです。
Copilot広告の追加とユーザーの反発:OSの広告プラットフォーム化
今回のアップデートで最も議論を呼んでいるのが、スタートメニューの「おすすめ」セクションに追加されるCopilotのプロンプト例表示機能です。MicrosoftはユーザーがAIの可能性をより理解し、活用できるようにするという名目でこの機能を導入しましたが、多くのユーザーからは歓迎されていません。具体的には、スタートメニューの「おすすめ」セクションに「Copilotで画像を作成してみよう」といったプロンプトの例が表示されます。これらの提案は、ユーザーがCopilotアプリで実際に試すことができるAI機能の使用例を示すものです。
Microsoftによれば、この機能は認知度を高め、ユーザーがMicrosoftのAIで何ができるかをよりよく理解できるようにすることを目的としています。しかし、この動きは単なる機能追加以上の意味を持ちます。2025年、MicrosoftはCopilotを自社の戦略の中核に据えており、Edge、Microsoft 365などあらゆる製品にCopilot機能を統合しています。広告業界の自主規制団体であるBBB(Better Business Bureau)の全国広告審査局(NAD)は、MicrosoftがCopilotという名称を様々な製品に万能的に使用することで、消費者がそれぞれの違いを理解できなくなる恐れがあると警告しています。実際、Microsoft広告部門の幹部は、Copilot広告が従来の検索連動型広告と比較してクリック率が69%向上し、コンバージョン率が76%向上したと報告しています。これは広告にとっては魅力的な数字ですが、ユーザーにとっては必ずしも歓迎すべき状況ではありません。
Windows 11のスタートメニューはすでに、Microsoft Storeアプリ、Xbox、Microsoft 365といった自社サービスの宣伝が目立つことで批判されてきました。今回のCopilotおすすめの追加は、この傾向をさらに強めるものとして受け止められています。ユーザーの多くは、OSの基本的な機能であるスタートメニューを純粋にアプリケーションランチャーとして使いたいと考えており、AIアシスタントの使用を促す提案は不要だと感じています。
サードパーティーツールへの依存とMicrosoftの広告戦略
批判的な反応を予期してか、Microsoftは「おすすめ」セクションを完全に無効化するオプションを用意しています。設定の「個人用設定」から「スタート」を選択し、「おすすめ」セクションの表示をオフにすることで、これらの広告的要素を非表示にできます。これは歓迎すべき配慮ですが、多くのユーザーは「なぜ最初からオプトイン方式にしないのか」と疑問を投げかけています。
また、Windows 10風のインターフェースに戻すことができる「StartAllBack」というツールは、Windows 11の最新ビルドにも対応しており、ユーザーがサードパーティーツールに頼らざるを得ない状況が増えています。しかし、本来OSの基本機能は追加ツールなしで満足に使えるべきだという声は当然でしょう。ユーザーがサードパーティーツールに頼らざるを得ない状況は、Windows 11の設計哲学に根本的な問題があることを示唆しています。
さらに、Microsoftは2025年3月にCopilotにAI広告を本格的に導入することを発表しています。これには「Microsoft Advertising Showroom AI」と呼ばれる新しい広告フォーマットが含まれ、ユーザーとAIチャットボットとの会話内容を分析して動的に広告を生成する仕組みが導入されます。この広告配信システムはCopilotだけでなく、Microsoft Edge、ゲーム、Windowsスタートメニュー、Microsoft Storeにも適用される予定です。
AIの所感
Windows 11のタスクバーとスタートメニューに関する問題は、MicrosoftのUI/UX設計哲学とユーザーのニーズとの間に大きな隔たりがあることを示しています。特に、スタートメニューへのCopilot広告の追加は、OSが広告配信プラットフォームへと変貌しつつあるというユーザーの懸念を裏付けるものです。MicrosoftはAIの活用を推進する一方で、その導入方法がユーザー体験を損ね、不満を募らせる結果となっています。
ユーザーがサードパーティーツールに頼らざるを得ない状況は、OSの基本機能に対する不満の表れであり、Microsoftがユーザーの信頼を損ねている証拠と言えるでしょう。企業が収益を追求することは当然ですが、ユーザーの利便性やプライバシーを犠牲にしてまで強引な手法を取ることは、長期的な視点で見ればブランドイメージの低下やユーザー離れを招く可能性があります。Windows 11が真に進化する時、それはCopilotが消える時ではなく、ユーザーの声が形になる時であり、ユーザーが安心して快適に利用できるOSとなることを期待します。