「35%」の絶望。あなたのPCを止めているのは、ディスクの中の100MBだった
2026年5月、Windows 11の最新アップデート「KB5089549」を適用しようとしたユーザーの間で、ある不可解な現象が多発しています。インストールの進捗が「35%」に達した瞬間、画面がフリーズしたかのように止まり、やがて「変更を元に戻しています」という非情なメッセージと共に再起動が繰り返される。この悪夢のようなループの正体は、これまで誰も気に留めてこなかった、ディスクの中のわずか「100MB」の領域にありました。
今回は、多くのPCを起動不能一歩手前まで追い込んでいる「35%の壁」の真実と、あなたのPCがその対象かどうかをわずか30秒で確認する方法を解説します。
原因は「ESP(EFIシステムパーティション)」の容量不足
PCのストレージ(SSDやHDD)には、Windowsがインストールされている「Cドライブ」とは別に、システムを起動させるための極めて重要な隠し領域「EFIシステムパーティション(ESP)」が存在します。通常、この領域はWindowsの標準設定で「100MB」しか割り当てられていません。
今回のアップデート「KB5089549」には、来月(6月)に迫ったセキュアブート証明書の失効に対応するための、新しい巨大なデータが含まれています。このデータをESPに書き込もうとした際、長年の累積更新やメーカー独自のログ、バックアップデータによって「100MBの隙間」が埋まっていたPCでは、たった数MBの容量不足によって書き込みが失敗し、更新が35%で止まってしまうのです。
なぜ、100MBで足りなくなったのか?
かつて、100MBという容量はシステム起動用としては十分すぎるものでした。しかし、PCメーカー各社がこの領域を独自に活用し始めたことが、今回の悲劇を招きました。一部のメーカー(特に大手BTOや海外ブランド)は、独自の診断ツールやリカバリ用の署名をこの100MBの中に押し込んでいます。その結果、ユーザーが意識しないうちにESPの空き容量は限界ギリギリまで削られ、今回の「大型」な証明書更新によってついに決壊したのです。
あなたのPCは大丈夫?30秒でできる確認コマンド
Cドライブにどれだけ空きがあっても、このESPが満杯であれば更新は失敗します。自分のPCの状態を確認するには、以下の手順でPowerShellを実行してください。
- Windowsボタンを右クリックし、「ターミナル(管理者)」または「PowerShell(管理者)」を開きます。
- 以下のコマンドをコピーして貼り付け、エンターキーを押します。
Get-Volume | Where-Object {$_.FileSystemLabel -eq "System" -or $_.UniqueId -like "*PARTITION_BASIC_DATA_GUID*"} | Select-Object DriveLetter, FileSystemLabel, @{Name="Size(MB)";Expression={"{0:N2}" -f ($_.Size / 1MB)}}, @{Name="Free(MB)";Expression={"{0:N2}" -f ($_.SizeRemaining / 1MB)}}
この結果、名前に「System」や「EFI」と付くパーティションの「Free(MB)」が**15MBを下回っている**場合、あなたのPCは35%の壁にぶつかる可能性が極めて高いです。
Microsoftの回答と、現在動いている「自動修正」
この問題に対し、Microsoftは当初沈黙を守っていましたが、現在は「既知の問題」として認識し始めています。一部のユーザーに対しては、OS側が自動的にESP内の不要なログファイルを削除し、空き容量を確保するバックグラウンド処理が走り始めています。何度も再起動が繰り返されるのは、Windowsが必死に「掃除」をして、再挑戦しようとしている証拠かもしれません。
もし手動で解決したい場合は、高度なディスク管理ツールを使ってESPのサイズを拡張する必要がありますが、これはパーティションを直接操作する非常にリスクの高い作業です。自信がない場合は、Microsoftが公式の修正スクリプトを配布するまで、しばらく様子を見るのが賢明でしょう。
結び:見えない100MBが支配する、デジタルの脆さ
今回の騒動は、数テラバイトのSSDを積んだ最新PCであっても、わずか100MBの設計ミス一つでガラクタになり得るという、現代コンピューティングの脆さを浮き彫りにしました。OSという巨大なインフラの足元に、こんなにも小さな、しかし致命的な落とし穴が潜んでいたのです。6月の期限に向けて、あなたのPCが「無事に掃除を終える」ことを願ってやみません。
ネットの反応
3回連続で失敗してキレそうだったけど、コマンド叩いたら空きが2MBしかなかった。原因お前かよ!
100MBで足りなくなる時代が来るなんてね。昔のPCならディスク全体よりデカい容量なのにw
メーカー独自のソフトがESPを占拠してるのはマジで勘弁してほしい。標準の100MBじゃもう無理があるだろ。
これ、下手に自分でパーティション弄ると起動しなくなるから怖いんだよね。お掃除機能が回ってくるのを待つしかないかな…。
AIの所感
今回のKB5089549問題は、ハードウェアの進化(ストレージの巨大化)に対して、OSのレガシーなパーティション設計(100MBという固定観念)が追いつかなくなった結果生じた「設計のひずみ」と言えます。特に、セキュアブートというセキュリティの根幹に関わる更新を、最も容量の逼迫しているESPに依存させた設計には大きな課題を感じます。ユーザーの目に見えない場所で起きている「数MBの争奪戦」が、社会インフラとしてのPCを止めてしまう。この教訓は、将来のWindowsにおけるディスクパーティション設計を根本から見直す契機となるはずです。

