酒呑ガジェット

〜静かな環境であなたに...こちらは音のでないコンテンツです。〜

【悲報】中国製DDR5メモリ、実測で「地雷」の影。安さの恩恵なき危うい実力

【悲報】中国製DDR5メモリ、実測で「地雷」の影。安さの恩恵なき危うい実力

いま、自分が使っているパソコンのメモリが「中国製」かもしれない。完成品のPCやノートなら、中身のチップ銘柄まで見て選ぶ人は少ない。そのすき間に、中国の新興メモリメーカーCXMT(ChangXin Memory Technologies)のDDR5がじわじわと広がっている。

多くの人は「中国が自前でメモリを安く作ってくれるなら歓迎」と期待する。しかし、オーバークロック愛好家による初期の実測レポートが、その期待に冷や水を浴びせている。結論から言えば、CXMTのDDR5は電圧を盛ってもクロックが伸びず、個体差も大きい。同じクロックで比べると、韓国SK hynixの製品に及ばなかったのだ。

パソコンのマザーボードに装着されたDDR5メモリモジュール。メモリスロットに差し込まれた緑色の基板と黒いチップが並んでいる

CXMTとは何者か。EUVなしで量産という異例の急速さ

CXMTがDDR5の量産を始めたと報じられているのは、2025年後半ごろ。つい最近のことだが、すでに世界の市場に広がっている。驚くべきは、最先端のEUV(極端紫外線)露光装置を使わずに作られていると伝えられている点だ。通常、先端メモリはEUVありきで語られる。それなしで大量に焼き付けているのだから、まるで町工場が最新工場に張り合うような勢いがある。

背景には、輸出規制によって最新装置が手に入らない「手裏事情」もある。最新装置を封じられても、旧来の手法を回して量産にこぎつけた。制約の中で無理やり形にしたと言えば聞こえはいいが、無理を通せばどこかに歪みが出やすい。その歪みが、後の実測で顔を出すことになる。

実際、2026年を通じてマザーボード各社が公式BIOSで最適化を入れ、8000MT/s台まで検証されている。数字だけ見れば立派だ。デルや地域限定のシステム、さらにはCorsair(コルセア)のような有名ブランドのモジュールにもCXMTチップが採用されている。Lexar、Kingbank、Neo Forza、Asgardなど、店頭で買えるDDR5キットにも潜り込んでいるため、箱に「中国製」と書いてなくても、ブランドの下に忍び込んでいる。

実測の核心。「電圧を盛っても伸びない」という異常

初期実測を行ったのは、オーバークロッカーのSafirosis氏と、ハードウェア情報を共有するUniko's Hardwareだ。メーカー公式ではなく個人のOC愛好家によるものである点には注意が必要だ。また、比較相手の具体的なデータは公開されていない。だから今日の話は「傾向」として聞くべきだ。

使われたのはKingbankの48GB(24GB×2枚)DDR5-6000 CL36というキット。これをOCした結果、回すこと自体はでき、8600MT/sまで上がった。しかし、そのときのCL(カスレイテンシ)は44まで緩んでいた。

ここで最初の発見だ。CXMTのモジュールは「電圧を盛ってもクロックが伸びない」。いわゆる電圧スケーリングが効かないのである。普通のメモリは、電圧という燃料を足せばその分だけ上のクロックへ伸びるのが当たり前だった。アクセルを踏めば早くなる車のようなものだ。ところがCXMTは、アクセルを踏んでも加速しない。燃料を足しても頭打ちになるのだ。

少なくとも指導チューニングの余地が乏しいということだ。理由は断定できないが、製造プロセスの成熟度や設計の甘さがまだ本家に届いていない可能性が示唆される。逆に、「電圧で伸びない」のは安全側とも言える。盛りすぎて壊す事故が減るなら悪い話ではない、という見方もできる。しかし、自作PCの世界では「余白のなさ=天井の低さ」と読むのが自然だ。

詰められないサブタイミング。体感の速さは総裁されがち

頭打ちはクロックだけではない。詰める方向も封じられていた。2つ目の発見は、サブタイミングを詰められないという点だ。CLはベースラインに固定されるどころか緩む一方だった。

CLとは、メモリに要求してから応答するまでの待ち時間の目安だ。同じクロックならこの数字が小さいほど反応が早い。つまり、6000のCL36から8600のCL44へとクロックは上がったが、待ち時間の数字は増えている。クロックを上げても待ち時間が伸びれば、体感の速さは相殺されがちだ。自作の醍醐味である「詰めて早くする遊び」が、ここでは効かない。

本来なら数十項目の細かい設定を詰めて性能を絞り出せるはずが、それが効かないなら箱を開けても遊べないおもちゃのようなもの。チューニングで伸ばす楽しみがそもそも封じられているのは、自作好きには寂しい話だ。ただ、正直に言えば、普段のゲームや事務作業で体感差が出るのはごく一部の趣味層。多くの人には実害の小さい話でもある。

購入判断に直結する「個体差の大きさ」

そして3つ目の発見は、もっと購入判断に直結する。ロットごとの個体差が他者より大きいのだ。いわゆるシリコン・ロッタリー(製造ばらつき)は、同じ型番でもバッチが違えば性能がばらつく。その幅がCXMTでは特に大きいという報告がある。中身を開けるまで当たり外れが分からない、福袋のような状態だ。

SK hynixにも当たり外れの要素はあるが、CXMTはその非重が重い。同じ型番を買っても、隣の人と中身が違う可能性が高い。ばらつき幅が大きいと、メーカーは安全側で控えめな数値を刻むしかない。当たりの実力も表示にまれてしまうのだ。点と点が繋がった。急いで量産した歪みが、個体差の大きさになって出ている。

性能以上に怖い「寿命」の懸念

性能が伸びない以上に怖い話が、寿命だ。メモリは本来、何十年も壊れないのが当たり前だ。だからこそ、進行メーカーで一番の記念(キネン)は実は速さではなく耐久性なのである。「遅くても壊れなければいい」という考え方だ。

視聴者のコメントでも一致していた。「今回の弱点は我慢できても、その裏で故障率が高い可能性を疑わざるを得ない」という声だ。劣化してエラーが出るのが怖いのは、買ってすぐならまだ気づけるが、数年後にじわじわと壊れる可能性があること。メモリのエラーは「PCの不安定さ」として表面化するため、原因が分かりにくい。突然の再起動やデータ破損の犯人がメモリだと、素人では特定しづらいのだ。

ただし、これも故障率のデータがあるわけではなく、あくまで懸念の段階。断定はできないが、拭えない不安であることに変わりはない。しかも、完成品のPCならそもそも中身を選べない。

最大の皮肉。「安くない」中国製

せめて安ければ割り切れる。安さと引き換えのリスクなら納得できる。ところが、ここが最大の皮肉だ。CXMTのRAMは、特別に安いわけではないのである。

安いのではなく、量が多くて手に入りやすいだけという指摘だ。相場は今の高いメモリ相場と同じ水準のままというのが実情だ。さきほど期待した「量が増えば安くなる」は、まだ聞いていない。供給の余裕が価格に降りてくるには時間がかかる。今はまだ、量の恩恵を消費者は受け取れていない。

つまり、1番美味しくない構図になっている。安さのメリットはないのに、信頼性のリスクだけを受け取る取引だ。ある視聴者は、中国製の安心料を2割から3割ほど見積もっていた。例えば自作で3万円のメモリを買うなら、安心のために6000円から9000円上乗せする感覚だ。日本の実店舗でも、今32GBクラスのDDR5は1万円台が当たり前。少し前まで数千円で買えた感覚だったのに、AI需要で相場が押し上げられている。その高値の海の中では、中国製でも数千円安いという救いはないのだ。

「地雷」か、それとも「助走中のランナー」か

ここまで並べると弱点だらけに見える。ではCXMTはただの地雷なのか。ここで視点を上げる。地雷と断じるのも早計だし、救世主と持ち上げるのも早計だ。今日の実測はあくまで個人のOCテストであり、比較値も非公開だ。

質の話ではまだ負けている。しかし、価格帯には強力なライバルがまだ少ない。SK hynix、Micron、Samsungの3家がAI向け高級メモリに手を取られている間、CXMTは量を売って現金を稼ぎ、プロセスを磨く時間を持てる。まさに助走中のランナーだ。今はまだ本家に届かないが、加速し続けている。

さらにCXMTはIPO(株式公開)も進行中と伝えられている。資金を得れば開発の加速はさらに現実味を帯びる。西側で本格的に売れる日が来るかどうかには、「信頼」と「価格」という2つの壁がある。今はまだ中国内が主戦場だ。

ネットの反応

電圧盛っても伸びないのは流石にキツいな

安くないなら中国製をわざわざ選ぶ理由がない

個体差大きいのは自作で怖い。当たり外れの福袋

数年後に壊れるのが一番こわい。原因特定できないし

EUVなしでここまで来るのは凄いけど質はまだ

AI向けに手取られてる間に量産してるのが賢い戦略

BIOS最適化入ってるってことは普通に動くんじゃない

サブタイミング詰められないのはチューニング好きには痛い

助走中のランナーって言い方、すごく納得する

完成品PCの人は中身選べないから知るだけでも意味ある

AIの所感

この件から見えるのは、半導体という産業の厳しさだ。「量」と「質」は別の戦いである。CXMTはEUVなしという不利な手札の中で、旧来手法で量を確保し、まずは市場に居場所を作った。その戦略眼は鋭い。しかし、自作PCユーザーが求めるのは「安さ」と「信頼」の両立であり、現時点のCXMTはそのどちらも満たしきれていない。個人OCによる初期実測は参考値にすぎないが、数年後の寿命データがどう出るかが、本当の勝負所だろう。消費者としては、安さと引き換えに何を犠牲にするかを自覚した上で選ぶしかない。知らずに使うのと、知って使うのとでは、トラブル時の対処も変わってくる。

-パソコン