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【悲報】世界1位なのに金を払っても落とせない!動画AI『Wan 3.0』が4世代も閉じた理由

世界1位なのにお金を払っても落とせない。動画AI「Wan 3.0」が4世代続けて閉じた理由

動画生成AIの世界で今最も高い評価を受けているのは、Alibabaの「Wan 3.0」だ。評価サイトArtificial Analysisの動画編集リーダーボードで1位に立つ1189点のモデルでありながら、このモデルはお金を払っても自分のパソコンには落とせない。そもそも配られていないからだ。使えるのはAPI経由だけで、Alibaba CloudとQwen Cloudの上でだけ動く。

違和感が生まれるのは、一つ前の「Wan 2.2」が重みを丸ごとApache 2.0という極めて緩い許可で無料公開していたからだ。商用利用も改造も自由で、改造したものを配ってもよく、元の名前を出す義務も儲けを分ける義務もない。だから世界中の人が次も配られるものだと思って待っていた。ところが旗艦は2.5、2.6、2.7、3.0と4世代続けて閉じたままになっている。

ではAlibabaはオープンをやめたのか。実はやめていない。同じ会社が2026年8月8日のWan-Animate-2や7月17日のWan-DancerをApache 2.0で配り続けている。配るものと配らないものがはっきり線引きされているのである。その線がどこに引かれたのかを公式リポジトリの中身を一つずつ数え、最後に私たちが今どうすればいいのかを4本の道として整理する。

主役はWan 3.0。30秒を一発で作り音まで同時に出す旗艦

Wan 3.0の公開は2026年8月6日で、扱いはブリックベータだ。できることは派手で、1回の生成で最大30秒の動画を作る。これまで5秒や10秒で切れるのが普通だった世界では長い部類に入り、しかも継ぎ接ぎではなく30秒を一手で作り切る。解像度は480p、720p、1080pの3段階で、音が同時に出る。無音の映像が返ってくるのではなく、絵と音を一度に作るため最初から曲が付いた状態で出てくる。

変わり種として、書類を読ませると動画にしてくれる機能もある。PDFやWord、PowerPoint、WebのURLを渡すと中身を読んで組み立てる。資料を放り込めば解説動画ができるという理屈で、商売の在り方が問われる可能性すらあるとされる。

順位表はどう読むのか。ELO 1189点が示す人の好みの集計

順位表はArtificial Analysisの動画編集リーダーボードで、人が2本並べて見比べ、どちらが良いかをその場で選ばせる投票を何万回も繰り返した結果をELOという将棋やチェスの段位のような仕組みで点数化したものだ。絶対的な性能ではなく、人の好みの集計である。

上位は1位 Wan 3.0で1189点、2位 MiniMax H3で1129点、3位 GoogleのGemini Veo Flashで1124点と団子状態で、1位と3位の差は65点しかない。4位はHappi Horse 1.0で1082点、5位がWan 2.7で1077点と、一つ前の世代もちゃんと表に乗っている。6位 ByteDanceのDreamina Seed Dance 2.0で1039点、7位 Runway Aleph 2.0で1034点、8位 Kling 3.0 O2が1000点ちょうど、9位 Skywork AIのSkyReels V4で950点と続く。Wan 3.0が1位であることは事実だが、圧倒的な差があるわけではない。

世界1位の動画生成AI Wan 3.0と順位表、閉じられた旗艦モデルを象徴するイメージ

一つ前のWan 2.2は何を無料で配っていたのか

Wan 2.2が公開されたのは2025年7月28日。配ったのは推論を動かすコードとモデルの重みそのものだった。重みとはAIの中身の数値で、学習して覚えたことが数字の塊になっている。これさえ手元にあれば自分のマシンで動かせる。料理で言えばレシピではなく完成した調味料を配るようなものだ。

許可はApache 2.0で、配った中身は3種類ある。文字から動画を作る14Bモデルが1つ、480Pと720pに対応する画像から動画を作る14Bモデルが1つ、そして720pで24コマ出せる5Bの小さいモデルだ。ComfyUIという画像や動画を作る道具に組み込まれ、自宅のパソコンで動画を作る人たちの事実上の土台になった。無料で配ったから広まり、誰でも試せて改造もできるため人がどんどん集まった。量子化した軽い版を勝手に作って配る人まで出てきた。数値をざっくり丸めて容量を減らす技で、少数点以下を削って整数に寄せるようなイメージで、質は少し落ちるが小さいグラボにも乗るようになる。

公式の棚に並んでいるものを実際に数えてみる。Wan 3.0の箱は存在しない

猿博士がWan-Videoの公式GitHub組織の棚を上から全部数えたところ、並んでいたのはたった6つだった。Wan-Animate-2が2026年8月8日でApache 2.0、Wan-Dancerが2026年7月17日でApache 2.0、Wan-Skillsが4月17日でApache 2.0、Wan 2.2が2026年3月17日でApache 2.0、Wan 2.1が3月5日でApache 2.0、あとは他の道具という枝分かれが1つで終わりだった。

そこにWan 3.0はない。下調べの段階では「3.0の箱はあるが中が空っぽだ」という話が出回っていたが、博士が実際に見に行くと空の箱すらなく、箱自体が作られていなかった。棚は2.2で止まり、2.5も2.6も2.7も3.0もない。Hugging FaceのWan-AIの置き場でも2.5以降の名前は一つもなかった。空の箱ならいつか中身が入る期待が残るが、箱がないならそもそも配る予定に入っていないという点で意味が全く違う。

一番新しかったのはWan-Animate-2という系統で、番号は2のままだった。新しいのに番号は古いままで、2.2の上に生えた枝に過ぎない。3.0の枝ではないという点が、線引きの所在を示している。

旗艦だけが4世代続けて閉じている。存在はするが渡されない

Wan 2.2の後、2.5、2.6、2.7と続いて今の3.0で合わせてちょうど4世代が閉じたままだ。落とせないものは話題になりにくいため、2.5や2.6という名前自体があまり聞かれないが、存在自体は確認できる。順位表の5位にWan 2.7が1077点で乗っていることが、APIで動いている証拠だ。正確な発表日は集計サイトで2025年9月、12月、2026年4月あたりとされるが、公式発表までは遡れず断定は避けるべきとされる。確実に言えるのは、AlibabaのオープンなWanの系列は2.2で止まっているという、倉庫を見れば誰にでも確かめられる事実だけだ。

ただし配るのをやめたわけではない。幹は止めて枝を伸ばす戦略

旗艦が4世代閉じている一方で、旗艦以外は今年もバンバン配っている。前述のWan-Animate-2やWan-Dancerがまさにそうで、緩さは1mmも変わっていない。配っているのは動きを移す、踊らせるといった用途が絞られた専用道具や、道具同士をつなぐ部品ばかりだ。何でも作れる一番強い本体だけを外しているという整理だ。

ブランド全体で見れば、無料で強いものを配ると人が集まり、周りが勝手にComfyUIの部品や使い方の記事を増やし、量子化版まで作って賑やかになる。会社はそこに1円も払っていない。第1段階で土台を取って人を集め、人が集まりきったところで第2段階として一番強い新型は配らずAPIで貸す形にし、使うたびにお金が入る仕組みへ静かに切り替えるという構図だ。学習には莫大なお金がかかり、動画の学習は特に高いため、その分を回収する必要がある。ただし土台を手放すと人が散ってしまうため、2.2は残し枝葉は配り続ける。人の輪を残しつつ上積みだけを有料に寄せるという、綺麗にいいとこ取りした線引きである。結論は、オープンをやめたのではなく置き場所が変わったという一点に集約される。昔は一番強いものがオープンの側に置かれていたが、今はAPIの側にある。

公式の80GBと実務の分かれ目12GB。混ぜて覚えないための二段の説明

手元に残ったWan 2.2で何ができるのかを考える上で、VRAMの数字は必ず二段に分けて理解する必要がある。公式が書いている14Bモデルをグラボ1枚で動かすのに必要なVRAMは最低80GBで、ゲーム用の最上位でも24GBあたりのため、自宅では無理という結論になる。小さい方の5Bでも最低24GBとされ、RTX 4090が例示される。

しかし世の中で回っているのは削った版で、5BをQ8の精度で動かすと大体10GBで済み、12GBのグラボにそのまま乗り、8GBでもはみ出した分を本体メモリに逃せば動く。GGUF形式では一番荒く削った版で1.85GB、丁寧な版でも5.4GBまで小さくなる。FP8という削り方では2割から4割VRAMを減らせる。実務の分かれ目は12GBだとされ、12GBあれば大きい14Bもそれなりの削り方で回り、8GBだと5Bで我慢するのが正直なところだ。

公式の80GBとみんなが言う12GBを混ぜて喋らないことが重要で、どちらも本当だが前提条件が違う。削り方にも種類があり、どこまで質を諦めるかで選ぶことになる。

4本目の道。順位表2位のMiniMax H3が手元に来る

待つ、Wan 2.2でいく、お金を払って借りるという3本に加え、4本目の道として提示されるのがMiniMax H3だ。Artificial Analysisの順位表で2位の1129点で、1位との差は60点しかない。Haloという動画サービスの裏で使われていたモデルを2026年8月頭に重みごと公開したもので、Wan 3.0が出たのとほぼ同じ時期に片方は閉じ、片方は開いたという対照的な動きだ。

規模は33Bだが全てが計算に使われるわけではなく、13B分くらいは推論時に読み込まれない作りになっている。落とす容量は最初の構成で42.5GBで、文字や画像から動画を作るモデルと参照する絵を渡して作るモデルの2種類があり、片方だけでよい。ComfyUI側の説明では12GBのグラボで動き、本体メモリを64GB見ておくことが条件とされる。グラボは安く済むがメモリにお金がかかり、その分遅くなるというトレードオフだ。解像度は元の状態で短辺が768ピクセルとやや物足りない点もある。

許可はApache 2.0ではなく独自のもので、商用利用は無料だが画面のどこかにminiMax H3と出す義務があり、売上が2000万ドルを超えると書面で許可を取る必要がある。さらに地域の条項が付いており、欧州連合、英国、大韓民国、アメリカ合衆国は適用の外に置かれ、そこの人はこの許可では使えない扱いだ。日本は除外一覧に入っておらず、事実として名前がないという点だけは言えるが、使う前に必ず許可の本文を自分で読むことが強く推奨される。特に仕事で使う場合は全文に目を通す必要がある。

選べる4本の道。待つのが一番もったいない

まとめると、なぜ1位のモデルが落とせないのかという問いへの答えは、配布の方針が静かに切り替わったからである。オープンをやめたのではなく、置き場所が変わった。幹は1年前の2.2で止め、そこから枝だけを配り、一番強い新しい幹は向こうのマシンの中に置いたままにする。人の輪を残しつつ上積みだけを有料に寄せる形だ。

私たちの選択肢は4本ある。1本目はWan 3.0が配られるのをひたすら待つ道だが、4世代続けて閉じたという事実は重く、来ないかもしれない。2本目はWan 2.2でいく道で、土台としては今も現役で周りの道具も揃い、12GBあれば大体回る。3本目は素直にお金を払って借りる道で、30秒を一手で作れるのは今のところ借りるしかない。4本目はMiniMax H3で、2位の実力が手元に来る。必要なのは12GBと本体メモリ64GB、それと42.5GBの置き場だ。

来ない可能性のあるものを待つ間に、Wan 2.2はもう手元にある。1年前の土台だってまだちゃんと動くという点で、待つのが一番もったいないという見方も成り立つ。配られなくなった話は残念だが、配られているものは思っているよりずっと多い。

ネットの反応

乗り換え一択でした。MiniMax H3はムフフ&バイオレンス学習済みで強過ぎた。あれを作って公開した奴は頭のネジ飛んでる

ダントツの勢いあったSoraですらオワコンになったし、クローズドになったらメインストリームから外れた雰囲気は感じる

minimaxH3でちゃったからwan2.2と派生だけではもう戦えないな

4世代閉じたままは重いな。待っても来ないなら2.2で我慢するかH3に乗り換えるかだわ

80GBと12GBを混ぜてたわ。公式と実務は別物って二段で説明してくれて助かった

AIの所感

この一件は、オープンという言葉の意味が変わりつつあることを示している。かつては一番強いものを無料で配ることが人を集める手段だったが、人が集まりきった後は一番強いものを有料で貸す方が利益になる。幹を古いまま残しつつ枝だけを配るという手法は、コミュニティを維持しながら収益化するという点で極めて合理的だ。一方で、待てば来るという期待を抱かせ続けることの是非は問われる。4世代という事実を直視すれば、待つという選択肢のコストは小さくない。Wan 2.2が今も現役で、MiniMax H3という2位の選択肢が手元に来るという現実を見れば、今あるもので作り始める方が建設的だ。動画生成AIの進化が速い中で、1年という時間はあまりに長い。配られなくなったことを嘆くよりも、配られているものをどう使い倒すかが問われている。

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