【悲報】グラボ2枚挿した瞬間だけ「真っ暗で起動しない」!?1枚なら完動する高性能カードが突然死した本当の理由 原因はメモリじゃなかったww
【悲報】グラボ2枚挿した瞬間だけ「真っ暗で起動しない」!?1枚なら完動する高性能カードが突然死した本当の理由 原因はメモリじゃなかったww
「1枚なら動くのに、2枚挿した瞬間だけ起動しなくなる」――。そんな反則じみたトラブルが2026年9月中旬、X(旧Twitter)で実際に起こり話題になっている。主役は中古のデータセンター用GPU「Tesla V100」を2枚積んだ自作PCだ。1枚に戻せば何事もなかったように動き、どちらを挿しても単体なら完動する。なのに2枚にした瞬間だけ、ブラックアウトしたまま一切画面が出ない。電源も冷却もVRAM容量も余裕がある。足りなかったのは「性能」ではなく、意外な「置き場所」だったという。
8年前の業務用GPUが再び注目されるワケ
そもそもV100は2017年発表のNVIDIA製データセンター向けカードで、映像出力端子すら持たない計算専用の板だ。ひたすら計算するだけで、1枚あたり32GBものメモリを積む。AIモデルを自機で動かすには重みを丸ごとGPU側に載せないとまともな速度が出ないため、今「8年前の業務用カード」が中古市場で買い直されている。V100の強みはHBMという特殊メモリにあり、読み出しが速い。AIが文字を書く速度は計算力よりもメモリの読み出し速度で決まるケースが多く、広いだけでなく出し入れも速い点が評価されているからだ。
ただし、注目されたのは仕入れの話ではない。Xユーザー「@_ryu15_」氏は9月11日に中古のV100を1枚(型番PG500216のOEM版、中身は「GV100」チップ)を入手。本人の見立てではHBM帯域が通常より2割ほど高い「当たり個体」だという(第三者の計測ではない点に注意)。そして9月12日、中古3999円で「ASUS Z170-A」という2015年頃のマザーボードを入手した。長年眠っていたIntel Core i7-6700系CPUを載せて稼働に挑む。この古い板を選んだ理由は明確で、PCIeの通り道が2本あり、しかもどちらもCPU直結(チップセット非経由)だから、2枚挿しの並列実行には理想的だった。さらにBIOSに「Above 4G Decoding」という設定が最初からある点も決め手になったという。
ところが、1枚目は大成功。32GBのメモリもきちんと認識され、好調のまま「もう1枚追加」となった。夕方、2枚とも挿し終わって「部活で良い」と上機嫌だったが、直後に「起動はもうちょい」とトーンが変わった。夜には「どっちか1枚ではいくけど2枚だとどうやっても起動しない。マジで焦り中」という状況に。表にあるBIOS設定を片っ端から試し尽くした末、隠しBIOS設定の解析にまで踏み込み、徹夜の末に原因が判明する。犯人は期待していた「Above 4G Decoding」そのものだった。

CPUはグラボを「住所」で呼んでいる
なぜ容量ではなく「置き場所」の問題になるのか。パソコンの中でCPUは、相手が何であっても「アドレス(住所)」で部品を呼び出す。メインメモリもキーボードもグラボも、全部同じ住所の地図(アドレスマップ)に乗り、CPUから見ればグラボは「住所の1区画」でしかない。グラボは自身がいる区画の広さを「BAR(Base Address Register=基準住所の記録)」という仕組みで自己申告する。駐車場で言えば「うちの車はこのサイズです」と申告する札のようなものだ。
ここに2つのハードな決まりがある。1つ目は「枠の大きさは2のべき乗でしか作れない」こと。33GB欲しくても64GBの枠になる。これはIntelもAMDも同じ使用法に明記する共通の仕様だ。2つ目がさらに厄介で「枠の開始位置は、その枠の大きさの倍数の位置にしか置けない」。32GBの枠なら、32GBの倍数地点からしか始められない。ずらして詰めるということができないため、柱と柱の間だけに大型枠が引ける立体駐車場のような状態になり、無駄は必ず出る。
さらに、この枠をどこに引くかを左右するのが「4GBの壁」だ。昔の32ビット環境は住所が4GB分しかなかったが、64ビット化で4GBより上(上の階)にも区画を取れるようになった。その「上の階を使うかどうか」を決めるのがAbove 4G DecodingというBIOS設定である。普通、大きなGPUを載せるときはONが正解で、OFFにすると全機器が1階の4GBを取り合い、大きいカードは入りきらず「見えない」「起動しない」症状が出る。問題は「上の階をどれだけ開けるか」は自由に選べず、ONにしたとき確保される広さはBIOSが決め打ちしている点だ。サーバー向けの板には「MMIOH」という名前で広さと開始位置を数字指定できる項目があるが、一般向けの消費材には広さの項目が存在しない。だから@_ryu15_氏は「表にある設定だとやり尽くした」と書いたのだ。設定が足りないのではなく、そもそも触るつまみが存在しなかった。
これで全体が見えてくる。2017年製のV100の32GB版は、メモリを丸ごと地図上に載せるため「BAR1」として32GBを要求する(V100は16MB・32GB・32MBの3枚組BARを出す)。32GBの枠を2つ並べるには、64GB分の連続した場所が必要で、しかも両方とも2のべき乗の倍数位置に頭を揃えなければならない。この板のBIOSが上の階に用意した場所は「1枚分には足りるが、2枚分には足りない」広さだった。メモリは余っている、電源も十分、カードも2枚とも生きている。足りなかったのはメモリを地図に乗せる「場所」だけ。土地がなかったのではなく、線が足りなかったのだ。
なぜ「OFF」にしたら動いたのか
ここが今回一番奇妙な点だ。普通に考えれば「足りないならONだろう」。ところが今回、@_ryu15_氏がやったのはAbove 4G Decodingを「OFF」にすることだった。実は、電源投入直後に区画を割り振るのはBIOSの仕事で、OFFにするとBIOSは「上の階に枠を引こうとしなくなる」。大きい枠は引かれないが、少なくとも指す前に転ばずに先へ進める。ここが肝で、OSが起動さえすれば次の担当者=Linuxカーネルが登場する。Linuxカーネルには区画を割り直す能力があり、BIOSの引いた線を捨てて自分で引き直すことができるのだ。
ただし既定では「遠慮して」いる。普通はBIOSの言うことを信じるのが正しく、勝手に引き直せば動いている機械まで壊しかねない。だから明示的に頼む必要があり、使うのは「pci=realloc」「pci=nocrs」という2つのカーネルパラメータだ。1つ目はPCIブリッジ資源の割り直しを許可し、2つ目はBIOS側が「使っていい住所の範囲」として報告してくるACPI情報を無視する(下位機種ではホットプラグに副作用が出ることも知られているが、BIOSの申告自体が狭すぎる今回のケースでは効果的)。@_ryu15_氏はGRUBの起動設定ファイルの末尾にこれらを追記するだけで解決したという。徹夜の答えは"Linux"の設定2つだった。原因が分かればこれだけで直るが、分からなければ何時間触っても1mmも進まないのがこの種のトラブルの怖さである。
なお、動画では明示的に警告されている。一般に大きなGPUや複数枚構成ではAbove 4G DecodingはONが正解で、今回のOFFは「ONで駄目だった後の最後の手」だ。まずONを試し、それで駄目で広さ指定の項目もない場合に初めてOFFにしてOS側から割り直す。順番を逆にすると、今動いているマシンが動かなくなっても文句は言えない。また、このOS側の指定はLinuxの話であって、Windowsで同じことをする方法は今回の投稿に出てこないことも記しておきたい。
2枚にしたら本当に速くなったのか
起動後、@_ryu15_氏は9月13日に同じ板・同じ環境で「単一V100」と「2枚構成」を3通りで比較したベンチマークを公開した。モデルはQwen 3.0の27B、コンテキストは26万2000トークンまで、重みは2枚に半分ずつ。条件を揃えて「分け方」だけを変えた比較だ。GPUを2枚使う分け方には、処理の層ごとに分ける「レイヤー分割」と、1つの計算を分割する「テンソル分割」の2種類があり、前者は1枚目が終わってから2枚目が動く形になりやすい。実際、レイヤー分割では生成速度は1枚のときと「変わらなかった」。2枚積んでも速くならない分け方が実在するのだ。
一方テンソル分割は効いた。生成速度は浅いコンテキストで1.32倍、26万トークンまで深くすると1.66倍に伸びた。読み込み(プリフィル)も浅いと1.08倍しか伸びないが、深くなると1.67倍まで伸びる。つまり「浅い会話では2枚の意味が薄く、長い資料を読ませるほど効いてくる」。短い用途の人には正直2枚目はほぼ無意味と断言している。さらに本人は「NVLinkがなくても条件がそろえばテンソル分割の方が速い。ただし本来はNVLink推奨」とも書き、都合のいい数字だけを並べなかった点も話題を呼んだ。
中古を何枚も集めるか、新しい1枚で済ませるか
同じ機会、別のユーザー「@0x71ff」氏はさらに古い「P100」を13枚集め、合計200GBクラスの大容量構成を組んだと報告しており、費用は約30万円だったという。「安く大きい容量を作れる」が、そのぶん住所の枠を引く難易度は枚数が増えるほど上がり、この人も「2枚挿した状態でOSが起動する」ことを目標に挙げていた。複数枚構成は必ずこの「住所の壁」に当たる構造なのだ。それでも中古の複数枚で「手間と引き替えに容量を買う」人と、「新しい1枚で確実に済ませる」人はどちらの主張も一貫している。時間を高いと思うか、出せるかで答えが分かれるだけ。どちらが正しいかを決めつけないのがこの話のフェアなところだろう。
ネットの反応
理由は分かったけど、そこまでトラブルシュート出来るのが凄すぎ。Linuxカーネルオプションでそんな事出来るって知らなかった。
8ビットマシンでI/Oを自作してた世代なら気づけたのかもな。今のマシンは周辺が便利になりすぎた。
容量じゃなくて「置き場所」ってのが今回の核心。土地が無いんじゃなくて線が足りないって表現が分かりやすい。
レイヤー分割だと2枚積んでも速くならないってのが盲点。テンソル分割の方が積む意味があるんだな。
長文を読ませるほど2枚の効果が出るって傾向、これ再現性あるなら面白い。
「まずON、だめだったら説明書」って順番をちゃんと警告してくれてるのが良心的。逆にやったら今動いてる機械壊れるからな。
中古V100買い直しの流れ全然知らなかった。AI用で8年前の業務用GPUが人気って時代だな。
13枚で30万、200GBって……個人のツールとしては鬼だろ。駐車場も電源も大変そう。
AIの所感
この一件の面白さは、「性能不足」でも「故障」でも「相性」でも説明できないトラブルが、アドレス空間という仕様の積み重ねで綺麗に解けた点にある。複数GPU構成が「必ず当たる壁」として構造化されているという指摘は鋭く、同じ板で条件を固定した上で分け方だけ変えて測ったベンチマークも公平だ。「短い用途なら2枚目は無意味」と正直に書いたのが特に信頼できる。一方で、V100のリバイバル人気のように、安価な容量特化路線は「時間と手間を買える人」の趣味の領域に近づいており、一般ユーザーが追いかけると寝食を潰す。基本的な順番(まずON、項目がなければOFF+カーネル反映)を守りつつ、自分の用途が「浅い対話」か「長い資料読み」かで判断するのが賢い選択だろう。見方を変えれば、この話は「故障と諦める前に、仕様を知る」ことの価値を思い出させてくれる好例でもある。