酒呑ガジェット

〜静かな環境であなたに...こちらは音のでないコンテンツです。〜

【悲報】グラボのメモリ会社が3社から2社に…値下げの夢が遠のく本当の理由

【悲報】グラボのメモリ会社が3社から2社に…値下げの夢が遠のく本当の理由

グラフィックボードのメモリを作る会社が、3社から2社に減った。Micronが2GBのGDDR7チップを生産終了にしたことが確認された。対象は28Gbps品と32Gbps品の両方で、エンドオブライフとして製品ページから姿を消している。RTX 50シリーズ向けの2GB品を作るのはSamsungとSK hynixの2社だけになる。仕入れ先が減れば品薄になって値上がりするのではないかと身構えた人も多いはずだが、今回の話の核心はそこではない。今日の棚は変わらないのに、この先の値札の裏側が静かに変わるという点にある。

まず押さえておきたいのは、2GBという単位は仕様書では16Gbと書かれる点だ。小文字のbはビットで、1バイトは8ビット。16を8で割ると2になるため、16Gb品と2GB品は同じものを指す。同様に3GB品は24Gb品と表記される。現在のRTX 50シリーズはこの2GBチップを並べて容量を作っている。RTX 5090は2GBを16枚で32GB、RTX 5080やRTX 5070 Tiは8枚で16GB、RTX 5070は6枚で12GB、RTX 5060は4枚で8GBといった構成だ。GPUとの接続幅であるバス幅に合わせて枚数が決まり、32ビットあたりチップ1枚という関係になる。バス幅はGPUに刻まれているため後から枚数を増やすことはできず、容量を増やしたいなら枚数を増やすか1枚を大きくするかの2択しかない。

グラフィックボードに並ぶメモリチップを描いたイメージ

公式発表なし、理由は語られないまま

今回の情報の確かさを整理しておく。最初に確認したのは製品ページでエンドオブライフが表示された点で、Tom's Hardwareも検索結果に出てこない状態を報じている。Micron自身は公式発表も理由の説明も一言もしていない。AI向けの高利益な3GB品に軸足を移すためというのは報道の見立てであり、断定はできない。公式発表が最も強く、次が製品ページの表示、その次が見立てという強さの順番で見れば、今回は真ん中に位置する。消えたことは事実だが、なぜかは誰も裏付けを取れていない。RTX 50向けが出そろった中ではMicronの参入は最も遅く、今年に入ってから供給を始めたばかりで、搭載製品もRTX 5060のリテール版など一部に限られていた。同じ型番でも中のメモリの作り手が違うことは珍しくなく、買う側からは選べない。後から承認を取った分だけ出荷も少なく、抜ける際の身軽さも大きかったと見られる。量が少ない会社が抜けても穴は小さいため、すぐ品薄にはならないという記者の評価は妥当だ。

3社から2社へ、値下げ材料がひとつ消えた

問題は供給元の数にある。3社あればNVIDIAやボードメーカーは3社を競わせて価格を下げられる。2社になると片方が高い値を出してきた際の逃げ先がひとつしか残らない。メモリ全体が不足している時期に選択肢がひとつ減るのは安心材料ではない。2社でも競争はあるという理屈は成り立つが、3社目の崩し役がいなくなると両方が高いまま並ぶ形にもなり得る。工場の事故や災害などで片方が止まった場合、2社なら残りは1社になる。普段は使わない予備の価値が非常時に効いてくる。結論として値上がりするとは断定できないが、値下げの材料がひとつ減ったことは確かだ。急に上がるなら騒ぎになるが、下がらないだけなら誰も気づかない。地味だがこちらの方が怖い変化だ。

3GBは代わりにならない、容量1.5倍で価格は約3倍

Micronに残ると見られる3GB品が降りてくれば解決するのではないかという期待も崩れる。3GBは2GBの代わりにはならない。容量は2GBから3GBへ1.5倍だが、価格は約3倍と言われている。部品単価の推定では2GBが約20ドル、3GBが約60から70ドルとされる。1枚で40ドル増えれば8枚構成では大きな差になる。作る側は当然儲かる方に生産枠を回す。3GBが使われているのはNVIDIAのRTX Pro Blackwellやノート向けRTX 5090の24GB構成など、業務用や高価格帯が中心だ。配線幅を広げずに容量を増やせる利点はあるが、容量の刻みも変わる。192ビットで6枚なら2GBで12GB、3GBだと18GB、128ビットで4枚なら8GBが12GBになる。18GBという数字は見慣れず、推奨要件にも書きにくく、設計全体の見直しが必要になる。RTX 50 SUPERが3GBの高さゆえに見送られたと報じられてきた経緯とつながる話でもある。

29年続いたCrucial撤退と重なる並び

この動きはMicronの一手目ではない。前には一般向けブランドCrucialのメモリとSSD事業からの撤退があった。29年続いた自作の定番ブランドが一般向けからなくなり、その際はAIデータセンターの需要増を理由に成長の早い分野の大口顧客を優先すると公式に説明していた。同じ会社が一手目では理由を語り、今回は黙っている。部品の話は取引先に伝われば足りるため静かに消えるという事情もあるだろうが、一般向けの安い部品から順に手を引いている並びは見える。4GBや6GBのGDDR7も計画されているが次の世代の遠い話だ。

日本の売り場では9月23日時点でRTX 5060の8GBが6万4645円、VRAM16GBのRTX 5060 Tiが10万4800円で、その差は約4万円だ。8GBから16GBにするだけで約4万円がVRAMの枚数分として上乗せされている。仕入れ先が3社から2社に減っても今日の棚は変わらないが、交渉の結果がこの約4万円差として並んでいる。VRAMだけは後から1GBも足せない。2年で買い替えるなら8GBでも困りにくいが、4年5年使うなら約4万円は保険料と考える価値がある。1年あたり1万円の保険と考えれば見え方が変わる。足りなくなれば設定を一段落とすか読み込みの遅れを我慢し続けることになる。今日の値段は変わらない。変わるのはこの先の値下げ材料だ。選ぶ瞬間に何年使うつもりかを先に決めることが、このニュースの正しい持ち帰り方になる。

ネットの反応

仕入れ先が3社から2社に減っても今日の棚は変わらないというのは分かるが、交渉の裏側が変わるのが怖い

容量1.5倍で値段3倍では安いグラボには乗らない、儲かる方に枠が行くのは当然だが悔しい

18GBという刻みは見慣れなくて比べにくい、設計を丸ごと変える話になる

29年続いたCrucialが消えた流れと重なる、一般向けが後ろに回されているように見える

VRAMだけは後から足せないので4年使うなら4万円は保険料と考えるべきだと思った

AIの所感

上がるではなく下がりにくくなったという表現の鋭さに考えさせられる。騒ぎにならない形で選択肢が減ることほど気づきにくい変化はない。今日の動作は1ビットも変わらないのに、来年の買い物の条件だけが静かに書き換えられている。部品メーカーの決定が売り場の値札に届くまでの距離を意識して、使う年数から逆算して選ぶ姿勢が大切だと思う。

-パソコン