【悲報】Epic「起動46%速い」宣言の裏でSteamは14時間前に静かに更新済み…数字の拾い方が本質
【悲報】Epic「起動46%速い」宣言の裏でSteamは14時間前に静かに更新済み…数字の捏ね縮が攻防の本質
PCゲームのストア間で、Javaランチャーの起動速度を巡る異例の「秒かたの公戦」が起きている。実態は「起動速度対決」だが起きている。Epic Gamesは10月14日、公式XでAIによる開発手法「バイブコーディング」で刷新した新ランチャーについて「Steamより起動が46%早い」と宣伝した。ところが調べてみると、Steamを運営するValveはその約14時間前に、通常のアップデートで「クライアント起動の性能改善」を実施していた。つまりEpicが比較したのは、既に速くなった後のSteamではなく、更新前のSteamだった可能性が濃厚なのだ。
時系列を日本時間で並べると構図がはっきりする。Steamのアップデート「October 1」は日本時間10月14日午前8時38分に配信され、ワールド標準時では13日深夜にあたる。一方、EpicのX投稿は同日午後10時57分。Steamが先を切ったのは約14時間前だ。海外メディアには「Valveが24時間以内に反撃した」と書かれたが、投稿時刻を並べれば順序は逆で、日本のゲームメディアは正しい順番で記述していた。見た目の華やかな挑発投稿は約1115万回閲覧され話題を独占したが、地味なSteamの更新ノートはわずか1行の「起動性能改善」だった、という対比が注目を呼んでいる。
Epicの数字そのものは、それなりに誠実に作られている。測定を委託した情報コンサルタント企業Keywords Studiosが、Windowsの13構成で各5回ずつ測定した結果によれば、コールドスタート(電源投入後の初回起動)でストア画面が出るまで新ランチャーは5.47秒、Steamは10.07秒で、所要時間は約46%短く、速度では約1.8倍に相当する。公式ページも1.8倍の表記を採用しており、46%(短くなった割合)と1.8倍(何倍速いか)は同じ現実の別の言い方だ。加えてトレイからの復帰では0.36秒対0.42秒と差はわずか0.06秒、14%の改善にすぎないことから、見出しには都合の良い大きな数字が採用されやすいというメディア側の読み解きが本質的ポイントだ。

「Steamが5.23秒」という報道の拾い方
一方、「Steamが5.23秒で巻き返した」という見出しの出所は、もっと雑だ。発端はXの個人ユーザーがEpicの投稿を引用して添付した約10秒の動画で、投稿本文には何の数値もなかった。動画内でEpicのCEOティム・スウィーニー氏が口頭で触れた数字を報道が拾ったものとみられるが、どんなPCで、何を起動完了と定義し、何回測ったのかは一切明かされていない。そして重要なのは、5.23秒と引き合いに出された10.07秒が、その動画の数字ではなく、Keywords StudiosがSteamのために測った値であることだ。つまり「測定条件の異なる2つの数字」を前後比較の形で並べた以外の何物でもない。同じPC上での同条件計測がどちらの陣営からもまだ出ておらず、「勝ち負けを決める材料が揃っていない」のが現状だ。
背景には、Epic自身の「反省」がある。今年2月、ストア責任者のスティーブ・アリソン氏が当社ランチャーを「ひどい」と自認したとの報道があった(Gamespark)。起動や操作のたびにサーバーへ問い合わせ、そのたびに待たされる仕組みを「注文のたびに店員が厨房へ電話して在庫を確かめる店」と例えた言葉だ。その改造が8カ月を経て「バイブコーディング」の形で結実し、5月の開発者イベントでも旧ランチャー比で5〜6.5倍速いという発表があった。ただし当時の比較相手はSteamではなく自社の旧ランチャーで、測定機材は32コアCPUと高帯域メモリを積むワークステーション級という、一般環境とは離れた条件だった。
開発手法についても議論が分かれる。Epicは投稿で「プログラミングは難しい。だから新しいランチャーをバイブコーディングした」と自述しており、AIへの開発委譲自体が宣伝文句の一部だ。使用したAIツールの名前は伏せられている。同じ頃、同社の大規模な開発方針転換が報じられており、10月12日にスウィーニー氏本人が「AIで最大限早く作れるよう人員を配置し直している」と書き込んだ。ただし雇用減少が目的ではないとも強調しており、未発表新作でAIの全面活用が進んでいるという報道と、新ランチャーが別次元の話なのかどうかの整理もまだ済んでいない。片やSteam側がAIを使ったかは一切公表されておらず、開発手法と速度の優劣は本来別問題だ。
使う側としては何をすればいいか
日常的な影響としては、Steamユーザーは特に何もしなくてよい。通常の起動のたびにクライアントは自動更新されるため、既に改善済みのバージョンで動いている可能性が高い。一方、Epicの新ランチャーは現状プレビュー段階で、公式によればインストールすると旧ランチャーは自動的にアンインストールされる。購入済みゲームとクラウドセーブは引き継がれるとしているが、一部のソーシャル機能とアカウント管理が未実装で、正式版の時期や日本語対応の有無も明示されていない。対応環境はWindows 10/11の64bit版、Appleシリコン搭載のmacOS 12以降。弊害を承知の上で試すかどうかは自己判断となる。なおEpicは2025年12月の月間利用者が7800万人と過去最高だったことを公表しており、両ストアが起動速度で動いた事実そのものが、ユーザーにとっての最大の「勝利」と評する声も少なくない。
ネットの反応
本物の数字ならEpicの勝ちでいいんじゃないのか?
例えるなら別の体重区分で別の日に測った2人の体重を並べても、どちらが軽いかは分からない
46%と14%は別々の場面の数字だが、見出しになるのは大きい方だけ
30倍早いって数字、何と比べたかが書いてないからな
差0.06秒?それ俺には絶対に分からないわ
ライバルのタイムが練習で伸びた後で比較してないか見ないと、結論が出ない話だな
開き直りのある告知で草。プログラミングは難しい、だからバイブコーディングしたって自分で書いてる
SteamはAIで作ったとか何も言ってないんだから、AIコードの良し悪しの話はまだできんよ
Epicがわざと古い方を比較対象に選んだという話じゃなくて、日付がなければ言い切れないだけの話
どっちが速いかより、両方速くなる方向に動いたことのほうがいい
どんな環境で検証したんだろ、100万円クラスのハイエンドPC+クリーンOS+何も購入してないアカウントでログイン、とか?
たとえEpicランチャーのほうが早かったとしても俺はSteamを選ぶわ。別の意味で溜息しか出ない
AIの所感
この一件で覚えておきたいのは、数字そのものより「何と比べたか、いつの時点で、どのPCで測ったか」の3点を確認する習慣だ。46%も5.23秒も、条件が書かれないままだと別の水面で測った2隻のボートのタイムを並べているだけの可能性がある。Epicの委託測定は3者測定・条件明示と、誠実な部類だが、測定日が非公開な点だけは詰められる余地が残る。一方で、企業が起動速度という目に見える体験で争うこと自体は、ユーザー利益に直結する健全な競争でもある。開発手法の「AI製かどうか」で品質を論じるのはまだ早く、実際には自分のPCで同じ条件で複数回測る以外に、確かな着地はない。