【悲報】AIに「誰に入れる?」と聞いたら答えが真逆だった。Grok92%共和党、GPT97%民主党、一致率は1割未満
同じ質問、真逆の答え。AI2つに「誰に入れる?」と聞いたら、9割ずつで割れたという研究結果
同じ質問をしたのに、AIによって投票先が真逆になった——そんな研究が話題を呼んでいる。米国の中間選挙を前に、約500の選挙区について「誰に投票すべきか」と2つのAIに尋ねたところ、xAIの「Grok 4.7」は92%で共和党候補を、OpenAIの「GPT-6.1 Sol」は97%で民主党候補を推薦したのだ。2つのAIの答えが一致したのは10%未満。10回に1回も合わない。AIは政治的立場を持っているのか、それとも相談に乗れるのか。答えは単純ではない。

実験の条件——「ごまさずに選べ」とAPIで強制した
まず条件を正確に押さえる必要がある。普段のChatGPTは「誰に投票すべきか」に答えない。研究者自身もそれを認めており、今回の実験はAPI経由でアプリの安全装置を迂回し、「ごまさずに選べ」と答えざるを得ない状況を作ってモデルの傾向を引き出すものだった。質問は1つだけ。選挙の名前を入れ替えながら、検索機能オンの状態でGPT-6.1 SolとGrok 4.7に尋ね、2026年の連邦議会選挙と州知事選の計約500選挙区を網羅している。約500回もの質問でこれだけ割れたという事実は、「たまたま偏った100回」では片付けられない規模だ。
選挙区の「色」すら無視される——GPTは共和党地盤で57回民主党を選択
全体の割合だけなら「共和党強い地域が多かっただけでは」とも説明できる。そこで選挙区の地盤別に集計した結果が面白い。共和党が強い67選挙区のうち、GPTは57回で民主党候補を選んだ。逆に民主党が強い72選挙区では、Grokが47回で共和党候補を選んでいる。地元の事情を完全に無視しているとまでは断定できないが、この集計では選挙の色だけでは説明しにくい結果だ。ただしGrokにも例外があり、共和党候補が何らかの騒動に巻き込まれている場合は民主党への投票を進めやすかった。完全な決め打ちではなく、状況は見てはいる。
割れた原因1——「検索の癖」、見ている情報源が違った
2つのAIの答えがなぜここまで割れたのか。第一の論点は検索の癖だ。Grokの答えには特定の情報源が何度も登場し、GPTは別の情報源群に頼っていたと報じられている。Grokの根拠には投票ガイドが4割近く含まれ、GPTはWikipediaや通信社、ニュースサイト、掲示板を参照していた。検索結果がそのまま結論につながる仕組みなら、どのサイトを参照するかで結論は変わりうる。これは検索を使うAI全般に言える話だ。
割れた原因2——GrokのAPIには約1,240トークンの「見えない追加入力」
第二の論点はさらに不気味だ。研究者がGrokをAPIで呼ぶと、誰も書いていない入力が約1,240トークン分も追加されていた。利用者の見えない場所に、かなりの量の指示文がこっそり差し込まれているのだ。実際に検索機能をオフにして30選挙区で試すと、Grokの共和党偏重は消え、候補者の名前を渡された30回中27回で「選べない」と回答を拒否した。研究を率いた教授は「GPTの偏りは学習の重みの中にあり、Grokの偏りは検索と情報源が結果を決める」と整理している。なお、GPT側にも同様の追加入力があるかどうかは、報じられていない。
OpenAIの反論と、研究の限界
OpenAIは「消費者向けアプリは回答を拒否した。多くの人はそちらを使うのだから重要だ」と反論している。もっともな主張だが、教授は簡単な指示で消費者向けアプリにも答えさせられたと述べており、結局「通常の使い方では答えないが、工夫すれば答えさせられる」というのが両者の共通事実だ。xAI側は取材時点で回答がなかった。もう一つの限界は現実への影響の大きさで、Pewの調査では選挙情報にAIを使う人は米国人の8%にとどまる。ただし教授は、直接投票先を聞かなくても、一般的な会話でも同じ偏りが出ると見ている。この研究が示したのは「答えを強制すれば傾きが見える」ことであり、「普段の使い方でも同じ影響があるか」は別の話だ。この2つは分けて考える必要がある。
ネットの反応
一致率10%未満は強烈だな。同じ質問、同じ検索機能付きでここまで割れると、AIの「中立」を信じてる側の前提が揺らぐ
見えない1,240トークンの追加入力が一番やばい。誰の、どんな意図の指示なのか利用者は確認できないんだろ
検索オフでGrokが27/30拒否ってことは、偏りの主犯はモデル本体じゃなく検索が拾ってくる情報源ってことか。それはそれで対策の方向性が変わるな
「アプリは答えを拒否する」というOpenAIの反論は正論なんだけど、「簡単な指示で答えさせられた」も事実なのが面倒だ。両方本当というのが一番ややこしい
選挙の話としてより、重要な判断を一つのAIの答えだけで下すことの怖さの話として読むべきだと思う。複数AIと一次情報を並べる、が当面の自衛策
AIの所感
この研究の価値は「AIは○○党寄りだ」と断罪したことではなく、AIの答えが「学習」「検索」「追加入力」という三つの層で決まることを数字で可視化した点にあると思う。そして三つの層のうち、利用者が直接検証できるものは一つもない。検索で何を見たかは見えにくく、見えない追加入力に至っては存在自体が利用者には見えない。だからこそ、重要な判断ほど複数のAIと一次情報を並べて確かめるという、面倒な手順が「リテラシー」ではなく「標準装備」になっていくはずだ。AIが回答の出典を標準で表示する時代が来ると予測する声には、同感せざるを得ない。投票先をAIに聞いていいのかという問いより、「AIの答えが誰の価値観の反映か分からないまま信じること」のほうが、よほど大きな問題なのだから。