【朗報】M6のMacBook Pro、安すぎる値札でiMacに完勝。iMac側は256GBの罠を仕掛けたまま
新型Macを2台並べて分かったこと。安いほうが賢くて、見慣れたほうが罠だった
Appleが発表したM6搭載の新型MacBook ProとM6 iMac。スペックシート上は兄弟のような2台だが、実態は「今すぐ買うべき一台」と「価格に見合わない性能の不一致を抱えた一台」にきっぱり分かれた。詳細なベンチマークと構成表を突き合わせると、値札の裏に隠れた設計思想の差が浮き彫りになる。予約を前に、後悔しないアップグレードと、避けるべき落とし穴を順に整理する。

M6チップの実力:ベースモデルでM4 Proに肉薄
両機共通の心臓部となるM6は、CPU・GPUともに12コア構成で、前世代からそれぞれ2コア増えた。2ナノメートル世代のチップらしく、シングルコア性能は事実上「史上最速のMac」の水準に到達し、マルチコアもベースチップながらスコア21,000点超えを記録。M4やM5といった数世代のチップを完全に凌駕し、上位モデルのM4 Proと比べても遜色ないというから、ベースチップの評価としては異例だ。
実運用の指標でも差は明白だ。Webブラウジング性能のベンチマークでは1分間に77回以上の実行を記録し、Figmaでのデザイン作業ではテスト済みマシン中ほぼ最速。ゲーム系ベンチマークでもM4・M5比でFPSが大幅に向上した。最も驚かされたのは3Dレンダリングで、Blenderの書き出しはM4 Pro搭載マシンより速く、上位のM3 Maxとの差はわずか10秒。グラフィックス性能の向上と、更新されたハードウェアレイトレーシングの合わせ技だ。そして特筆すべきが新しいビデオエンコーダー。H.264形式の書き出し時間はM1からの世代交代で最大の短縮幅を記録した。動画編集者にとって、この価格帯で夢のようなチップと言える。
通信まわりもApple独自のN1チップによりWi-Fi 7とBluetooth 6に対応し、32コアの新デュアルNeural Engineも搭載された。ローカルでAIを動かす人にとって見逃せない進化である。
MacBook Pro側にある、たったひとつの但し書き
とはいえ、MacBook Proにも注意点はある。ベースの16GB RAMモデルはメモリ帯域幅が前世代M5と同じ153GB/秒に留まり、より高速な170GB/秒を引き出すにはRAMの増量が必要になる。ベース価格では性能がフルに開放されない構成だ。逆に言えば、変更点はそれくらいで、2ナノチップを積んでもバッテリー駆動時間、デザイン、電源アダプタ、ポート類は従来踏襲。進化は中身一点に集中している。
そのうえで、価格帯のモデルに1TB SSDが標準搭載されている点は評価が高い。読み書き約6,000MB/sが見込め、NANDチップがデュアル構成のため、一部テストではさらに高速化の余地もある。RAMは最低でも24GB、将来を見据えて32GBまで増やしても追加400ドルで済み、他のパーツの強制アップグレードも発生しない。この価格で小規模なローカルLLMを回すことすら現実的で、新しいデュアルNeural Engineを活用するAI対応モデルは今後増えていく見込みだ。ベースのM6チップがようやくプロの作業にも足りる速度になった今、高価なProやMaxへのアップグレードに頼る必要がなくなった——そう言える世代である。
iMac側で進行中の「性能の不一致」
問題はもう一方だ。iMacは2021年からデザインが全く変わっておらず、カラーバリエーションの追加もない。おそらく史上初のことで、比較ツールで並べても新旧は瓜二つ。M6チップ以外に新しさを見出しにくい。
さらに構成の罠が重なっている。最上位価格帯のベースモデルはCPU・GPUが10コアに削減されており、フル性能と背面ポート4つをすべて手にするには一段高い構成が必要になる。それでもSSDは256GB。ここで効いてくるのが、同じM6を搭載したMac miniで判明した重大な問題だ。256GBモデルはNAND SSDチップが1個しか実装されず、512GBモデルと比べてSSD速度が半分になる。Apple自身が「SSDが最大2倍高速」と謳うことは、裏を返せばベースモデルは高速化されていないことの告白にほかならない。RAMが詰まった際のSSDスワップでも低速が響く恐れがある。
容量を避けて通れないのは、最新のmacOSが容量を圧迫する傾向にあることも大きい。512GBへ増量すると価格は1,900ドル前後に跳ね上がる。デザインも色も2021年から変わらない機体にその金額を払う判断は、多くの人が首をかしげる水準だ。加えて、ポート数の少ないベースモデルは内部冷却が不十分で、ヒートパイプがチップに接続されていないことが過去に判明している。負荷がかかれば性能に制限がかかる。仮に冷却強化済みの構成を選んでも、小型ファンでは冷却設計に優れたMac miniに太刀打ちできない、という評価が有力だ。
結論として、パフォーマンス目的ならiMacではなくM6 Mac miniを選び、余った予算でディスプレイを揃える方が速く、制限も少なく、往々にして安上がりになる。iMacが向くのは、ブラウジングや事務作業が快適なシングルコア性能があれば十分で、重い処理をしない家族用PCを置きたい家庭くらいなもの。LLMやAIの作業用には、正直向いていない。
予約前に知っておくべき、もうひとつの発表
なお、有機ELを搭載した完全新設計のMacBook Proの発表が間近に迫っているとの情報もある。ただし価格はベースでも3,000ドル前後と高額になる見込みで、今回のM6 MacBook Proとは住み分けられそうだ。買い替えを急がないなら、1〜2ヶ月後に期待できる量販店の割引を待つ手もある。値札とにらめっこする時間は、まだ少し残されている。
ネットの反応
ベース価格が2,000ドル近いのに、Appleは何も犠牲にしていないとは言い切れないだろう
「無料で付属」とか言うの、本来あるべき価格の3倍で売っている商品に対して言うのはやめたほうがいい
M1からまだ乗り換えていない。M10かM11が出るまで多分動かない
M6がM4より速いって、誰が予想してたんだ?
AIの所感
今回の2台は「同じチップを積んでも、筐体の設計思想が値札の価値を決める」好例だと思う。MacBook Pro側は1TB SSDの標準搭載や選択制のRAM増量など、値札の分だけ素直に性能が出る構成に寄せている。一方iMac側は、コア数削減・単発NAND・冷却の制約が積み重なり、ベース価格のままではチップの実力を引き出しきれない。Appleの比較表が美しく見えるのは確かだが、構成の段差を読む側にもう一段の注意力を要求する世代だ。性能で選ぶならmini、手軽さで選ぶならiMac、将来性で選ぶならPro——役割で割り切れるだけ、かえって正直な発表だったのかもしれない。