【悲報】売れた台数3割減、なのに値札は4割増。買えなくなった国内PC市場
「売れた台数は3割減、なのに値札は4割増」国内PC市場の静かな逆転現象
パソコンが売れなくなった。しかし1台あたりの価格は上がった。2026年度の上半期(4〜9月)における国内PC出荷は379万8000台で、前年同時期の571万6000台から33.5%の減少となった。半年で約192万台が消えた計算で、4月から6ヶ月連続して出荷台数・出荷金額ともに前年を下回り続けている。ノートPCだけでなくデスクトップも落ち込んだ。そして出荷金額を台数で割った平均単価は上半期で約14万5120円。前年から40.3%の上昇である。売れる台数は減るのに、1台あたりの金額は上がる。買い手にとって、これほど割の悪いニュースはそうない。

去年の山が高すぎた、というもう一つの事実
落ち込みの背景にあるのは、前年に集中した特殊需要の反動だ。Windows 10のサポート終了を見据えた買い替えと、学校向け端末の更新ラッシュが2025年上期に重なった。そのため「台数が減った」こと自体は、ある程度織り込み済みの要素でもある。実際、2年前の2024年度上半期は348万7000台であり、今回の379万8000台はむしろ約9%多い水準だ。完全に需要が消えたわけではない。去年の山が高すぎた結果、平常時に戻っただけなのに崖から落ちたように見える、というのが実態に近い。
ただし安心材料にはなり切らない。去年の売れ方に合わせて仕込み、人員を、販促計画を組み立てた側からすれば、3割減という数字は会議室が静まり返る水準だ。そして何より、台数の回復とは別に「価格」の問題が別の顔を出している。
平均単価1.6倍のからくり、そして残った本物の値上がり
7〜9月だけで見ると、平均単価は前年の約10万800円から約16万2000円へ、上昇率58.9%、約1.6倍に跳ね上がっている。ただしこの数字には注意が必要だ。平均とは構成に強く左右される指標だからである。例えば5万円の端末と15万円の端末が1台ずつ売れれば平均は10万円だが、安い端末の出货が消えれば、高い端末の価格がそのまま平均になる。安い選択肢が棚から減った結果、平均が吊り上がっている面は確かにはっきりしている。
だからといって「実際には値上がりしていない」とは言い切れない。学校向けの大型案件を含まない量販店やネット通販の販売データでも、平均単価は上昇しているからだ。2025年9月の13万6200円から2026年9月は15万3400円へ、上昇率12.6%。ノートPCは14.3%、デスクトップは7.2%の上げとなる。出荷統計の約6割上昇とは幅が違うとはいえ、構成効果を取り除いても値上がりの方向は共通して残る。安かった入口が、実際に狭くなっている。
ノートが9割の市場で、財布の防衛戦は始まっている
今回の出荷ではノートPCが全体の88.9%を占めた。デスクトップと違い、ノートは画面もキーボードもセットで買い替えるしかなく、予算を削る余地が構造的に少ない。メモリを落とせば安くなると言われても、毎日起動する道具で数年分の我慢を買うのは割に合わない。かといって余裕を持たせれば会計が重くなる。どっちも重い、というのが購入検討者の正直な感覚だろう。
世界に目を向ければ、メモリとSSDの価格高騰がPC全体の原価を押し上げている。グラフィックカードは我慢できても、メモリとストレージは構成から削れない。自作PC勢の間では「4年前と同じ感覚でパーツを選んだら倍の金額になっていた」という声も聞かれる。年末年始には新規格のチップセット投入も控えており、駆け込みと値上げの期待が交差するまま2026年が終わりつつある。次の焦点は、この高値圏が次の買い替え需要そのものを先送りし始めるかどうかだ。高いから今のを続ける。使えるからまだ買わない。この状態が定着すれば、出荷の底打ちはいっそう遠のく。
ネットの反応
買い替えを先に延ばそう→データが飛ぶのが心配だからストレージ買い足そう→ストレージも高い
昨年は企業向けはWindows10のサポート終了特需、個人向けは値上げ前の駆け込み需要があったから、問題は2026年下期と2027年以降。周辺機器メーカーも含めて撤退する会社が増えると思う
来年以降も更に上がるから新調したけど、4年前と同じ感覚でパーツ選んでたら倍の金額になってて、購入ボタンを押すまで数日悩んだわ
そろそろPC買い換えるかーと思ってミドルレンジくらい見てたら30万近かったからやめた。値段下がんなかったら普通のPC買ってゲームはやめるかな
グラボが高いのはどうにでもなるけどメモリとSSDはどうしても削れないからな
同じスペックでも高くなるんだから、故障でもしなければ買い替えようってなるわけもなし
昔は次のPCで何をするか考えてたのに、今は今のPCを何年使うか考えてる
AIの所感
今回の数字は「需要の消滅」ではなく「需要の凍結」に近いとみられる。2年前より多い出荷実績が示す通り、PCが必要なくなる現象は起きていない。起きているのは、メモリ・ストレージ高騰を背景とした価格上昇が、買い替えの意思決定を先送りさせる構図だ。しかも買い替えの先送りは故障リスクの先送りでもあり、いずれまとめて需要が戻った瞬間に価格と供給の歪みが再燃しかねない。メーカーと小売にとって本当の試練は、台数が減ったことそのものより、高価格が常態化した市場で「今買う理由」をどう作り出すかだろう。値下がり待ちは、待てる人にしかできない戦略だからだ。