Intel Core Ultra 5 245HXがモバイルCPUの新時代を切り開く：デスクトップ版をも凌駕する性能
Intel Core Ultra 5 245HXがモバイルCPUの新時代を切り開く：デスクトップ版をも凌駕する性能
2025年1月に発表されたIntelの次世代モバイルプロセッサー、Core Ultra 5 245HXが、その驚異的な性能でPC業界に大きな衝撃を与えています。最新のPassMarkベンチマーク結果では、シングルスレッドテストで4530ポイント、マルチスレッドテストで40,059ポイントを記録。これは前世代のCore i5-14500HXと比較して、シングルスレッド性能で26%、マルチスレッド性能で38%という大幅な向上を示しています。特に注目すべきは、14500HXが6スレッド多いにも関わらず、245HXがこれだけの性能差を実現した点です。
デスクトップ向けのアローレイクSプロセッサーが期待ほどの性能向上を見せなかった中、モバイル向けのアローレイクHXシリーズは異なる可能性を示唆しています。Core Ultra 5 245HXは、TSMCの3nmプロセスで製造される最新のアローレイクHXアーキテクチャを採用。6つの高性能Pコアと8つの効率重視のEコアから構成される14コア14スレッド構成で、Pコアの最大周波数は5.1GHz、Eコアは4.5GHzまで動作します。L2キャッシュ24MB、L3キャッシュ24MBという潤沢なキャッシュ容量も、特にマルチスレッド性能の向上に大きく貢献しています。
TDPは55Wに設定されていますが、最大ターボパワーは160Wまで対応可能で、十分な電力供給により高い性能を発揮できる設計です。メモリコントローラーは最新のDDR5-6400に対応し、デュアルチャネル構成で最大192GBまでのメモリをサポート。さらにPCI Express Gen5接続により、最新のストレージやグラフィックスカードとの高速通信が可能となっています。統合グラフィックスはIntel Arc Graphicsと呼ばれるGPUで、4つのXeコアのうち3つを使用し、300MHzから1900MHzで動作します。
PassMarkベンチマークの詳細分析では、245HXの38%というマルチスレッド性能向上は、単純な周波数向上だけでは説明できない大幅な改善であり、アーキテクチャレベルでの最適化が功を奏していることを示しています。シングルスレッド性能の26%向上も注目に値し、ゲーミングや日常的なアプリケーションの多くが依然としてシングルスレッド性能に依存しているため、この向上はユーザー体験の向上に直結します。
驚くべきことに、Core Ultra 5 245HXはデスクトップ向けのCore Ultra 5 245と比較しても優れた性能を示しています。245HXはシングルスレッドで4530ポイント、マルチスレッドで40,059ポイントを記録したのに対し、デスクトップ版の245はそれぞれ4409ポイント、37,930ポイントにとどまっています。この逆転現象は、モバイル向けプロセッサーの設計思想の変化を示しており、ゲーミングノートPCがデスクトップPCに匹敵する性能を持つ時代が到来したことを意味しています。
さらに、Core Ultra 5 245HXにはAI Boostと呼ばれる専用のニューラル処理ユニット（NPU）が搭載されており、13 TOPSの性能を持ち、CPU全体では最大27 TOPSのAI処理能力を実現しています。現代のコンピューティングにおいてAI処理能力は必須の機能となりつつあり、画像・音声処理、リアルタイム翻訳、コンテンツ生成など多くのアプリケーションがAI機能を活用しています。NPUの存在は、ゲーミング分野におけるAIを活用したアップスケーリング技術やフレーム生成技術の普及と相まって、ゲーム体験の向上に直結する可能性があります。
Core Ultra 5 245HXの登場は、モバイルCPU市場に大きな転換点をもたらす可能性を秘めています。38%というマルチスレッド性能の向上は単なる世代交代を超えた革新的な進化であり、特にデスクトップ版を上回る性能を実現した点は、モバイルプラットフォームの設計思想が根本的に変化したことを示しています。Intelがモバイル市場での競争力を大幅に強化したことを意味し、今後ゲーミングノートPC市場ではこの新しいプロセッサーを搭載した製品が続々と登場することが予想されます。消費者にとっては、デスクトップPCに匹敵する性能を持ちながら携帯性も兼ね備えたシステムが手に入る時代が到来したと言えるでしょう。