
【悲報】DDR4メモリ、AI需要で価格爆上げ!DDR5より高くなる異常事態に
【悲報】DDR4メモリ、AI需要で価格爆上げ!DDR5より高くなる異常事態に
半導体メモリ市場に激震が走っています。通常、新しい技術が登場すれば旧世代の製品価格は下がるのが常識でした。しかし2025年、その鉄則が完全に覆されました。DDR4と呼ばれる旧世代メモリの価格が、最新のDDR5を大きく上回る異常事態が発生したのです。
DDR4価格逆転現象の衝撃
2025年8月のデータによると、DDR4の16GBチップは9.17ドルで取引され、DDR5の5.99ドルを約50%も上回っています。この価格逆転現象は単なる一時的な需給バランスの崩れではありません。背景には、AI革命がもたらす半導体市場の構造的な大転換が存在します。
生産終了宣言とAIへのシフト
2025年初頭、半導体業界に衝撃が走りました。Samsung、SK Hynix、Micron Technologyという世界3大メモリメーカーが相次いでDDR4の生産終了を発表したのです。Micronは6から9ヶ月以内の生産終了を明言し、Samsungはすでに最終発注の通知を開始しています。これらの企業が世界のDRAM市場の約95%を占めているため、その影響は計り知れません。
特に注目すべきは、この決定が技術の自然な世代交代ではなく、より収益性の高い製品への戦略的な転換だったことです。各社は生産ラインをAIサーバー向けのHBM(高帯域幅メモリ)やDDR5へと急速にシフトさせています。HBMはDDR5と比較して3から5倍の価格で取引され、出荷数量では全体の5%に過ぎないが、売上高では20%を占めるという驚異的な収益性を誇ります。
価格高騰の実態と中国勢の戦略転換
数字が物語る市場の混乱ぶりは凄まじいものです。2025年3月に1.63ドルだったDDR4の8GBチップは、6月中旬には3.775ドルまで上昇し、わずか3ヶ月で132%の値上がりを記録しました。特に6月11日には単日で8%上昇という、2015年以来最大の急騰を見せました。8月時点では16GBチップが9.17ドルで取引されています。さらに市場調査会社トレンドフォースの予測によると、2025年第3四半期のDDR4価格はPC向けで38から43%、サーバー向けで28から33%の上昇が見込まれています。
この混乱に拍車をかけたのが、中国最大のメモリメーカーCXMT(長存損テクノロジー)の動きでした。当初CXMTは大手3社の半額という破格の価格でDDR4を供給し、市場のプライスリーダーとなっていました。しかし2025年3月、突如としてDDR4からDDR5への生産転換を発表。2026年中旬までにDDR4生産を完全に終了させる方針を明らかにしたのです。この決定により、DDR4の供給不足は決定的となりました。
台湾メーカーの逆張り成功とAI時代の副作用
この市場の大混乱の中で、意外な勝者が現れました。台湾の南亜テクノロジー(Nanya Technology)です。大手が撤退する中、同社は逆張りの戦略でDDR4の生産を維持・強化していました。2025年第1四半期の売上高は過去最高の375億9000万台湾ドル(約1700億円)に達しました。かつて赤字在庫と見なされていたDDR4の在庫が、今や黄金に変わったのです。
AIブームがもたらす影響は想像以上に広範囲に及んでいます。NVIDIAのH100やAMDのInstinctといったAIアクセラレーターに使用されるHBMの需要は爆発的に増加しています。SK Hynixの場合、2025年第1四半期の生産能力の70%をHBM製造に割り当てているという驚くべき数字が報告されています。これは従来のメモリ市場から見れば極端な資源の偏重です。HBMの製造には通常のDRAMと比較して35から45%大きなシリコンが必要となるため、同じ生産ラインから得られる製品数は大幅に減少します。しかし、その高い収益性がメーカーを引きつけてやまないのです。
消費者への影響と今後の展望
日本の消費者にとって、この状況は決して対岸の火事ではありません。特に影響が大きいのはDDR4世代のパソコンを使用している個人や企業です。2025年7月の調査では、日本市場でDDR4の32GB製品が3万円台後半で取引されており、年初と比較して約60%の上昇となっています。修理やアップグレードを検討していたユーザーは、予想外の出費を強いられることになりました。在庫回転日数は45日から9日へと急減しており、市場の逼迫が如実に現れています。
興味深いことに、さらに古い規格のDDR3も7月に20%、8月に13%上昇しており、レガシー製品全体に価格圧力がかかっています。一部の企業ではDDR5への移行を前倒しで検討する動きも出ていますが、システム全体の再設計が必要となるため、簡単な解決策とは言えません。
AIの所感
DDR4メモリの価格高騰は、AI革命が半導体市場にもたらす予期せぬ副作用と言えるでしょう。高性能AIチップの需要が爆発的に増加する一方で、旧世代のメモリが供給不足に陥り、価格が逆転するという現象は、市場のダイナミズムと同時に、サプライチェーンの脆弱性をも浮き彫りにしています。特に、既存のDDR4システムを使用しているユーザーや企業にとっては、予期せぬコスト増という形で直接的な影響が出ています。AIの進化は私たちの生活を豊かにする可能性を秘めていますが、その裏で生じるこうした「ひずみ」にも目を向け、持続可能な技術発展のあり方を模索していく必要があるでしょう。今回のDDR4価格高騰は、その警鐘とも言えるかもしれません。