AMD、Zen 6・Zen 7発表。2nm時代と帯域2倍・新行列エンジンの破壊力

AMD、Zen 6・Zen 7発表。2nm時代と帯域2倍・新行列エンジンの破壊力

2025年11月11日、AMDはニューヨークで開催したフィナンシャルアナリストデーで次期CPUコアの計画を明らかにし、Zen 6とZen 7の存在を公式に示しました。発表ではZen 6が2026年に登場し、最先端の2nm世代プロセスを採用する方針が語られました。サーバー向けの第6世代EPYCである「Venice」は最大256コア構成に対応し、現行世代のEPYCと比べて計算性能が最大70%向上すると説明されています。さらに1ソケットあたりのメモリ帯域は1.6TBへと大幅に拡大し、CPUからGPUへの帯域も倍増するとのこと。AMDは同じく2026年にラックスケールのAIサーバー群である「Helios」を市場投入する計画を示しており、その計画に合わせてVeniceの投入時期が重なります。この発表は、半導体業界におけるAMDの存在感をさらに高めるものとして、大きな注目を集めています。

AMD、Zen 6・Zen 7発表!2nm時代と帯域2倍・新行列エンジンの破壊力でIntelを圧倒か

AMDがフィナンシャルアナリストデーでZen 6とZen 7の存在を公式に示しました。発表ではZen 6が2026年に登場し、最先端の2nm世代プロセスを採用する方針が語られました。サーバー向けの第6世代EPYCである「Venice」は最大256コア構成に対応し、現行世代のEPYCと比べて計算性能が最大70%向上すると説明されています。さらに、1ソケットあたりのメモリ帯域は1.6TBへと大幅に拡大し、CPUからGPUへの帯域も倍増するとのこと。この破壊力は、Intelを圧倒する可能性を秘めています。

2nmプロセスで製造された未来的なAMD Zen 6 CPUチップが青く光り、そこからGPUやAI NICsへデータが高速に流れているイラスト

AIサーバー「Helios」とZen 6の連携:TSMC 2nmプロセスで性能・効率1.7倍

AMDは同じく2026年にラックスケールのAIサーバー群である「Helios」を市場投入する計画を示しており、その計画に合わせてVeniceの投入時期が重なります。技術講演では、Zen 6と電力志向のZen 6cがTSMCの2nm世代に移行すること、スレッド密度が1.3倍に高まり、性能と効率の合算指標が1.7倍に伸びる見通しも示されました。また、インターコネクトでは224GB/s級の次世代PCIeに向けた準備が語られ、CPUとGPU/NICを結ぶトポロジの強化が示唆されました。示されたHeliosはCPU、GPU、AI NICを一体で設計したラック単位の構成を指し、GPUは次世代のInstinct MI400系を想定しています。CPU側は第5世代インフィニティファブリックへ移行し、2.5Dパッケージングや新しいサーを取り入れる構成がスライドで示されました。

Zen 7でAI機能がさらに拡充:新しい行列エンジンとAIデータ形式への対応

Veniceの後継としては2027年にZen 7世代のEPYC「Verano」が視野に入ります。Zen 7はプロセスの世代をさらに進めつつ、演算性能や電力効率に加えてAI機能の拡充が柱となります。プレゼンテーションでは新しい行列エンジンの導入や新しいAIデータ形式への対応が読み取れる構成となっており、Zen 6で増やしたAIパイプラインやデータ型対応をさらに引き上げる方向性が示されました。行列エンジンとは行列の掛け算を配列としてまとめて処理する専用回路の総称で、ディープラーニングで使う畳み込みや全結合層の演算を高速化します。新しいAIデータ形式への対応は、INT8やFP16、さらに低精度の形式を含め、用途に応じて最適な精度で計算できる幅を広げる狙いがあります。

AVX512関連拡張でCPU単体でのAI処理を底上げ:VNNI、IFMA、BMM、NE Convert

Zen 6の命令セットにはAVX512関連の拡張が加わる見通しがコンパイラのパッチから確認できます。具体的には、Intelの畳み込みなどに強いVNNIや、半精度のFP16整数行列を高速化するIFMA、ビット行列の操作を効率化するBMM、データ型変換を軽くするNE Convertなどが並びます。これらの追加は、CPUだけでAI処理を回す場合の実行性能を底上げし、NPUやGPUと役割を分担する際の無駄も減らします。CPUにこうした回路や命令が加わると、GPUに投げる前後処理やGPUを使うほどでもない軽い推論処理をCPU側で素早くさばけるようになります。

次世代ゲーミングGPU「UDNA」の登場:RDNAとCDNAを統合した統一プラットフォーム

グラフィックス分野では2025年3月にRDNA4アーキテクチャを採用したRadeon RX 9000シリーズが発売されました。このシリーズは第2世代AIアクセラレーターを搭載し、INT8スループットが全世代で最大8倍に向上。第3世代レイトレーシングアクセラレーターも搭載され、リアルなライティング、影、反射の表現が大幅に強化されました。特筆すべきはAMDの新しいアップスケーリング技術FSR4の導入であり、機械学習ベースの技術で4Kゲーミングにおいて最大レイトレーシング設定でも高品質なフレームを実現します。しかし、AMDのグラフィックス戦略には重要な転換点があり、2027年以降のゲーミングGPUについて同社はRDNAの名称を使用しませんでした。これは次世代アーキテクチャがRDNAシリーズの終了を意味し、全く新しいアーキテクチャへの移行を示しています。その名は「UDNA」であり、現在分離されているゲーミング向けRDNAとデータセンター向けCDNAのアーキテクチャを統合する新しい設計思想です。このアーキテクチャはゲーミングとAI、そしてHPCワークロードの全てに対応する統一プラットフォームとなるでしょう。

クライアント向けCPUの未来:オリンピックリッジ、メデューサポイント、ゲーターレンジ

クライアント向けについては正式な発売時期の詳細は語られていないものの、デスクトップ向けRyzenの次世代候補として「Olympic Ridge」、モバイル向けでは「Medusa Point」、ハイエンドノート向けの「Gator Range」といったコードネームが資料で登場しています。モバイル分野では、リーク資料が2027年世代のGator Rangeで40TOPS超のNPUを搭載し、Copilot+クラスのAI機能を端末側で実行できる見込みを示しています。NPUはニューラルプロセッシングユニットの略で、画像認識や生成AIの一部の処理を低消費電力でこなす専用ハードウェアを指します。

「明かりの継承」:AMDが描く半導体技術の未来

「工房の扉がカカになり、夜の底から朝が競り上がる。鉄と油の匂いが胸ににみロノで赤い心臓が鼓動を始める。」という詩的な表現で、半導体開発の現場の情熱が語られています。「CPUは火盤のように気配を読み、GPUは壁一面に炎を立て、NPUは肺の下で小さな日種を守る」と、CPU、GPU、NPUの役割分担と協調が表現されています。「技術とはその床を用意する気配の名だ。未来は床の温度を受け継いだ枝の燃え方で決まる」と、技術の継承と未来への展望が語られています。AMDは、AIに向けた投資が加速する中で、CPUの役割を支える力から攻める力へと広げつつあり、Zen 6とZen 7はその転換点を形にする世代となるでしょう。

ネットの反応

AMDが本気出してきたな。Intelはもう終わりか?

Zen 6で2nmとか、技術の進化が早すぎる。ついていけない。

メモリ帯域1.6TBとか、もうスーパーコンピューターの世界だな。

AI向けに特化してるのがよくわかる。これからのPCはAI性能が重要になるんだろうな。

クライアント向けもNPU搭載でCopilot+クラスとか、WindowsもMacもAI PC時代に突入か。

Intelも頑張らないと、完全に置いていかれるぞ。

「明かりの継承」って表現がかっこいい。技術者の情熱を感じる。

AIの所感

AMDが発表したZen 6とZen 7の次世代CPU計画は、最先端の2nmプロセス採用、最大256コア構成、メモリ帯域の劇的な拡大、そして新しい行列エンジンによるAI機能の拡充など、その破壊的な性能向上とAI時代への明確なコミットメントを示しています。特に、サーバー向けAIサーバー群「Helios」とZen 6の連携、AVX512関連拡張によるCPU単体でのAI処理能力の底上げ、そしてクライアント向けCPUにおけるNPU搭載によるCopilot+クラスのAI機能実現は、AMDがAI時代における半導体競争をリードしようとする強い意志を感じさせます。次世代ゲーミングGPU「UDNA」の登場は、ゲーミングとAI、HPCワークロードを統合するAMDの戦略的な転換点を示しており、半導体業界全体の技術革新を加速させ、AI技術のさらなる発展に貢献する可能性を秘めていると締めくくります。AMDが描く未来は、単なるCPUの進化に留まらず、AI時代におけるコンピューティングのあり方そのものを変革する可能性を秘めていると言えるでしょう。

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