【緊急速報】ASUS・MSIまで「パニック買い」!メモリ在庫が急速に枯渇、AIバブルがPC市場を直撃か?
【緊急速報】ASUS・MSIまで「パニック買い」!メモリ在庫が急速に枯渇、AIバブルがPC市場を直撃か?
世界のメモリ市場が静かに、しかし急激に表情を変えています。台湾のDigiTimesや技術系メディア各社は、DRAMやNANDを巡る「パニック買い」が始まったと報じており、もはや一部の投機筋だけの話ではなくなりました。特に象徴的なのが、ASUSやMSIといった大手マザーボードベンダーで、本来はPCパーツを売る側である彼らが、逆にスポット市場でメモリを買い集めるという異例の構図が生まれている点です。
背景にあるのは、AIデータセンターの爆発的な増設ラッシュです。ChatGPT以降の生成AIブームで、世界中のクラウド事業者やハイパースケーラーが高帯域メモリ(HBM)とサーバー向けRDIMMを大量に積んだGPUサーバーを一斉に導入し始めました。HBMの製造にウェハや設備が優先的に割り当てられた結果、従来のPCやスマートフォン向けの汎用DRAMの供給が細り始めています。

実際、メモリメーカーの生産配分はここ数年で大きくシフトしました。Samsung電子やSK hynix、Micronといった大手DRAMメーカーは、より収益性の高いHBMや最新世代のDDR5サーバーメモリに生産能力を振り向け、旧世代のDDR4やモバイル向けLPDDR4Xの生産を段階的に絞り込んでいると伝えられます。中国勢のCXMTもDDR5や先端品へ軸足を移しつつあります。こうした流れが、依然として大量のDDR4を必要とする既存サーバーや産業用機器の需要と正面からぶつかり、歪みを増幅させています。
価格の動きはその歪みを端的に物語ります。2025年9月時点で汎用DRAMのスポット価格は前年同月比でほぼ3倍に跳ね上がりました。2023年初頭には31週間分あったDRAM在庫は、2025年の同じ時期には8週間程度まで減少し、倉庫に眠る在庫に頼る余地はほとんどなくなっています。2025年第3四半期のDRAM契約価格が前年比でおよそ170%前後上昇したとも報じられ、金価格の上昇率を上回るペースでメモリの方が儲かる資産になりつつあると指摘されています。
サーバー市場の逼迫ぶりはさらに極端です。米中の巨大クラウド事業者は、サーバー向けDDR5 RDIMMを発注しても実際に納品されるのは発注量の約7割にとどまり、第4四半期の契約価格は当初想定されていた30%程度の値上げ幅を超え、最大50%の上昇を受け入れざるを得なかったとされます。かつて1枚7から8ドルだった16GBのDDR5モジュールが、わずか1ヶ月あまりで13ドル前後にまで跳ね上がったという報道もあり、契約単価とスポット価格の両方が急角度で上昇しています。
ストレージ側でも同じ構図が進行しています。ハードディスクが2年待ちと言われるほど納期が伸びているため、データセンター事業者は近年、比較的安価なQLC NANDを使った大容量SSDへと急速にシフトしています。このQLCに需要が殺到した結果、一部メーカーのQLCラインは2026年までフルブッキング状態にあり、企業向けディスクの納期は2年先という報道も出ています。NANDの不足はSSD価格に直結し、1テラバイトクラスのSSDに使われるNANDの原価が4ドル台から10ドル台へ跳ね上がったとされ、コンシューマー向け製品の価格にもじわじわと転嫁され始めています。フラッシュメーカー各者が最大50%規模の値上げに踏み切り、Phison自身もサーバー向けSSDを優先供給すると表明したことで、コンシューマー市場のSSDは余った分を回してもらう立場に追いやられつつあります。
こうした供給側の変化に拍車をかけているのが、買い手側の心理です。半導体ディストリビューターの幹部は、ここ1から2ヶ月で需要が急増し、多くの顧客が2030年まで発注して在庫を積み増していると語っており、まさにトイレットペーパー騒動のような買い占めが半導体の現場で起きている構図です。
このパニック買いは単に一部の企業の保守的な在庫積み増しにとどまりません。リトアニア拠点のホスティング事業者BAクラウドがまとめたレポートによれば、2024年春から2025年秋にかけてコンシューマー向けのDDR5-6000とDDR4-3600のキット価格はほぼ2倍に達したとされます。例えば32GBのDDR5-6000キットは2025年半ばには95ドル未満で購入できたが、同年10月にはおよそ184ドルにまで上昇したといいます。同じく32GBクラスのDDR4-3600キットも70ドル前後から160ドル前後へとほぼ倍増し、世代の古いDDR4が新しいDDR5と同じ価格帯に並ぶという前代未聞の逆転現象が起きています。
日本市場でも影響はすでに表面化しています。PCショップ、PCワンズがSNS上で一部メモリ製品の購入制限を告知し、単体販売の制限や1人1個までといった注意書きを掲載したケースが報じられました。オンラインストアでは多くのデスクトップ向けメモリが取り寄せ表示となり、在庫がある製品にも購入数の上限が設定されています。
ハードウェアメーカー側の声も深刻さを物語ります。ASUSは決算説明の場で、手元のメモリ在庫は完成品と生産用を合わせて約2ヶ月分しかなく、2025年内はしのげても2026年以降は価格上昇と供給不足の影響が本格化する可能性に言及したと報じられています。DigiTimes経由の情報では、一部のサプライヤーがDRAMモジュールの見積もり提示そのものを停止し、スポット価格だけを提示する「言い値」に近い取引も出始めているといいます。
では、この異常な相場はいつまで続くのか。BAクラウドのレポートは複数の調査機関やメーカーの予測を整理し、少なくとも2026年前半までは高止まり、もしくはさらに上昇する可能性が高いとまとめています。中には2025年第4四半期から2026年第2四半期にかけてDDR5の契約価格が四半期ごとに30から50%も上昇し、2026年半ばには16GBモジュール1枚あたり30ドル前後に達するという見通しもあります。韓国メディアの分析では、今回のメモリ不足は3から4年続くスーパーサイクルになるとの見方も出ており、2028年頃まで高値圏が続くシナリオも否定できません。
一方で、過去のサイクルと同じく、供給側が一斉に増産に転じた瞬間に価格が急落する可能性もあります。市場調査会社TechInsightsのアナリストは、現在起きている現象を典型的な不足局面と位置づけ、1から2年程度のスパンで再びダウンサイクルが訪れると指摘します。今回もAI投資が一段落するか、新しい工場や製造ラインが本格稼働すれば、いずれバランスが反転する可能性は高いです。ただし、そのタイミングを正確に読むことはプロのアナリストにとっても難題です。
日本の消費者にとって重要なのは、いつ買うべきかという一点に尽きるかもしれません。今すぐPCを新調したい人にとっては、メモリやSSDの価格がすでに2年前の倍近くになっている現実は厳しいです。とはいえ、各種レポートが示すように、少なくとも向こう1年程度で劇的に値下がりする可能性は低く、むしろじわじわと上昇が続くシナリオの方が有力視されています。予算に余裕があるなら必要な容量だけ先に確保しておくという考え方もあるし、逆に今回は最低限にとどめ、次の買い替えサイクルまで様子を見るという選択肢もあるでしょう。また、メモリやストレージはCPUやGPUほど世代ごとの体感差が大きくないという点も抑えておきたい。市場全体がAIバブルに振り回されている時こそ、自分にとって本当に必要な性能と容量を冷静に見極める姿勢が求められます。
今回のメモリ危機は単なる一時的な値上がりではなく、半導体業界全体の重心がAI向けに移動していることを可視化するイベントでもあります。AIサーバー向けのHBMやRDIMMはもはや一部の企業だけが使う特殊部品ではなく、世界の資本が集中する主役の座を占めつつあります。その影でPCやスマートフォン向けの標準DRAM、コンシューマーSSD向けのNANDは、優先順位を下げられた脇役として限られた生産枠を奪い合っています。今後もAI投資が続く限り、この主役と脇役の立場は簡単には入れ替わらないだろうが、いつか再びサイクルが反転した時、今日のパニック買いは歴史の一コマとして振り返ることになるでしょう。
ネットの反応
AIによる市場創造ではなく市場破壊。
このあいだ慌てて64GBメモリーを買ったんだけどその時にはすでに30000→37000円になってた。その5日後には同じ製品が5万超えに。Amazonではもっと高騰してて8万くらいまで値上がってる
ウチも初夏に買ったメモリーが2倍になっていた。なんかお米と似たような構図になってきているなあ。
この動画で先月買い忘れてたRAM思い出して助かりました。ドイツでも60〜100%増し価格でヤバいです。1店舗だけちょい高い正常価格で残り1品。つかめました!
とっくの昔に買い替え時期過ぎたマシン使ってるけど、今のWindowsを使うために大金を出すのはためらわれる、Linuxでならまだ使えるから予備のSSDに環境構築だけしてある
AIの所感
AIデータセンター向けHBMやRDIMMの需要急増を背景としたメモリ市場の「パニック買い」は、PCパーツ市場に深刻な影響を与えています。ASUSやMSIといった大手ベンダーまでがスポット市場でメモリを買い集めるという異例の事態は、DRAMやNANDの価格が1年で倍以上になるという異常な高騰を引き起こし、日本のPCショップでも購入制限が設けられるなど、その影響はすでに顕在化しています。
この状況は、AI投資が半導体業界全体の重心をAI向けに移動させていることを明確に示しています。AIサーバー向けのHBMやRDIMMが主役の座を占める一方で、PCやスマートフォン向けの汎用DRAMやコンシューマーSSD向けのNANDは脇役として扱われ、供給が逼迫しています。
コメント欄では、AIによる市場破壊を指摘する声や、自作PCユーザーの悲鳴が多数見られます。過去のメモリバブルの経験から、この高騰がいつまで続くのか、そしていつ価格が落ち着くのか、多くのユーザーが不安を抱いています。
このメモリ危機は、単なる一時的な値上がりではなく、AI技術の発展がもたらす産業構造の変化と、それに伴うサプライチェーンの歪みを象徴する出来事と言えるでしょう。今後のPC市場は、AI需要の動向とメモリメーカーの生産戦略に大きく左右されることになりそうです。