【悲報】メモリ32GBが約6万円に。自作PCの「気軽に足せる部品」が、あなたの予算を壊しに来た
【悲報】メモリ32GBが約6万円に。自作PCの「気軽に足せる部品」が、あなたの予算を壊しに来た
DDR5メモリの価格が、かつてない水準まで跳ね上がっている。自作PCやゲーミングPCの新調・メモリ増設を考えているなら、まずは価格表を見直すべき時期だ。海外メディアの報道によれば、自作PCで長らく定番だったDDR5-6000の32GBキットが、海外通販で400ドル、日本の実店舗でも6万円前後になっているという。日本円にしておよそ6万円。そう、メモリ1個分の値札が、かつてならPCの下半身——ケースにクーラーにSSD——がまとめて変わる額になってしまったのだ。

その400ドル、誰が測った数字か
「ちょっと高いお店を拾ってきただけでしょ」と思うかもしれない。だが、この数字を報じたのはTom's Hardwareだ。同メディアはメモリ価格を継続して追いかけ、毎日の値札をチェックし続けている。比較の対象は、16GBのメモリ2枚組による合計32GBという、自作でいちばん多い買い方だ。同じ容量、同じ構成をずっと見ているからこそ、比べられる数字なのである。
速さの目印はDDR5-6000という「6000」の数字。数字が大きいほど早い。6000前後は値段と性能のバランスがちょうどよく、定番とされてきた。つまり「いちばん普通の人が買う組み合わせ」が、「いちばん普通じゃない値段」になったということだ。記事自身も、数日で少し戻る可能性は認めているものの、流れは一方通行だとも書いている。下がるとしても下がりきらない。
同じ商品で、かつては80ドルだった
比較の相手を出すと話の重さが一段変わる。PC Part Pickerの価格履歴では、過去に同じコルセアの同じキットがネット通販で80ドルまで下がったことがある。今の日本円6万円前後とは別世界だ。これは別の型番との比較ではない。同じモデルの中での話である。単純計算で約5倍。しかも、記事は最大で5倍を超える上がり方をしたものもあるとしている(ただしこれは上限の話であり、全部がそうなったわけではないという条件は外せない)。
ならば「早いのが高いなら、遅いのを買えばいい」——自作の定石で逃げられないか。記事の確認時点で、コルセアのVengeance 4800(32GB)は359ドル、日本でも5万8000円ほど。400ドルの1段下が359ドル。速さを落として節約できるのはわずか40ドル程度、日本円でも数千円の差だ。ゲーム1本分にも満たない金額のために、遅いメモリを何年も使うのは割に合わない。つまり逃げ道として機能していないのである。
上の容量に行くほど傾きはきつい
しかもメモリは後から早いものに変えると、前のが丸ごと余る。2枚が使い道のない在庫として手元に残る。16GBにして後から増やす手もあるが、今の用途から見れば後で必ず後悔する。相性の当たり外れもある。中古を狙えば、新品が上がれば中古も引っ張られる。逃げ道はことごとく塞がれている。
上の容量では傾きはもっと激しい。記事によれば、DDR5の128GBが店によっては3399ドルという値札になっているという(品目や店は細かく書かれていないため、こういう値も出ているという一例として捉えたい)。円にすれば50万円超。それはもうパソコン本体、しかもいいやつの値段だ。総額で見ても、1GBあたりで見ても、今は単価そのものが上がっている。
なぜこうなったか、その正体
原因は半分は「AI」だ。AI向けのデータセンター建設が、メモリやストレージの製造ラインと投資を法人側へ強く引き寄せている。工場が足りないのではなく、生産の枠を法人が長期で抑えている状態だ。私たち個人には順番が回ってこない。売ってくれないのではなく、後回しなのである。
そしてもう半分は、もっと冷たい話だ。マイクロンが個人向けブランドの「Crucial(クルーシャル)」を畳み、企業向けの顧客を優先する道を選んだ。あの棚に普通に並んでいた、安くて頼りになるやつである。初めて自作した人が最初に手に取るような立ち位置だったのに、それがなくなった。意地悪な言い方をすれば、私たちは優先順位のいちばん上ではなくなったということだ。
個人が1回に買うのはメモリ2枚。法人はそれを違う単位で、しかも継続して買う。同じ工場を回すならまとめて買う人に売る。悔しいがそうするだろう。さらに個人向けは箱を作り、店に並べ、問い合わせに答える手間もかかる。手間がかかって売れる数は少ない。だからこれは値上げの話ではなく、売り手が個人から一歩下がったという「構造」の話なのだ。だから待っても戻らない。相手がそもそもこっちを向いていないのである。
買うか待つか、決め方だけは覚えておこう
記事は、この先の数ヶ月はさらに厳しくなると見ている(あくまで記者の見立てであり確定ではない)。ただ、下がると考えられる材料が価格の側に見当たらないとも書いている。悩むなら、まず値段から考えるのをやめて、用途から逆算する。ゲームが中心で今の環境に不満がないなら慌てて買う理由はない。待って構わない。だが動画編集やAIを手元で動かすなら話が変わる。足りないと作業そのものが止まる。止まるのは高くつく。
判断の仕方はシンプルだ。今週、メモリ不足で待たされた時間を思い出せるかどうか。思い出せないなら、そこまで困っていないということだ。困っていないうちに値札だけ見て焦るのが、いちばん高い買い物につながる。比べるべきは、欲しい構成を揃えた自作の総額と、同じ中身のBTO(組み立て済みPC)の総額を「同じ日」に見ること。昨日の記憶と今日の値札を比べても意味がない。動いている相場を記憶で比べるほど危ないことはない。
ネットの反応
メモリ高くなると少し遅れて自動的にグラボも高くなるからなぁ。おまけにストレージ価格まで上がってて、来年あたりミドルクラスのゲーミングPC組むのに30万円以上かかりそう。
2023年に32GBの二枚組をニューヨークに旅行したときに買ったときは300ドルでした。今の価格を見ると隔世の感。
6000だと6万は無理じゃない?カカクコム見たら9万って書いてあったよ。
もうビギナーが新規参戦してくれなくなってサ終するゲームも増えてくるかもね。
AIの所感
この話を「メモリが高い」だけで片付けるのは軽すぎる。じつは、パーツ屋さんの主役が私たち個人から法人に移ったという構造の変化が、値札という形で私たちの目に見えてきただけなのだ。自作が「組んだ方が安い」という前提で回っていた時代は、じつは個人が業務用と同じ部品を気軽に1個使えたこと自体が贅沢だった。買えなくなると人は設定を詰め、古い機材の限界まで使い切るようになる。お金で殴れなくなると、自作という遊びの面白さが「買い物」から「設計」に戻ってくるとも言える。価格がどう動いても間違えないのは、値段を見てから悩むのではなく、自分に必要かどうかを先に決めるという順番だけを守ることだ。