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【悲報】スマホ用の「遅いメモリ」が毎秒1.2テラ出す謎、その正体は「みんなで同じ机を使う」だった

【悲報】スマホ用の「遅いメモリ」が毎秒1.2テラ出す謎、その正体は「みんなで同じ机を使う」だった

スマートフォン向けに設計された、消費電力を抑えることを最優先したメモリ(LPDDR)が、なぜ毎秒1.2テラバイトという桁外れの転送速度を出せるのか。普通のパソコンは同じことができないのに、だ。この一見矛盾する構図の鍵は、「メモリをどう配置し、どう共有するか」という設計思想の違いにある。最近のApple製チップが引っ提げる「ユニファイドメモリ」と呼ばれる仕組みを、根っこから解き明かす。

チップの中心にCPUとGPUが並んで配置され、周囲のメモリと一本の太いバスで結ばれた統合アーキテクチャの模式図

分離型の宿命:CPUの家とグラボの家、細い道路

従来のパソコンは、計算を担うCPUと、画面描画を担うGPU(グラフィックボード)が別々の場所に住んでいる。お互い専用のメモリを持ち、必要なデータは「PCIe」という細い道路を介して引っ越しトラックで運び合う。距離が遠く、道が細いぶん、データのやり取りにどうしても時間がかかり、ボトルネックになる。

統合の正体:全員が同じ机、ゼロコピー

ユニファイドメモリの正体は、いたってシンプルだ。CPUもGPUも、すべての演算装置が「同じ物理アドレス空間」という一つの大きな机を共有する。誰かが書いたデータを、他の誰かがわざわざコピーして自分の机に移す必要がない。これを「ゼロコピー」と呼ぶ。コピーという無駄な往復がそもそも発生しないため、実効的な速度は劇的に跳ね上がる。

出自はスマホ、M1から5年で17倍

この考え方のルーツはスマホにある。バッテリーの限られた携帯端末で、いかに無駄なく処理するか。AppleのM1チップは毎秒68ギガバイトの帯域を持っていたが、わずか5年で17倍の水準へと引き上げられた。携帯端末の省電力メモリ技術が、そのままパソコン全体の足回りを塗り替えた格好だ。

なぜ「遅いメモリ」で毎秒1.2テラが出るのか

帯域の広さは、「1本の速度 × 車線の数」で決まる。スマホ用メモリは1本あたりの速度こそ控えめだが、チップの真正面にメモリを直接実装する「オンパッケージ」という手法を取る。これにより、物理的に車線(配線)を何本も並べられるようになる。一本は遅くても、何十本も束ねれば総水量は膨大になるのだ。

興味深い実例がある。M6チップでは、16GB構成の場合は毎秒153GB、24GBや32GB構成では毎秒170GBの帯域が出る。容量が多い方が速度も上がるのは、単にメモリを増やすだけでなく、より高速な規格のメモリに換装されているためだ。容量は、実は「速度も一緒に買っている」ことになる。

M5 Ultraの「橋」、UltraFusion

さらに上位のM5 Ultraでは、2つのチップを毎秒4.4テラバイトで結ぶ「UltraFusion」という橋でつなぐ。見かけ上は、2枚のチップが「巨大な1枚の机」として振る舞うようになる。ソフトウェアから見れば1つのチップだが、中身は2つ。これを使いこなすには、ソフト側の対応も欠かせない。

弱点は3つ

もちろん弱点もある。第一に、ゲーム向けのGDDR7には純粋な速度で一対一の勝負では負ける。第二に、データの読み込みは結局「計算能力」との兼ね合いになり、単体の読み出し性能だけで言えば犠牲もある。第三に、一度実装したメモリは増設できない。買う時に容量を決めきる必要があるのだ。

メモリ三国志と、ローカルAIへの効き方

帯域の広いメモリには大きく3種類ある。グラフィック向けのGDDR、AI超並列向けのHBM、そして省電力広帯域のLPDDRだ。ローカルでAIを動かす場合、目安の計算式がある。「帯域 ÷ モデルのサイズ = 毎秒に処理できる言葉の数の上限」。つまり、モデルが大きくても帯域が広ければ、待たされずに言葉が出る。

ネットの反応

古参のMacユーザーからすると、かつてメモリを統合した時にみんなが悩んだやつって感じだ。

阿呆みたいにメモリを食うWindowsに縛られるゲーマー以外は、帯域を選ぶだろうな。

最近のCPUとGPUのコアって、メモリのおまけみたいになってきた。

M6の16GBはバス幅が狭いわけじゃない。16GBも32GBも128ビットで接続されてる。高速なメモリに換装してるだけの話。

ユニファイドメモリは8ビットPCの頃は割と普通で、PC-8001辺りでは4MHzのCPUが実効1.84MHz程度に落ちるほど深刻な影響があったから、専用メモリを割り振るのが当たり前になったんだよな。

AIの所感

ユニファイドメモリの本質は、技術用語の羅列ではなく「共有する」という設計思想にある。細い道路を何台もトラックで往復させるより、みんなが同じ机を囲めば済む。その単純な発想が、スマホの省電力メモリをここまで強くした。弱点がないわけではないが、「増設できない」ことを承知で手元の作業を全部一台に集めたい人には、今のところ最も釣り合いのいい選択だ。ローカルAIが本格化するこれから、容量と帯域の両方をどれだけ買えるかが、機材選びの新しい教養になりそうだ。

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