【悲報】中国製グラボの実測はRTX5060の3分の1、9年前のRX580と同等…カタログ24TFLOPSの罠
【悲報】中国製グラボの実測はRTX5060の3分の1、9年前のRX580と同等…カタログ24TFLOPSの罠
3月に覇権崩壊かと紹介された中国製グラボ、発売4か月後の実測が出た。中国Lisuan TechのGPU LX 7G100について、ドイツPC Games Hardwareが14本のゲームで測った平均で並んだ相手は9年前のRadeon RX 580だった。指数でLX 7G100が11.1、RX 580が10.6とほぼ同等。一方のRTX 5060は33.0で、最新の6万円台カードの約34パーセントしか出ていない。RTX 4060対抗という看板は実戦では外れた形だ。
作っているのは2021年に元S3 Graphicsの技術者たちが立ち上げた上海の会社で、これが第一作だ。自社アーキテクチャTrueGPUを名乗り、製造は台湾TSMCのN6、いわゆる6nm FinFETを使う。メモリは12GB GDDR6で192bit接続、帯域は最大432GB/s、最大クロック2000MHz。12GBはRTX 5060の8GBより多い。そして売り文句がFP32のピーク性能24.6テラフロップスで、3月時点ではRTX 4060を少し上回ると紹介された。カタログは履歴書、ベンチは成績表というたとえ通り、履歴書だけで合格と言ってしまった反省点がここにある。

平均34パーセントより深刻な20本中6本起動せず
数字より驚く事実がある。試した20本のゲームのうち起動したのは14本だけで、6本は動かなかった。動いた14本のうち2本は表示の乱れや不安定が出たと報じられ、問題なく動いたのは12本と4割が何かしら引っかかった。RTX 5060を100パーセントとするとRTX 4060が76パーセント、RTX 2060が52パーセント、LX 7G100が34パーセントで、7年前の2060にも負ける。GTX 1060 6GBには勝っているが、相手は10年前のカードだ。Intel Arc B580は96パーセント、RX 9060系も94パーセント前後とされ、同じ新規参入組でも距離が違う。
日本の現実で考えると差は明確だ。GeForce RTX 5060 8GBの最安が6万4645円、Radeon RX 9060 XT 8GBが5万9800円で、この2枚が6万円前後で普通に買える。6万円台で3倍速い方を選べる状況で、1倍体の14本平均という留保を付けても得意不得意では説明しきれない差がある。レイトレーシング非搭載も重く、レイトレ専用設計のタイトルは起動できず、AI向け行列演算ユニットもないため画質復元の手札も少ない。遊べる棚が狭まる方向にある。
24.6TFLOPSの前提と眠る3072個の演算器
差がどこで消えたのか。核心は24.6テラフロップスという数字の前提だ。演算器の数は公表されていないが、調査では3072個で条件が合えば1回に2つの命令を流せる仕組みで24.6テラフロップスになる。2つ同時が前提で、成り立たなければ半分の12.3テラフロップスだ。同じ仕組みはAMDのRDNA3にもあるが、ゲームの命令の並びはそろわないことが多く、2つ同時に流せる場面は限られる。違いはドライバーを長年磨いた蓄積で、命令の並べ替えを担うコンパイラの練り込みが効く。演算器が遊んだまま回る状態では力を吐けない。
帯域432GB/sはRX 580より広くRTX 3060 12GB版に近い水準で、道路の広さは足りている。広い道路を用意したのに車の流し方が下手という状態だ。中国レビューでは3DMark系スコアがRTX 3060前後まで出る一方、サイバーパンク2077を1080pでFSR3品質とフレーム生成ありにして88FPS、同じ条件でRTX 4060は232FPSと3倍近い差が出た。合成ベンチは命令の並びが整った優しい仕事、実ゲームは散らかった仕事という違いが表れている。しかも88FPSは生成ありの数字で、生成なしの素の数字はさらに下がる。待機時約59Wという電力も重く、RTX 2060の約10W、RX 6600の約6Wと比べ約6倍を使い続ける。映像出力がDisplayPort 1.4aのみでHDMIテレビには変換が必要という点も注意だ。
ドライバー3回更新でも横ばい、超えた壁はWHQL
新規GPUは後から速くなるという反論はある。Intel Arc初代は発売後の更新で古い描画経路が改善した。ただLX 7G100は発売から4か月でWHQL認証ドライバーを3回出しても平均は動いていない。一点の不具合ではなく噛み合わせの問題と読める。10パーセントの改善はあっても2倍を埋めた例はほぼなく、断定はできないが厳しい。中国国内ではファウンダーズ版3299元、通常版2688元、ドイツでは輸入分が約350から500ユーロだが、日本では正規販売がなく判断材料は国内で買えるカードになる。
それでも詐欺ではなかった。超えた壁は中国メーカーとして初めてGPUのWHQL認証を取ったことで、Microsoftのお墨付きを得てWindowsからまっとうな部品として扱われる。発売時点からDX12のゲームが安定して動いた点も大きく、過去の中国製は数字は出ても落ちることが多かった。国内の先輩MTT S80と比べるとタイトルによっては2割から12割上回り、追い抜いた項目が多い。2021年生まれの1作目で最新の大作が動くところまで来た。派遣は崩れなかったが、ゲームが動くグラボを出せる会社が一つ増えた形で景色は少し変わった。教訓は明確で、新しいグラボの噂を見た時はテラフロップスで決断せず、第三者が実ゲームで測った結果が2つ3つそろうまで待つことだ。
ネットの反応
B580が4万で買えるのもな
せめてVRAMが24GBくらいあればまだAIとかにも使い用あったものを、でも緑に対抗できるまで頑張って欲しい
カタログは立派なのに実測がこれか、ドライバーの成熟に期待したい
6万円で3倍速い方が買える現実がすべてだな
AIの所感
履歴書と成績表のたとえが刺さると思う。理論値の前提を読まずに序列を決めた失敗は誰にでも起きる。製造は最先端でも設計とソフトの育成に年月が要るという現実も重い。それでも動くものを作った一歩は残る。待てば分かるという姿勢で数か月後の答え合わせを続けたい。