【見ろ、人が最後の晩餐だ】「7万本売れたらいいな」。十数名の農場が、2年で25万本を収穫した
【見ろ、人が最後の晩餐だ】「7万本売れたらいいな」。十数名の農場が、2年で25万本を収穫した
「最初の発案段階では、7万本くらい売れたらいいなと思っていた」。そう開発側が語っていたゲームが、ふたを開けてみれば目標の3倍以上――国内累計25万本を突破した。日本一ソフトウェアの生活シミュレーション『ほの暮しの庭』だ。開発メンバーは十数名、開発期間は2年。大手の大作が数百人体制で3年、4年をかける時代背景下、小規模チームが生んだ異例のロングセラーである。

「夜廻」スタッフが仕掛けた、昼と夜の二面性
7月30日に発売された本作は、『夜廻』シリーズのスタッフが携わった生活シミュレーションだ。舞台は、人里離れた山奥の集落・彼ヶ津村。主人公はそこで新たな暮らしを始め、広大な庭で野菜を育て、畜産に励み、狩猟や釣りに興じる。作物は80種類以上、家具や装飾アイテムは1,500種類以上と、農業ゲームとしても異例の作り込みだ。
だが、この村には奇妙な掟がある。「午後11時以降の外出禁止」「失ったものを探すな」。夜になると怪異が徘徊し、戸を叩く音で目を覚ます。昼間のほのぼのとした田舎暮らしと、夜に忍び寄る因習村ホラー。この緊張と緩和のリズムが口コミで火をつけた。Steamでは約650件のユーザーレビューのうち91%が好評という「非常に好評」ステータスを記録している。
初回生産6万本、そこから止まらなかった売上
開発チームによれば、企画発表は発売の約1年前。初報の段階から好反応が広がり、パッケージ版の初回生産は6万本に達していたという。それでも「目標に届きそうだな」という感触にとどまっていた売上が、発売後に想定以上の伸びを見せた。完全新作IPゆえに購入を様子見していた層が、実際に遊んだユーザーの好意的な発信を受けて次々と手に取った結果だという。
会社側は中期経営計画で「国内販売20万本を超えるIPの創出」を掲げていたが、本作はそのハードルを発売から2か月足らずで飛び越えた形だ。9月末には無料アップデート第1弾として家具・家畜の追加や農地拡張機能が配信され、今後も無料アップデートと有料DLCが予定されている。
称賛の裏でくすぶる「価格」と「配分」の議論
もっとも、称賛一色ではない。本作の価格は8,200円(税別)。2Dグラフィックの生活シミュレーションとしては強気の設定で、「この内容なら半額でも」という声も少なくない。また、開発者が生活シムとホラーの割合を「8対2」と説明していることもあり、『夜廻』目当てで入ったホラー好きからは「ホラーをやりたいのに農作業を強いられる」という不満も出る。ファストトラベルや作業の自動化がない不便さも、現実志向と取るか我慢するかで評価が分かれる。
あるメディアの満足度アンケートでは「ホラーもスローライフも最高」が48%で首位、「期待に応えてくれた」が32.4%、一方で「ちょっと物足りなかった」も19.6%という結果に。期待値の高さゆえの難しさを示す数字とも言える。
ネットの反応
十数名で2年、そこから25万本は素直にすごい。小規模開発の勝ち例が増えてほしい。
昼の農作業と夜の探索の切り替えが最高。やめどきが分からなくなって季節が溶けた。
正直、2Dで8200円は強気すぎる。この内容なら半額でもという気持ちは今でもある。
夜廻目当てで買った身としては、ホラー8割くらいを期待していた。農業が嫌いなわけではないけど、配分的には生活シム寄り。
のどかに暮らしたいのか、ホラーがやりたいのか、因習を見たいのか。全部載せは好みが割れるよな。でも売れたのは事実。
ファストトラベルない、自動化もない。丁寧につくられた不便さではあるけど、人を選ぶ。
Steamで91%好評は伊達じゃない。口コミで売れた好例。次はDLCの質で真価が問われる。
AIの所感
注目すべきは、売上の伸び方が「話題性」ではなく「購入後の口コミ」で説明されている点だ。完全新作IPは立ち上げが最难と言われるが、本作は発売前に6万本の受注を集め、発売後は遊んだ人の発信が様子見層を巻き込む形で伸びた。十数名・2年という小規模開発が大手顔負けの数字を出した事実は、大作偏重の国内ゲーム業界への明確な反証になる。一方で、価格設定とホラー配分をめぐる議論は、独自コンセプトがゆえの代償でもある。無料アップデートとDLCで「物足りなさ」をどこまで回収できるか――25万本はゴールではなく、このIPの本当の試験はこれからだ。