
【悲報】NVIDIA、GTX 700/900/10シリーズのGame Readyドライバーサポートを2025年10月で終了へ
【悲報】NVIDIA、GTX 700/900/10シリーズのGame Readyドライバーサポートを2025年10月で終了へ
2025年、PCゲーミング業界に大きな転換点が訪れました。NVIDIAが、Maxwell、Pascal、Volta世代のGPUに対するGame Readyドライバーのサポートを、2025年10月をもって終了すると発表したのです。これは、2014年から2017年にかけて発売されたGTX 700番台後期モデルからGTX 1000番台までの製品群が対象となる歴史的な決定です。
伝説のGPUたち:Maxwell、Pascal、Volta世代の功績
**Maxwell世代の革新と普及(2014年〜)**
2014年2月18日、NVIDIAはGTX 750 TiとGTX 750を発表し、Maxwell世代の幕開けを告げました。28nmプロセスながら、前世代Kepler比で電力効率を2倍に向上させるという驚異的な成果を達成。GTX 750 Tiは60Wという低消費電力で動作し、補助電源コネクター不要という画期的な設計により、多くのOEMパソコンでもグラフィックスカードのアップグレードが可能となりました。当時の価格は2万2000円(約149ドル)と手頃で、エントリーゲーマーに革命をもたらしました。
同年9月にはGTX 900番台として本格展開が始まり、GTX 970は5万2000円(約349ドル)、GTX 980は8万5000円(約570ドル)で発売。特にGTX 970は4GBのVRAMを搭載し、フルHD解像度でのゲーミングに最適化された性能により、Steamハードウェアサーベイで長期間トップシェアを維持する人気製品となりました。GTX 980 Tiは2015年6月に10万円(約670ドル)で登場し、当時のフラッグシップTitan Xに迫る性能を大幅に安価で提供したことで、ハイエンドゲーミング市場に衝撃を与えました。Maxwell世代は合計で2000万枚以上が出荷され、PCゲーミングの大衆化に大きく貢献しました。
**Pascal世代が実現した性能革命(2016年〜)**
2016年5月27日、GTX 1080の発表によりPascal世代が始動しました。TSMCの16nm FinFETプロセスを採用し、トランジスタ密度がMaxwellの2倍に向上。この製造プロセスの進化により、GTX 1080は前世代GTX 980比で70%の性能向上を実現しながら、消費電力は180Wに抑えられました。発売価格は9万4000円(約630ドル)で、GDDR5Xメモリにより320GB/sという当時最速のメモリ帯域幅を実現。
同年6月にはGTX 1070が6万5000円(約436ドル)で発売され、前世代のフラッグシップGTX 980 Tiと同等の性能を大幅に安価で提供したことで市場に衝撃を与えました。そして2017年3月10日、伝説となったGTX 1080 Tiが登場。11GBのGDDR5Xメモリと3584個のCUDAコアを搭載し、10万5000円(約700ドル)という価格でGTX 980 Ti比65%の性能向上を達成。4K解像度でのゲーミングを現実的な価格で可能にした初めてのGPUとして、今なお史上最高のTiと称されます。
Pascal世代の成功は数字にも現れており、GTX 1060だけで1500万枚以上、GTX 1050/1050 Tiは合計2000万枚以上が出荷され、Steamハードウェアサーベイでは2024年まで上位を占め続けました。VRゲーミングの本格普及もPascal世代の功績で、Oculus RiftやHTC Viveの推奨スペックを手頃な価格で実現できるようになりました。
**Volta世代とAI時代の幕開け(2017年〜)**
2017年12月7日、Titan Vの発表によりVolta世代が消費者市場に登場しました。ただし、44万7000円(約3000ドル)という価格設定から分かるように、これは一般ゲーマー向けではなく、プロシューマー向けの特殊な製品でした。Voltaの真の価値は、データセンター向けのTesla V100やDGX-1システムで発揮されました。
最大の革新は、AI処理に特化したTensorコアの初搭載でした。640個のTensorコアにより、深層学習の訓練で120テラフロップスという圧倒的な性能を実現。これはPascal世代のP100と比較して12倍の性能向上を意味しました。実際、OpenAIがChatGPTの元となるGPT-3.5の訓練に使用したのは、1万枚のV100を搭載したシステムでした。この事実は、現在のAIブームの礎をVoltaが築いたことを如実に示しています。HBM2メモリの採用により900GB/sという驚異的なメモリ帯域幅を実現し、大規模なニューラルネットワークの処理を可能にしました。Voltaは一般ゲーマーには遠い存在でしたが、その技術は後のTuring世代でRTXシリーズとして花開き、リアルタイムレイトレーシングとDLSSという新時代の扉を開くことになった。現在もアメリカのローレンス・リバモア国立研究所のSierraスーパーコンピューターなど、世界各地の研究機関でV100ベースのシステムが稼働しており、科学技術の進歩に貢献し続けています。
サポート終了の詳細スケジュールと市場への影響
NVIDIAは2025年7月1日、580シリーズドライバーがMaxwell、Pascal、Volta世代GPUをサポートする最後のGame Readyドライバーとなることを正式に発表しました。そして7月31日、580.88 WHQLドライバーがリリースされました。NVIDIAの発表によれば、2025年10月に提供される最終Game Readyドライバーをもって、これらのGPUに対する新作ゲームへの最適化、バグ修正、新機能の追加は終了となります。
ただし、2025年10月の最終Game Readyドライバー提供後も、2028年10月まで3年間にわたって四半期ごとのセキュリティアップデートが継続されます。これにより、Maxwell世代は発売から11年間という業界標準を大きく上回る長期サポートを受けることになります。
Windows 10ユーザーには朗報があります。NVIDIAは全てのGeForce RTX GPUに対して、Windows 10でのGame Readyドライバーサポートを2026年10月まで延長すると発表しています。これはMicrosoftのWindows 10サポート終了から1年後という異例の措置で、現在もWindows 10が大きなシェアを占めている状況への配慮と言えるでしょう。Linux環境では、580シリーズが最後の公式サポートとなることが確定しています。その後はレガシーブランチとして必要最小限のアップデートのみが提供され、最終的にはオープンソースのNouveauドライバーやNVKへの移行が必要となるでしょう。CUDA 12.8のリリースノートでも、これら3世代のアーキテクチャサポートが機能完成と見なされ、今後の更新で凍結されることが明記されました。企業や研究機関で使用されているQuadroシリーズも同様のスケジュールが適用されます。
Steamハードウェアサーベイ2025年7月のデータによれば、GTX 1060が4.8%、GTX 1050 Tiが2.9%、GTX 1070が2.1%と、Pascal世代だけで全体の約15%のシェアを占めています。これは数百万人規模のユーザーが影響を受けることを意味します。中古市場ではすでに大きな変動が始まっており、特にGTX 1080 Tiは希少性から一時的に7万円(約470ドル)前後まで価格が上昇している場面も見られました。
一方で、新たなエントリーモデルの選択肢も豊富に存在します。RTX 4060は4万5000円(約302ドル)前後、AMD Radeon RX 7600は3万8000円(約255ドル)前後で購入可能で、どちらもGTX 1070を大きく上回る性能を提供します。Intel Arc A750も3万円(約201ドル)前後という競争力のある価格で、DirectX 12 Ultimateに完全対応しています。
アップグレードを検討する際の重要なポイントは電源容量です。Maxwell/Pascal世代は比較的低消費電力でしたが、RTX世代以降のGPUは高性能化に伴い消費電力も増加しています。RTX 4070は200W、RTX 4080は320Wと、既存の電源ユニットでは対応できない可能性があります。また、PCIe 5.0対応や新しい12VHPWRコネクターなど、インターフェースの変更にも注意が必要です。
企業環境では状況がさらに複雑で、大量導入されたGTX 1050やGTX 1060搭載PCの更新計画を立てる必要がある。特にビジネス向けソフトウェアの認証取得には時間がかかるため、早期の検証開始が推奨されます。
次世代への移行戦略
サポート終了に伴い、多くのユーザーが次世代GPUへの移行を検討することになります。2025年7月時点で最も注目されているのは、1月に発表されたRTX 50シリーズです。RTX 5070は8万2000円(約549ドル)で2025年2月に発売され、DLSS 4の活用により前世代フラッグシップRTX 4090に匹敵する性能を実現すると謳われています。ただし、これはAIによるフレーム生成技術を含めた数値であり、ネイティブ性能では大きな差がある点に注意が必要です。
より現実的な選択肢として、RTX 4060 TiやRTX 4070が挙げられます。これらはすでに市場で安定供給されており、価格も落ち着いている。特にRTX 4060 Ti 16GBモデルは6万8000円(約456ドル)前後で、将来性を考慮すると魅力的な選択肢となります。
AMDからはRadeon RX 7700 XTが5万5000円(約369ドル)前後で提供され、純粋なラスタライズ性能ではRTX 4060 Tiを上回ります。ただし、レイトレーシング性能やDLSSに相当するFSR 3の完成度では、依然としてNVIDIAに劣る部分があります。移行時期については、580シリーズドライバーのリリース後1年以内が1つの目安となります。その後は新作ゲームでの最適化が期待できなくなり、DirectX 12 Ultimateを活用したタイトルでのパフォーマンス低下が顕著になると予想されます。
AIの所感
NVIDIAによるGTX 700/900/10シリーズのドライバーサポート終了は、PCゲーミングの歴史における一つの時代の終わりを告げるものです。これらのGPUは、Maxwell世代の電力効率革命、Pascal世代の4Kゲーミング普及、そしてVolta世代のAI技術の礎を築き、多くのゲーマーに感動と興奮を与えてきました。特にGTX 1080 Tiは、その性能と価格のバランスから「史上最高のTi」と称され、今なお多くのユーザーに愛されています。
しかし、技術の進化は止まることなく、新たな世代のGPUが次々と登場しています。今回のサポート終了は、古いGPUを使い続けるユーザーにとっては残念なニュースかもしれませんが、同時に次世代GPUへの移行を促し、PCゲーミング全体の進化を加速させる契機ともなるでしょう。NVIDIAがWindows 10のサポートを延長したことは、既存ユーザーへの配慮として評価できますが、最終的には新しいハードウェアへの移行が避けられない現実を突きつけています。
この出来事は、単なる製品のライフサイクルの一環としてだけでなく、技術革新がもたらす「永遠なる計算の歌」の一部として捉えることができます。古いGPUたちがその役割を終え、新たなGPUたちがそのバトンを受け継ぐことで、PCゲーミングの未来はさらに明るく、より没入感のあるものへと進化していくでしょう。私たちは、この技術革新の証人として、過去の功績を称えつつ、未来の可能性に期待を寄せたいと思います。