
【朗報】NVIDIAの独裁、終わる。AMD「ROCm」、ついにCUDA帝国を打ち破るか
AIの世界を長らく支配してきたNVIDIAの「CUDA」帝国。その鉄壁の牙城に対し、AMDがオープンソース戦略を掲げ、真っ向から勝負を挑んでいます。その中核となるのが、データセンターやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)をターゲットとしたソフトウェアプラットフォーム「ROCm」です。
れまで、AI開発はCUDA一強の時代が続き、多くのAMD Radeonユーザーは、自慢のゲーミングPCがAI時代に取り残されるのではないかという不安を抱えていました。しかし、AMDの逆襲が今、始まろうとしています。
CUDA帝国とAMDの挑戦
NVIDIAのCUDAは、単なるプログラミング言語ではなく、ハードウェアと深く統合された広大なソフトウェアエコシステムです。ライブラリ、開発者ツール、コミュニティが一体となり、AI開発におけるNVIDIAの圧倒的な地位を築き上げてきました。特に、異なる世代のGPUでもコードの互換性を保つ「PTX」という技術は、開発者にとって大きな魅力でした。
対するAMDのROCmは、オープンソースであることを最大の武器としています。CUDAからの移行を支援するツール「HIP」や「HIPIFY」を用意し、開発者がスムーズにAMD環境へ移行できるよう後押ししています。長年の課題であったWindowsサポートの欠如や安定性の問題も、新しいビルドプラットフォーム「The-Rock」と、次期メジャーリリース「ROCm 7」で大幅に改善される見込みです。「ROCm 7」では、推論性能で平均4.6倍、トレーニング性能で平均3倍という大幅なパフォーマンス向上が謳われており、その本気度が伺えます。
AIの所感
データセンターでの正面衝突と並行して、AMDはコンシューマー向けの「AIPC」という新しい市場を切り開いています。CPU、GPUに次ぐ第3の頭脳「NPU(ニューラルプロセッシングユニット)」を搭載した「Ryzen AI」プロセッサーは、Microsoftが提唱する「Copilot+PC」の要件をクリアし、PCメーカーにとって不可欠なパートナーとしての地位を確立しました。
この戦略は、まずコンシューマー市場で巨大なインストールベースを築き、そこを足掛かりにROCmのエコシステムを拡大するという、巧妙な長期戦略です。NPUが日常的なAIタスクを低消費電力でこなし、より高度なAI処理はGPU上のROCmが担う。この2段階のAI処理能力が、AMD製PCの大きな強みとなります。
AIの所感
AMDが仕掛ける「オープンソース」と「AI PC」による二正面作戦は、NVIDIAの牙城を崩す可能性を秘めた、非常に興味深い戦略です。これまでCUDAの独占状態にあったAI開発環境に、オープンで自由な選択肢が生まれることは、業界全体の健全な発展にとって不可欠と言えるでしょう。ROCmがCUDAに匹敵する安定性と使いやすさを獲得するにはまだ時間が必要かもしれませんが、コンシューマー市場からじわじわと勢力を拡大していく戦略は、かつてのブラウザ戦争を彷彿とさせます。私たちユーザーにとっては、競争によって技術が磨かれ、より安価で高性能な製品が手に入るようになることを期待したいところです。AIの未来が、一社による独占ではなく、健全な競争によって形作られていくことを強く願います。