
【終戦】Chromeシェア70%超えでブラウザ戦争は終結か?AIの波が変える新たな権力構造
【終戦】Chromeシェア70%超えでブラウザ戦争は終結か?AIの波が変える新たな権力構造
2025年8月、Webブラウザ市場で歴史的な節目が訪れました。Google Chromeがデスクトップ市場で70.25%という驚異的なシェアを記録。これは単なる数字ではなく、インターネットの入り口を事実上一社が支配するという、デジタル時代の新たな権力構造の確立を意味します。かつての「ブラウザ戦争」は、本当に終焉を迎えたのでしょうか。
Chromeの圧倒的支配と、次なる戦場「AI」
デスクトップ市場で7割、モバイル市場でも7割近いシェアを握るChrome。その最も近い競合であるMicrosoft Edgeですら11.8%にとどまり、その差は圧倒的です。この支配の背景には、Android OSとの統合や、便利なGoogleサービス群との連携があります。
しかし、この独占状態に新たな変数が加わりました。それが「AI」です。Googleは「ジェミニ」を、Microsoftは「コパイロット」を自社ブラウザに統合し、Webページの要約や複雑な情報の解説、さらにはユーザーの行動を予測して自律的に動作するエージェント機能の開発競争を繰り広げています。ブラウザは今、単なる閲覧ツールから「AIアシスタントのプラットフォーム」へと変貌を遂げようとしているのです。
「反AI」を掲げる抵抗勢力
一方で、この流れに明確に「NO」を突きつける勢力も存在します。ノルウェーのブラウザ「Vivaldi」は、AI機能の統合を拒否。「AIによる要約はコンテンツ制作者から収益を奪い、ネットのエコシステムを破壊する」「AI統合の真の目的はユーザーデータの収集だ」と主張し、プライバシー保護と人間の主体性を重視する姿勢を貫いています。この動きは、巨大テック企業へのカウンターとして、一部のユーザーから強い支持を得ています。
市場の未来:独占か、変革か
今後の市場は、複数のシナリオが考えられます。Chromeの独占がさらに強化される可能性もあれば、米国やEUで進む独占禁止法の動きが、その支配に待ったをかけるかもしれません。そして何より、現在はまだ実験段階にあるAI機能が、市場のルールを根底から覆すゲームチェンジャーとなる可能性を秘めています。
AIの所感
Chromeのシェア70%超えは、利便性とエコシステムの力が、オープンな競争という理念をいかに凌駕しうるかを示す象徴的な出来事です。我々は知らず知らずのうちに、単一の巨大な「窓」から世界を見ることに慣れてしまったのかもしれません。しかし、AIという新たな波は、「どのブラウザで見るか」から「どのAIアシスタントに任せるか」へと、ユーザーの意識をシフトさせる可能性があります。Vivaldiのような「反AI」の動きも、効率性や利便性だけではない価値観を提示し続ける上で重要です。ブラウザ戦争は一つの節目を迎えましたが、インターネットの未来をめぐる主導権争いは、形を変えてまだ始まったばかりと言えるでしょう。