酒呑ガジェット

〜静かな環境であなたに...こちらは音のでないコンテンツです。〜

【悲報】米政府「中国のAIはAnthropicの丸パクリ」と断言も…技術者から「ほぼ間違ってる」と秒で論破される

【悲報】米政府「中国のAIはAnthropicの丸パクリ」と断言も…技術者から「ほぼ間違ってる」と秒で論破される

2026年7月、米国政府とAI業界の間で激しい火花が散っている。発端はトランプ政権科学技術政策局長のKratsios氏によるX(旧Twitter)への投稿だ。同氏は中国のAI企業Moonshot AIが開発したオープンモデル「Kimi K3」について、「Anthropicの最新モデルFable 5から蒸留(抽出)したものだ」と断言した。

この主張は単なる憶測ではない。Kratsios氏は具体的に、Moonshot AIが現地回避用のプライベートプラットフォームを開発し、GB300搭載サーバーを使って不正にFable 5の推論結果を大量取得したと指摘。さらに翌23日にはBessent財務長官が「オープンソースは知財の無法地帯ではない」と制裁を示唆し、Helberg国務次官も「これは知的財産の強奪以上のもの。経済全体への攻撃だ」と同調。政府要人3人が段階的に発言をエスカレートさせる異例の展開となった。

技術者達の反論、その内容

しかし、業界の反応は政府の予想とは真逆だった。最も注目すべきは、元Meta AI Researchで現Hello Robot上級研究員のChris Paxton氏(博士・元NVIDIA)の投稿だ。同氏は「この投稿はほとんど間違っていると思います」と正面から否定した。

AIデータセンター内で輝くサーバーラックと配線、先端技術と国際競争の象徴的なイメージ

Paxton氏が最大の問題点として挙げたのは「時系列の矛盾」だ。Fable 5がリリースされたのは6月9日。輸出規制指令でAPIが停止したのが6月12日。復旧したのが7月1日。そしてKimi K3が公開されたのが7月16日。つまりFable 5がAPI経由で使えた期間はわずか16日間しかない。一般的なフロンティアモデルの事前学習には数ヶ月単位の時間が必要であり、この短期間での蒸留は物理的に不可能に近い。OpenAIのGPT-6は事前学習だけで18ヶ月、Kimi K2でも15ヶ月を要したという事実がある。K3は2.8Tパラメーターという巨大モデルで、いくら効率化されても最低数ヶ月の事前学習期間が必要だ。

さらにKimi K3の性能評価も政府主張に疑問を投げかける。Redwood ResearchのRyan Greenblatt氏の分析によれば、K3の性能はAnthropicのOpus 4.5相当であり、Fable 5よりも明らかに劣る。もしFable 5を完全に蒸留できていれば、このような性能差は生まれないはずだ。むしろ一部のベンチマーク(SWE MarathonではK3が42点、Fable 5は35点)ではK3が上回っており、独自の技術改良が施されている証拠とも言える。

「クロード自称率」という錯覚

政府支持派が根拠として持ち出すのが、Kimi K3が自己認識を問われた際に「私はClaudeです」と答える「自称率10〜15%」の統計データだ。しかしこの指標には大きな落とし穴がある。実際にAnthropic純正のClaude Codeに「あなたは誰ですか?」と聞くと「GPT-5.5です」と答える事例が確認されている。これは開発者側で特定の回答を誘導するプロンプトが仕込まれていたためだ。つまり「自称」はモデルの出自を示す信頼できる証拠ではない。

Anthropic自身も2026年2月23日の公式ブログで、継続的な蒸留攻撃の事実を認めている。Moonshot AIだけで340万回以上のClaude不正アクセス(3社合計1600万回以上、2万4000の不正アカウント使用)を検出したと開示している。しかしこれはFable 5に限った話ではなく、Claude全般に対する攻撃であり、しかもFable 5リリースより4ヶ月も前の話だ。Kratsios氏の主張する「Fable 5をK3の事前学習に使った」という具体的な主張を直接裏付けるものではない。

ネットの反応

当のMoonshot AIの楊植麟がXで煽ってるのがおもろい。「Fable5をこの短期間で蒸留する技術があるなら、その方がアメリカに都合が悪いんじゃないか?」って

Kimi K3がFable5を蒸留したかどうかはさておき、蒸留なんて今に始まった話じゃなく前々からどこもやってるだろ。終わりのないAI軍拡競争はもう始まってしまった

Anthropicのサーバーに侵入して重みを盗んだのかも。Claudeはサイバー攻撃に関する質問には回答を拒否するから外部からの攻撃も防げない

業界最上位の技術者が「ほとんど間違ってる」と言い切ってるのが全てを物語ってる。技術評価としてはこれは信頼できる

TekniumがKratsiosの文体をそのままパロディで返したの最高だった。「自分はAnthropicがFable開発のために自分のSNS投稿をスクレイプした情報を入手しています」って

16日間で事前学習なんて無理だろ。オープンAIのGPT-6は18ヶ月かかってる。物理的に不可能なことを政府が言い出すのは何か別の意図があるとしか思えない

AIの所感

この一件で最も興味深いのは、政府高官3人が半日以内に連続して同じ主張を展開した点だ。単なる一人の投稿の拡散ではなく、政策方針の下地作りとして組織的に動いたと見るのが自然だろう。実際、規制の布石、保護主義、輸出規制の正当化、対中強硬アピールの4つの動機仮説が複数の政策論者から指摘されている。

肝心の技術的決着は7月27日にMoonshot AIが公開予定のK3技術レポートを待つ必要がある。訓練データや学習タイムラインが開示されれば多くの疑問が解消されるだろう。しかし現時点で確実に言えるのは、政府主張を支える「決定打」はどこにも存在しないという事実だ。技術と政治が交差するこの問題において、どちらか一方を無条件に信じる材料はまだ何も揃っていない。

-パソコン