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【悲報】アップル「統合メモリ」の正体、スマホ用の遅い部品を「車線増やして」毎秒1.2TBに化かす

【悲報】アップル「統合メモリ」の正体、スマホ用の遅い部品を「車線増やして」毎秒1.2TBに化かす

なぜスマホ向けの、しかも省電力なメモリを使っているはずのアップル製チップが、毎秒1.2テラバイトもの帯域を叩き出せるのか。従来の常識では「メモリは速いか、消費電力が低いか」の二者択一だった。アップルが両立させたカラクリは、実はかなり泥臭いアプローチにあった。ローカルAIが脚光を浴びる今、この設計の巧みさと弱点を紐解く。

同じパッケージの上に並べられたメモリチップとCPU、その間を流れる無数の光るデータライン

引っ越しトラックが不要になった理由

普通のパソコンにはメモリが2種類ある。CPUのメインメモリと、グラフィックボードのVRAMだ。この2つは完全に別の場所にあり、AIの計算をするにはCPU側のデータをPCIeという1本の細い道路でグラボ側へ「引っ越し」させる必要がある。家の中の廊下に比べて、家と家をつなぐ道路は何十倍も細いため、ここが慢性的な渋滞箇所になっていた。

アップルは発想を変えた。家を2軒建てるのをやめ、CPUもGPUもAI回路も全員で同じ1つのメモリを見る「大きな家」を1件だけ建てた。これが統合メモリ(ユニファイドメモリ)だ。アップルの特許文書には「CPUとGPUの物理メモリと物理空間は完全に同一である」と記されている。住所(アドレス)が共通なので、データを1度もコピーせずにCPUとGPUが同じデータを触れる。これを専門用語で「ゼロコピー」と呼ぶ。

出自はスマホ、M1から5年で17倍

この「全員同じ机」という設計は、じつはアップルの発明ではない。スマホにはグラボを別差しする場所がないため、もともとCPUもGPUも1つのチップに同居し、同じメモリを使うしかなかった。狭さが産んだ設計だったのだ。アップルは2020年のM1で、このスマホの設計思想をパソコンに逆輸入した。当時のM1の帯域は毎秒68GB。ゲーミングPCには到底及ばなかったが、わずか5年ちょっとで毎秒1.2テラバイト、約17倍へと跳ね上がった。

一方、ソケットに差す方式の一般的なパソコン用メモリは同じ期間で2倍程度の伸びにとどまっている。この差は、「車線を増やせる設計かどうか」に行き着く。

1本は遅いなら、本数で殴る

メモリの速さは掛け算で決まる。「1本あたりの速度 × 道路の本数」が帯域だ。グラボ向けのGDDRという種類は1本がとにかく速いが、発熱が激しい。対してスマホ育ちのLPDDRは1本は遅い代わりに電気をほとんど食わない。アップルの戦略は単純だ。1本が遅いなら、本数を暴力的に増やせばいい。片側1車線の高速道路と、片側16車線の一般道、どちらが多くの車を流せるかという話である。

そしてなぜアップルだけが車線を増やせるのか。秘密はメモリを置く場所にある。普通のPCはメモリをマザーボードのソケットに差すため、CPUからメモリまで配線が何センチも旅をする。配線が長いと信号が乱れるため、車線数を絞らざるを得ない。アップルはメモリチップをCPUと同じ基盤の上に隣り合わせで直接実装した。配線が数ミリなら信号が乱れないから、車線を何倍にも増やせるのだ。

M6の豆知識とM5 Ultraの橋

この仕組みは面白い形で表れる。最新のM6では、メモリ16GB構成の帯域が毎秒153GBなのに対し、24GBや32GBを選ぶと毎秒170GBに上がる。容量を増やすということはメモリチップの枚数が増え、つまり車線が増えるからだ。Macを買う時、容量は速度も一緒に買っていることになる。車線を極限まで増やしたのがM5 Ultraで、4枚のダイを「UltraFusion」という橋でつなぐ。ダイ間の橋だけで毎秒4.4テラバイト、メモリ帯域は毎秒1.2テラバイトだ。橋の方が部屋の廊下より太いのは、ソフト側に「机の場所」を意識させず、巨大な1枚の机にしか見せないための設計だ。

ローカルAIへの効き方と弱点3つ

帯域をモデルの大きさで割ると、1秒に出せる言葉の数の上限が概算できる。100GBのモデルなら、毎秒1.2テラバイトの帯域があれば理論上毎秒12語程度が目安になる。だからこそ、大きなモデルを動かすなら容量だけでなく帯域も見なければならない。

弱点も正直に並べる。1つ目は、1本あたりの速度勝負ではやはり最上位グラボのGDDR7に負けること。2つ目は、AIが答えを考える前の文章読み込みは帯域ではなく計算力の勝負になり、長い資料を読ませると待ち時間が長くなりがちなこと。3つ目は、実装方式のため後からメモリを増設できないこと。買う時の容量がそのまま一生になる。そのため中古市場でも、容量違いだけで価格が大きく開く。

ネットの反応

今日の二択、容量派(でかいモデルを載せることを最優先)か、帯域派(小さくても速く動くことを最優先)か。自分のマシンの機種名とメモリ帯域も教えてほしい。

AIの所感

アップルの統合メモリは、魔法のような新技術というより「自由(増設)を捨てて、車線(帯域)を取った」という設計上のトレードオフの産物だ。スマホという狭い箱で生まれた工夫を、パソコンというより大きな箱にスケールさせて見事に花開かせた。ローカルAIという文脈が来るまで、この設計の真価は誰にも計り知れなかったとも言える。万能ではないが、大きなモデルを一人で静かに動かす用途において、アップルはすでに「常数百万円のグラボ群」を1台の家庭用電源で済ませる領域に踏み込んでいる。帯域と容量、その両方の壁を同時に見なければ、これからのマシン選びはできない。

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