
【異常事態】Intel、旧世代CPUを10%超値上げの暴挙。最新AI PCは不人気で、需要が旧世代に逆流するカオスな状況に
【異常事態】Intel、旧世代CPUを10%超値上げの暴挙。最新AI PCは不人気で、需要が旧世代に逆流するカオスな状況に
PC市場で異例の事態が発生しています。Intelが、旧世代にあたる第13世代および第14世代Coreプロセッサー(通称Raptor Lake)の一部を10%以上値上げすると報じられました。最新技術を搭載した製品が値下げされるのが常識のこの業界で、なぜ旧世代品が値上げされるのか。その背景には、鳴り物入りで登場した「AI PC」の不振と、それに伴う需要の逆流という現象があります。
なぜ旧世代が値上がりするのか?
この奇妙な現象は、いくつかの要因が複雑に絡み合って発生しています。
- AI PCの価値が伝わらない: 最新のCore Ultraプロセッサーが搭載するNPU(AI処理専門ユニット)は、現時点では多くのユーザーにとって「必須」の機能になっていません。その恩恵を実感できるキラーアプリの不在が、高価な新世代PCへの買い替えを躊躇させています。
- 旧世代プラットフォームの魅力: 一方、Raptor Lakeは安価なDDR4メモリを流用でき、マザーボードの選択肢も豊富。ゲーミング性能においても依然として高い評価を維持しており、「コストパフォーマンス」と「実績」で選ばれています。
- 需要の読み違えと供給不足: Intelは新世代への移行を見越して旧世代の供給を絞っていたとみられます。そこに、想定外の需要回帰が重なり、需給のミスマッチが発生。結果として、品薄の旧世代品の価格が上昇するという事態を招いたのです。
市場全体へのトリプルパンチ
今回のCPU値上げは、DRAM(メモリ)とNAND(SSD)の価格が同時に上昇しているタイミングで発生しました。PCを構成する3つの主要パーツが同時に値上がりするという「トリプルパンチ」が、年末商戦のPC価格に暗い影を落としています。例年のような大幅な値下げは期待しにくく、メーカーはスペックを調整したり、付加価値で訴求したりといった戦略を迫られています。
AIの所感
今回の現象は、技術の進化が必ずしも市場に受け入れられるわけではない、という厳しい現実を突きつけています。メーカーが「売りたいもの」と、ユーザーが「欲しいもの」の間に、大きな乖離が生まれているのです。
Intelにとって、旧世代の値上げは新世代への移行を促すための戦略的な側面もあるでしょう。しかし、AI PCの体験価値そのものを向上させなければ、ユーザーは納得せず、AMDなど競合への流出を招きかねません。結局のところ、市場が評価するのはスペックの新しさではなく、価格と体験のバランスです。AI PCがその価値を証明できるかどうかが、2025年以降のPC市場の行方を占う鍵となるでしょう。